クラバモックスとオーグメンチンの共通点と相違点

薬・治療・病態 各論

先日薬剤師仲間と話をしていて、『クラバモックスとオーグメンチンの共通点と相違点』、『オーグメンチン錠とサワシリン錠の併用処方』という話題がでましたので、それについて書きまとめておきます。


クラバモックスとオーグメンチンの共通点と相違点

まずは結論から書いておきます。

【共通点】
クラバモックスとオーグメンチンの共通点は
どちらもアモキシシリン水和物とクラブラン酸カリウムの配合剤だということ。

 

【相違点】
クラバモックスとオーグメンチンの相違点は
アモキシシリンクラブラン酸の配合比率が異なるという点 と
・クラバモックスはドライシロップ剤で小児用、オーグメンチンは錠剤で成人用という点 です。

 

クラバモックスとオーグメンチンの基本情報を比較・確認

基本情報比較の前に、なぜこれらの薬剤には2成分が配合されているのでしょうか。確認しておきます。

なぜ2成分が配合されているの?

クラブラン酸は,β-ラクタマーゼ阻害剤で
アモキシシリンは,β-ラクタム系抗生物質(ペニシリン系)です.

はい。
大雑把に言うと、β-ラクタマーゼ(という酵素)アモキシシリンを不活化させるのを防ぐためにクラブラン酸が配合されています。
もっと大雑把に言うと、アモキシシリンのパワーを低下させない為にクラブラン酸が配合されています。

 

2薬剤の基本情報を比較・確認

それぞれの添付文書から情報を拾って、主成分量を確認します。

オーグメンチン配合錠250RS (1錠中)成分量
クラブラン酸カリウム 125㎎
アモキシシリン水和物 250㎎
クラバモックス小児用配合ドライシロップ (1.01g中)成分量
クラブラン酸カリウム 42.9㎎
アモキシシリン水和物 600㎎

この通り、配合比率が異なります。
クラブラン酸:アモキシシリンの比率が、
オーグメンチンは1:2
クラバモックスは1:14(13.98・・・)です。

クラバモックスの方がアモキシシリン比率が多いです。

そして、なぜクラバモックスのほうがアモキシシリン比率が高い(クラブラン酸比率が少ない)か大雑把に言うと、オーグメンチンの販売が開始された1985年頃はこの1:2が良いとされていたけれども、時代も化学も進んで、クラバモックスの販売が開始された2006年頃には1:14が良いと考えれるようになった。という事です。

 

という訳で、成人にも下記のような処方が出ることがあります。

オーグメンチンとサワシリン(パセトシン,アモキシシリン)の併用処方

(処方)
オーグメンチン配合錠250RS 4錠 毎食後と寝る前 7日分
サワシリンカプセル250mg 4CP 毎食後と寝る前 7日分

私は直接目にしたことはないのですが、薬剤師仲間では受け付けた事がある方がおられました。

『抗生剤の併用? ・・。疑義照会だ!』

と、反射的に動いてしまいそうになりますが、落ち着いて考え、患者さんからも、もう一度よくDRからの指導等聞き取るべき案件ですね。
次の章でしっかりと確認してみます。

 

サワシリンとオーグメンチンとクラバモックスの【用法・用量】

確認のためにまずは、サワシリンとクラバモックスとオーグメンチンの【用法・用量】を引用します。

サワシリン(アモキシシリン)の添付文書より引用
【用法・用量】
成人:アモキシシリン水和物として、通常1回250mg(力価)を1日3~4回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児:アモキシシリン水和物として、通常1日20~40mg(力価)/kgを3~4回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量として最大90mg(力価)/kgを超えないこと。

クラバモックスの添付文書より引用
【用法・用量】
通常、小児には、クラバモックスとして 1 日量96.4mg(力価)/kg(クラブラン酸カリウムとして6.4mg(力価)/kg、アモキシシリン水和物として90mg(力価)/kg)を 2 回に分けて12時間ごとに食直前に経口投与する。

オーグメンチン配合錠250RSの添付文書より引用
【用法・用量】
通常成人は、 1 回 1 錠、 1 日 3 ~ 4 回を 6 ~ 8 時間毎に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

 

例えば30kgの小児の場合、クラバモックスを使いますが、アモキシシリンとして90㎎/kg/日×30kg=2,700㎎/日投与することになります。
次に、成人の場合は、オーグメンチン配合錠を使い、アモキシシリンとして250㎎×4回/日=1,000㎎/日投与することになります。

アモキシシリンとしての1日量が
30kgの小児 :2,700㎎
(30kg以上の)成人 :1,000㎎

小児のほうがアモキシシリン量が多いという状態になっています。
ですから、成人の場合ここにアモキシシリン1,000㎎(サワシリン250㎎×1日4回)程度追加するというのは、全く問題の処方とも言えます。



最後に

今回は、『クラバモックス』と『オーグメンチン』の
共通点:どちらもアモキシシリン水和物とクラブラン酸カリウムの配合剤
相違点アモキシシリン水和物とクラブラン酸カリウムの配合割合は異なる
を確認しました。

他にも色々と書いています

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