サムスカ-重大な副作用に急性肝不全を追記

薬・治療・病態 各論

2018年4月 医薬品・医療機器等安全性情報352号(厚生労働省発表)にて、サムスカ錠の添付文書の改訂が行われたと発表されました。

サムスカ錠の情報を整理しておきます。

改訂内容は、重大な副作用に「急性肝不全」が追記されたというもの。

※厚生労働省発表資料-使用上の注意の改訂について(その293)より引用

1 トルバプタン
[販売名]
サムスカ錠7.5mg,同錠15mg,同錠30mg,同顆粒1%(大塚製薬株式会社)

[副作用(重大な副作用)]
急性肝不全,肝機能障害:AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,Al-P,ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ,急性肝不全に至ることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。


サムスカ錠の基本情報

一般名(成分名)は トルバプタンです。

この薬は、利尿剤及び抗ホルモン剤と呼ばれるグループに属する薬ですが
「心不全(における体液貯留)」
「肝硬変(における体液貯留)」
「多発性のう胞腎」の方に使用される薬です。

※添付文書より引用
〔効能・効果〕
● ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
● ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留
● 腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制

(※下表,○:効能あり,-:効能なし)

効能・効果 錠7.5㎎ 錠15㎎ 錠30㎎ 顆粒1%
心不全における体液貯留
肝硬変における体液貯留
常染色体優勢多発性のう胞腎

 

※添付文書より引用
〔用法・用量〕
● 心不全における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを 1 日 1 回経口投与する。

● 肝硬変における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを 1 日 1 回経口投与する。

● 常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制の場合
通常、成人にはトルバプタンとして 1 日60mgを 2 回(朝45mg、夕方15mg)に分けて経口投与を開始する。
1 日60mgの用量で 1 週間以上投与し、忍容性がある場合には、
1 日90mg(朝60mg、夕方30mg)、
1 日120mg(朝90mg、夕方30mg)と 1 週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は 1 日120mgまでとする。

常染色体優性多発性のう胞腎とは

(※非常に大雑把な説明です)

腎臓にのう胞(誤解を恐れずに言うなら「みずぶくれ」)が沢山できてしまう事により腎機能が低下してしまう病気のこと。

 

この薬を使ってはいけない人はいますか?

サムスカを使用する目的(疾患)によっても異なるのですが、
「おしっこがほぼでない方」
「口が渇いても分らない方」
「水分を摂る事が出来ない方」
「高ナトリウム血症の方」
「水分補給が困難な肝性脳症の方」
「妊婦orその可能性のある方」
「重篤な腎機能障害のある方」
「肝機能障害のある方」 は、飲んではいけません。または、飲んではいけない可能性があります。

正しくは下記。

※添付文書より引用
〔禁 忌(次の患者には投与しないこと)〕
Ⅰ .心不全及び肝硬変における体液貯留の場合
Ⅰ-1 .本剤の成分又は類似化合物(モザバプタン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者
Ⅰ-2 .無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
Ⅰ-3 .口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
Ⅰ-4 .高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
Ⅰ-5 .適切な水分補給が困難な肝性脳症の患者[適切な水分補給が困難なため、循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
Ⅰ-6 .妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

Ⅱ .常染色体優性多発性のう胞腎の場合
Ⅱ-1 .本剤の成分又は類似化合物(モザバプタン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者
Ⅱ-2 .口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
Ⅱ-3 .高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
Ⅱ-4 .重篤な腎機能障害(eGFR 15mL/min/1.73m²未満)のある患者[本剤の効果が期待できない。]
Ⅱ-5 .慢性肝炎、薬剤性肝機能障害等の肝機能障害(常染色体優性多発性のう胞腎に合併する肝のう胞を除く)又はその既往歴のある患者[肝障害を増悪させるおそれがある。]
Ⅱ-6 .妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

 

重篤な副作用を起こさせない(まで至らせない)ために

私たち薬剤師がお薬をお渡しする際に再度、「脱水症状・高ナトリウム血症・肝機能障害・腎機能障害」等の副作用の初期症状・自覚症状を伝え、十分に体調の変化に気をつけてもらうよう話をすることがその方法の1つです。

 

副作用の初期(自覚)症状を伝える

(下記は、私ならこのように自覚症状をお伝えするという一例です。)

「脱水症状」・・喉や口の渇き、体がだるい、皮膚が乾燥する、体重が減少する、などの体調の変化があれば、脱水症状の初期症状の可能性があります。

「高ナトリウム血症状」・・のどが渇く、手足がふるえる、考えがまとまらない、意識が低下してきた、判断力が低下してきた、等の体調の変化があれば高ナトリウム血症の初期症状の可能性があります。

「肝機能障害」・・食欲不振、吐き気、嘔吐、身体がだるい、白目が黄色くなる、皮膚が黄色くなる、おしっこの色が濃くなる、等の体調の変化があれば肝機能障害の初期症状の可能性があります。

「腎機能障害」・・血圧が高かった、頭痛がする、おしっこの量が少なくなった、食欲不振、吐き気、むくみがでてきた、けいれんが起こった、等の体調の変化があれば腎機能障害の初期症状の可能性があります。

※このように(サムスカのように)患者さんにお伝え・注意しておきたい内容が多くある場合で、特に初回に服薬指導を行う際は「患者向け医薬品ガイド」を薬局で印刷し、これをお渡しして話をするのも良いでしょう。

サムスカは患者向け医薬品ガイドが作成されている薬剤です。




 

最後に

当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。


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