結論から言うと基礎的医薬品とは、
「患者さんのためになる優良な薬が世の中から無くなってしまわないように、優良な薬は国が守るよ!」
という制度のことです。
薬の分類ではなく、そうゆう制度と考えたほうが理解しやすいです。
順を追って、基礎的医薬品の情報を整理してゆきます。
↑厚生労働省の、このページの
⇒第2 改定の概要
⇒3.薬価基準改定について(平成30年3月5日)[166KB]
このPDFファイルの5ページ目に「基礎的医薬品」の事が載っています。
まずはこちらからの引用です。
基礎的医薬品とは
<※「薬価基準改定について(平成30年3月5日)」からの引用>
Ⅴ 基礎的医薬品
1.下記の要件を満たす医薬品について、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し、その薬価を維持。
(1)医療上の位置付けが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らかであること
(2)当該既収載品並びに組成及び剤形区分が同一である全ての類似薬のうち、薬価収載の日から 25 年を経過しているものがあること
(3)当該既収載品と組成及び剤形区分が同一である類似薬がある場合には、当該既収載品を含む類似薬の平均乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと
(4)当該既収載品の市場実勢価格の薬価に対する乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと
区分 | 成分数 | 品目数 |
---|---|---|
不採算 | 119 成分 | 370 品目 |
病原生物 | 81 成分 | 205 品目 |
麻薬 | 9 成分 | 24 品目 |
生薬 | 48 成分 | 55 品目 |
軟膏基剤 | 3 成分 | 3 品目 |
歯科用局所麻酔剤 | 1 成分 | 3 品目 |
合計 | 261 成分 | 660 品目 |
※ 複数区分に該当する場合は、上の区分に分類
<※引用終わり>
基礎的医薬品を大雑把に要約すると
基礎的医薬品とは、大雑把に要約すると
『古くからあり、今も良く使用されており、値引き合戦されていない薬』を守る制度
のことです。
繰り返しになりますが
基礎的医薬品とは「新たな医薬品の分類」と考えるよりも「優良な薬剤を守るための制度」と考えることをおすすめします。
基礎的医薬品の制度で優良な医薬品及びその薬価を守ることが患者さんのためになります。
基礎的医薬品が「優良な医薬品を守る制度」とはどういう事か?
薬価は、その改訂の度に通常引き下げがあります。
薬価の引き下げ=患者さんにとっては薬代が安くなる。
なので、良い事のようですが、改訂の度にどんどん薬価が下がってしまうと、製薬会社にとってその製品(品目)は
「薄利な品目」⇒「不採算な品目」⇒「赤字品目」となります。
「赤字品目」とはつまり、売れば売るほど赤字が膨らむ状態です。
製薬会社と言えど「赤字品目」は販売を中止せざるを得ない場合もあります。
そうなるとせっかく「医療上の位置付けが確立し」「広く臨床現場で使用されている」薬剤が世の中から消えてしまうことになります。
それは患者さんにとって「確立された治療が受けられなくなる」という大きな不利益となります。
そうならないように、『古くからあり、今も良く使用されており、値引き合戦されていない薬剤』は今後も国が守ろう!という制度が基礎的医薬品なのです。
ですので「基礎的医薬品」については、「先発医薬品」や「後発医薬品」とは並べて考えない事をおすすめします。
具体例「タリビッド点眼液0.3%」で解説
「オフロキサシン」の点眼液0.3%、はこの(基礎的医薬品)対象品目リスト(別添4)に載っています。このリストの9ページ目です。
商品名で言うと、
タリビッド点眼液0.3%
オフロキサシン点眼液0.3%「日医工」
の2商品が「基礎的医薬品」の対象品目となりました。
そのため、下表のとおり
タリビッド点眼液0.3%の薬価は、¥105.40のまま維持
オフロキサシン点眼液0.3%「日医工」の薬価は、¥49.10から¥105.40に引き上げられています。
商品名 | H30.4新薬価 | 旧薬価 |
---|---|---|
タリビッド点眼液0.3% | 105.40 | 105.40 |
オフロキサシン点眼液0.3%「日医工」 | 105.40 | 49.10 |
オフロキサシン点眼液0.3%「サワイ」 | 45.60 | 49.10 |
オフロキサシン点眼液0.3%「SN」 | 45.60 | 49.10 |
オフロキサシン点眼液0.3%「杏林」 | 45.60 | 29.50 |
オフロキサシン点眼液0.3%「JG」 | 45.60 | 49.10 |
オフロキサシン点眼液0.3%「日新」 | 45.60 | 49.10 |
オフロキサシン点眼液0.3%「テバ」 | 45.60 | 49.10 |
オフロキサシン点眼液0.3%「CHOS」 | 45.60 | 49.10 |
オフテクター点眼液0.3% | 45.60 | 60.00 |
オフロキシン点眼液0.3% | 45.60 | 49.10 |
タリフロン点眼液0.3% | 45.60 | 49.10 |
ファルキサシン点眼液0.3% | 45.60 | 29.50 |
マロメール点眼液0.3% | 45.60 | 49.10 |
この『タリビッド点眼液0.3%』『オフロキサシン点眼液0.3%「日医工」』のような薬剤が販売中止になってしまう事態を防ごう!というのが基礎的医薬品という制度です。
※ちなみに上記「オフロキサシン点眼液0.3%」を厚生労働省のこのページの
5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)
にあるファイルで確認すると、1,2,3,☆,★はついていませんので、やはりこれらは「後発医薬品置換え率の計算」においては、分母にも分子にも入らないという事です。
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基礎的医薬品でも「変更調剤」は出来るのですが、その具体例を示した記事です。
最後に
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