最新調剤機器のピットフォール(落とし穴)

ヒヤリ・ハット事例収集

調剤機器は年々進化して便利、そしてより安全になっていますが、それに伴って今までにはなかった新たな落とし穴も作られます。

薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業,共有すべき事例「2018年No.3事例1」に載っておりますが、こちらでも共有させていただきます。

最新調剤機器を導入しても,やはり人の目による監査は変わらず大事であると再認識させてくれる事例です.



事例

【事例の内容】
一包化調剤を行った際、ディオバン錠40mgの代わりにコニール錠4が1錠混入した。錠剤の形状や色が違うため、鑑査した薬剤師が気付き作り直すことができた。

【背景・要因】
ディオバン錠40mgはユニバーサルカセットを使用して分包した。カセットを調べたところディオバン錠40mgが1錠残っていたことから、正しく充填されたディオバン錠40mg以外にコニール錠4も1錠カセットに充填されたと考えられた。薬剤のカセットへの充填は、PTPシートのバーコードを照合した後に行うため、薬剤の取り違えはシステム上あり得ないことであった。錠剤をPTPシートから外す際はPTP除包機を使用しているが、ディオバン錠40mgを除包する前にコニール錠4を除包していたことがわかった。空気の乾燥により生じた静電気が原因で、コニール錠4がPTP除包機のトレイに残ったため、ディオバン錠40mgに混入したと考えた。その後、様々な薬剤を試してみたところ、トレイを逆さまにしても落ちてこない場合があることがわかった。

【薬局が考えた改善策】
手順に問題があると考え、PTP除包機を使用する際は必ず事前にトレイを開けて残薬が無いか確認してから作業することを申し合わせた。同様の現象が他店でも発生していることから、静電気以外に糖衣錠などの糖分によるベタつきも原因となり得ると考え、トレイを清掃することも合わせて申し合わせた。

※ユニバーサルカセットとは
自動分包機の従来のカセットは「1薬品のある規格専用」だった訳ですが、ユニバーサルカセットはあらゆる錠剤・カプセルに対応してくれます。
調剤機器メーカーでもあるユヤマの公式ページにある動画が分かり易いです。
(『小型分包機シャルティ-Ⅲ ユニバーサルカセット(UC)』という2分程の動画)

当薬局でも、ユニバーサルカセット(UC)シリーズの分包機を導入していますが、一包化で機械に任せられる部分が増えて大変役立っています。

 

事例のポイント

●調剤機器は年々進歩しているが、最新の機器であってもピットフォール(落とし穴)が生じることを念頭におき作業することが必要である。

●一包化調剤で誤りが生じた際に、原因を丁寧に追究したうえでその再発防止策を講じ、さらに他店とも情報共有するなど、調剤における安全対策として参考となる事例である。

●業務手順書にも反映し、確認作業を継続して行うことが望ましい。

 

ディオバン錠40㎎とコニール錠4㎎の見た目の違い

外形

ディオバン錠40㎎はこちら(色は白色)

 

コニール錠4㎎はこちら(色は黄色)

 

見た目は、「白色」と「黄色」ですので,大きく異なっています。

 

大きさ

ディオバン錠40㎎ コニール錠4㎎
直径 7.1mm 7.1mm
厚さ 2.8mm 3.3mm

比べてみると,錠剤の厚みは0.5㎜差、直径は全く同じ7.1㎜。
この程度の差だと、錠剤が混入してしまった場合ユニバーサルカセットは他薬とわからず分包してしまう事があるという事がわかりました。(2018年現在)

ユニバーサルカセット(UC)シリーズの分包機を導入している薬局として、この情報を共有してくれた「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」に大いに感謝します。

 

余談

ユニバーサルカセット(UC)シリーズの分包機は大変便利です。もし、知り合いの薬局関係者に「ユニバーサルカセットの分包機ってどう?導入しようか迷っているんやけど」と相談を受けたとしたら、「すぐに導入すべき」と答えます。それぐらい、当薬局ではユニバーサルカセットの分包機は役に立っています。


最後に

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