薬局薬剤師をしていると、患者さんから「私はメニエールだから・・」「私軽いメニエール病なんですけど・・」等の話を聞くことは少なくありません。
しかし専門医の話によると、「メニエール病だと思うんです」と受診された方のほとんどはメニエル病以外のめまい症等だとか。
患者さんが混同しがちな、「めまい症とメニエール病」について基本情報を確認してゆきます。
眩暈(めまい症)は大きく分けて3種類
めまいは大きく3種類に分けられます。
浮動感・・・フワフワする感じ。
意識喪失感・・・クラっとする感じ
回転性めまい・・・ぐるぐると視界が回る
浮動感
不安,うつ病,パニック障害で起こることが多い。
【治療薬-例】
向精神薬,抗不安薬
意識喪失感
脳血流の低下が原因で起こります。
起立性低血圧,不整脈,貧血などに伴なって起こることが多い。
【治療薬-例】
脳循環・代謝改善薬,交感神経刺激薬
回転性めまい
いわゆる「真のめまい」がこの回転性めまい。
回転性めまいを更に細分化すると「末梢性めまい」と「中枢性めまい」に分けられます。
【治療薬-例】
急性期治療薬例 | 一般名 | 簡易説明 |
---|---|---|
トラベルミン | ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合 | 悪心・嘔吐・めまいを抑える |
プリンペラン | メトクロプラミド | 制吐剤(消化器機能異常治療剤) |
メイロン | 炭酸水素ナトリウム | めまいに伴なう制吐作用 |
低分子デキストランL注 | 低分子デキストラン加乳酸リンゲル液 | 血漿増量・体外循環灌流液 |
慢性期治療薬例 | 一般名 | 簡易説明 |
---|---|---|
トラベルミン | ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合 | 抗ヒスタミン薬,制吐作用 |
メリスロン | ベタヒスチンメシル酸塩 | メニエール病・眩暈症に伴うめまい感改善 |
セファドール | ジフェニドール | 内耳障害に基づくめまい |
イソメニール | dl‐イソプレナリン | 内耳障害に基づくめまい |
イソバイド | イソソルビド内用液剤 | 浸透圧改善,メニエール病改善 |
末梢性めまい
メニエール病,前庭神経炎,良性発作性頭位めまい症 などによるめまい。
中枢性めまい
小脳や脳幹の出血や梗塞,小脳・脳幹腫瘍,聴神経腫瘍,多発性硬化症 などによるめまい。
メニエール病
メニエール病では「・回転性めまい」の症状だけではなく
・耳鳴,耳閉感など
・難聴(特に低音障害型の難聴)
の症状を示します。
メニエール病の病態は「内リンパ水腫」です。
この内リンパ水腫に対して、イソソルビド(代表的な商品名:イソバイド)が有効です。
他に,内耳循環改善薬や ビタミンB12が使用される事もあります。
そして「浮動感,意識喪失感,回転性めまい」の症状に対しては、対症療法として「めまい症」に用いるのと同じ治療薬が使われます。
ストレスがめまいの発症に関係?
めまいもメニエール病も、その発症にはストレスなどが関係するとされています。
そのため 睡眠導入剤や睡眠薬,抗不安薬などが著効を示す方もおられます。
「めまいで受診したのに、睡眠薬を処方された。なんで?」
「めまいで受診したのに、どうしてうつ病の薬なの?」
私(薬局薬剤師)も、このような質問を患者さんから受けたことがあります。
最後に
当サイトはあくまでも一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。
掲載する情報は、私が薬剤師として自身を持って「正しい」と言える情報だけに限定しています。しかし、日進月歩の医療の世界において、今正しいとされている情報が、未来もずっと正しいとは限りません。そういった理由から、このサイトでも間違った情報を伝えてしまう可能性があります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトの情報よりも、医師または薬剤師から直接指導を受けた内容を優先してください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。
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