処方薬を「一包化」する際に算定できる点数です。
※「一包化」・・服用時点毎に薬をまとめて包む事を言います。
算定できるケース、算定できないケース
新人以外でこれを覚えていない薬局関係者はいないと思うのですが一応「算定できるケース」「算定できないケース」を書いておきます。
算定できるケース
例1
A錠 1錠 1日1回 朝食後 N日分
B錠 2錠 1日2回 朝夕食後 N日分
「服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤を服用時点ごとに一包にする場合は算定可」のケースです。
例2
C錠 1錠 1日1回 朝食後 N日分
D錠 1錠 1日1回 朝食後 N日分
E錠 1錠 1日1回 朝食後 N日分
「1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているときは算定可」のケースです。
算定できないケース
例3
F錠 1錠 1日1回 朝食後 N日分
G錠 1錠 1日1回 朝食後 N日分
H錠 1錠 1日1回 昼食後 N日分
I錠 1錠 1日1回 昼食後 N日分
J錠 1錠 1日1回 夕食後 N日分
K錠 1錠 1日1回 夕食後 N日分
6種類もの薬剤を一包化するケースですが、これは「一包化加算」は算定できません。
理由:『服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤を服用時点ごとに一包に』している訳ではありませんし、『1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき』でもないからです。
点数を確認
※2019年10月の一部改訂を反映させました。
(消費税率10%への引き上げに伴う対応)
一包化加算 | 詳細 | 点数 |
---|---|---|
42日分以下 | 7日分毎に | 32点 34点 |
43日分以上 | 一律 | 220点 240点 |
これを日数別に更に細かくすると下表のようになります。
日数 | 点数(一包化加算) |
---|---|
1~7日分 | 32点 34点 |
8~14日分 | 64点 68点 |
15~21日分 | 96点 102点 |
22~28日分 | 128点 136点 |
29~35日分 | 160点 170点 |
36~42日分 | 192点 204点 |
43日分以上 | 220点 240点 |
算定できる?算定不可?~Q&A~
例題:同一保険医療機関の異なる診療科からの同時受付
A総合病院の内科と整形外科から交付された2枚の処方箋を同時に受け付けました。
内科の処方箋にも,整形外科の処方箋にも一包化の指示があります。
内科-処方内容
アムロジピン5㎎ 1日1回 1錠 朝食後
アトルバスタチン10㎎ 1日1回 1錠 朝食後
整形外科-処方内容
ラロキシフェン60㎎ 1日1回 1錠 朝食後
アルファカルシドール錠1㎍ 1日1回 1錠 朝食後
内科単独,整形外科では,一包化加算の算定要件を満たしません。
内科処方と,整形外科処方を併せて一包化する場合は,一包化加算を算定できるでしょうか?
答:一包化加算を算定できます。
※日本薬剤師会「保険薬局業務指針」より引用
Q 同一保険医療機関の異なる診療科から交付された2枚の処方箋を同時に受け付けた場合(処方箋の受付回数が1回となる場合)において,個々の処方箋に記載された処方だけでは一包化加算の要件を満たさないが,2枚の処方箋の処方内容を併せれば要件を満たすような場合には,一包化加算を算定しても差し支えないか。なお,いずれも処方医による一包化の指示があるものとする。A 2枚の処方箋の処方内容を併せて一包化加算の算定要件(2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬)を満たしている場合には,一包化加算を算定して差し支えない。
例題:異なる保険医療機関からの同時受付
A内科医院とB整形外科医院から交付された2枚の処方箋を同時に受け付けました。
A内科医院の処方箋にも,B整形外科医院の処方箋にも一包化の指示があります。
内科-処方内容
アムロジピン5㎎ 1日1回 1錠 朝食後
アトルバスタチン10㎎ 1日1回 1錠 朝食後
整形外科-処方内容
ラロキシフェン60㎎ 1日1回 1錠 朝食後
アルファカルシドール錠1㎍ 1日1回 1錠 朝食後
内科単独,整形外科では,一包化加算の算定要件を満たしません。
内科処方と,整形外科処方を併せて一包化する場合は,一包化加算を算定できるでしょうか?
答:一包化加算はできません。
上の「例題:同一保険医療機関の異なる診療科からの同時受付」とほぼ一緒なのになんで?と思いますが、別医療機関の処方箋は「別受付」になるため,受付ごとの加算である一包化加算は算定できません。
※日本薬剤師会「保険薬局業務指針」より引用
Q 異なる保険医療機関から交付された2枚の処方箋を同時に受け付けた場合において,個々の処方箋に記載された処方だけでは一包化加算の要件を満たさないが,2枚の処方箋の処方内容を併せれば要件を満たすような場合には,一包化加算を算定しても差し支えないか。A 一包化加算は処方箋の受付1回につき1回のみ算定するものであり,質問の事例においては,別々の処方箋受付(受付回数が2回)となることから,一包化加算は算定できない。
※算定は出来ませんが、患者さんの利便性は向上するので、双方の医師へ「一緒に一包化する旨」を連絡し,一緒に一包化するのはアリです。
以下,調剤報酬点数表等からの引用です。
調剤報酬点数表(2018年改定反映)より引用
一包化加算
注3 2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化を行った場合には、一包化加算として、当該内服薬の投与日数に応じ、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 42日分以下の場合 投与日数が7又はその端数を増すごとに32点34点を加算して得た点数
ロ 43日分以上の場合 220点240点
調剤報酬点数表に関する事項(2018年改定反映)より引用
内服薬-ク 一包化加算の取扱い
内服薬-ク 一包化加算の取扱いは、以下のとおりとすること。
① 一包化加算は、処方箋の受付1回につき1回算定できるものであり、投与日数が 42 日分以下の場合には、一包化を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに 32点34点を加算した点数を、投与日数が 43 日分以上の場合には、投与日数にかかわらず 220 点240点を所定点数に加算する。
② 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。
③ 一包化は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものである。
④ 薬剤師が一包化の必要を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合は、その旨及び一包化の理由を調剤録等に記載する。
⑤ 患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等も算定できるが、処方箋の受付1回につき1回に限り算定する。
⑥ 同一薬局で同一処方箋に係る分割調剤(「区分番号 00」の調剤基本料の「注7」又は「注8」に係る分割調剤に限る。)をした上で、2回目以降の調剤について一包化を行った場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を所定点数に加算する。
⑦ 一包化加算を算定した範囲の薬剤については、自家製剤加算(「区分番号 01」の「注6」に規定する加算をいう。以下同じ。)及び計量混合調剤加算(「区分番号 01」の「注7」に規定する加算をいう。以下同じ。)は算定できない。
コメント