薬局スタッフでも処方せんなしでは「処方箋医薬品」は購入できません(薬剤師であってもダメ)

法律・ルール

処方せん医薬品は、薬局スタッフであっても、薬局薬剤師であっても、薬局開設者であっても、処方せんなしで購入はできません。

これに違反をすれば当然罰されます。

違反により実際に罰されています。



埼玉県は、2018年2月9日、有限会社ドラッグストア※※(埼玉県和光市)に対し、医薬品医療機器等法(薬機法)第75条第1項に基づき、業務停止命令を行ったと発表した。

処分の対象となったのは、※※※※※※※※薬局(埼玉県和光市)。
同薬局は、東武東上線の和光市駅から徒歩3分ほどにある大型スーパーの1階にあり、1日300枚ほどの処方箋を応需している。
業務停止は、2018年2月10日から同16日までの7日間。

違反の内容は、同薬局が
(1)医師から処方箋の交付を受けていない人13人に対して、処方箋医薬品の抗菌薬や向精神薬を17品目販売
(2)従業員2人に対して、薬機法施行規則第205条で定められた文書の交付を受けずに劇薬2品目を販売
──というもの。
それぞれ薬機法第49条第1項、同法第46条第1項に違反した。現在までに販売を受けた人の健康被害は確認されていないという。

(日経メディカルより引用 一部改)

薬機法とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称

薬機法第49条第1項
薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。ただし、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでない。

薬機法第46条第1項
薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者(第3項及び第4項において「薬局開設者等」という。)は、毒薬又は劇薬については、譲受人から、その品名、数量、使用の目的、譲渡の年月日並びに譲受人の氏名、住所及び職業が記載され、厚生労働省令で定めるところにより作成された文書の交付を受けなければ、これを販売し、又は授与してはならない。

 

厚生労働省発表の「処方せん医薬品」の販売ルール

「薬剤師等」に対しても、業務目的の場合を除き, 処方箋の交付を受けた者以外の者に対して, 正当な理由なく「処方せん医薬品」の販売をしてはいけないということ。
を書いている条文が下記です。

※薬剤師に対してであっても、業務以外の理由で(例:薬剤師本人やその家族が使う目的で)処方箋医薬品を販売してはいけません。

(薬食発 0318 第4号 平成 26 年3月 18 日 厚生労働省医薬食品局長 通知より引用)

薬局医薬品のうち、処方箋医薬品については、薬剤師、薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業若しくは販売業者、医師、歯科医師若しくは獣医師又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者(以下「薬剤師等」という。)が業務の用に供する目的で当該処方箋医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合に販売(授与を含む。以下同じ。)する場合を除き、新法第 49 条第1項の規定に基づき、医師等からの処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売を行ってはならない
なお、正当な理由なく、医師等からの処方箋の交付を受けた者以外の者に対して処方箋医薬品を販売した場合については、罰則が設けられている。

しかし上記の通り、「正答な理由」があれば販売を行ってもよいです。

正当な理由」とは大雑把にいうと下記のような12パターンの事をいいます。

1・医師が処方箋を発行するのが困難なレベルの大規模災害の時
2・地方自治体が備蓄目的で購入を求めて来た際
3・市町村が予防接種に使う場合
4・助産所の開設者が臨時応急に使う場合
5・消防署等の設置者が、救急救命処置に使うからと購入を求めて来た場合
6・船員法施行規則をクリアした証明書を持って、船舶に備え付ける目的で購入を求めて来た際
7・薬学等の教育・研究機関が、教育・研究に使う場合
8・外公館の職員等の治療のためで、在外公館の医師等の指示がある場合
9・臓器のあっせんに必要な場合
10・試験検査機関に対し試験検査に必要な分を販売する場合
11・医薬品等の製造業者に原材料として販売する場合
12・獣医師の指示のもと動物に使用する場合

ちなみに、「正当な理由」の正しい条文は下記です。

(1)大規模災害時等において、本人が薬局又は店舗を訪れることができない場合であって、医師等の受診が困難又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合に、現に患者の看護に当たっている者に対し、必要な薬局医薬品を販売する場合
(2)地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る薬局医薬品を販売する場合
(3)市町村が実施する予防接種のために、市町村に対し、予防接種に係る薬局医薬品を販売する場合
(4)助産師が行う臨時応急の手当等のために、助産所の開設者に対し、臨時応急の手当等に必要な薬局医薬品を販売する場合
(5)救急救命士が行う救急救命処置のために、救命救急士が配置されている消防署等の設置者に対し、救急救命処置に必要な薬局医薬品を販売する場合
(6)船員法施行規則第 53 条第1項の規定に基づき、船舶に医薬品を備え付けるために、船長の発給する証明書をもって、同項に規定する薬局医薬品を船舶所有者に販売する場合
(7)医学、歯学、薬学、看護学等の教育・研究のために、教育・研究機関に対し、当該機関の行う教育・研究に必要な薬局医薬品を販売する場合
(8)在外公館の職員等の治療のために、在外公館の医師等の診断に基づき、現に職員等の看護に当たっている者に対し、必要な薬局医薬品を販売する場合
(9)臓器の移植に関する法律第 12 条第1項に規定する業として行う臓器のあっせんのために、同項の許可を受けた者に対し、業として行う臓器のあっせんに必要な薬局医薬品を販売する場合
(10)新法その他の法令に基づく試験検査のために、試験検査機関に対し、当該試験検査に必要な薬局医薬品を販売する場合
(11)医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の原材料とするために、これらの製造業者に対し、必要な薬局医薬品を販売する場合
(12)動物に使用するために、獣医療を受ける動物の飼育者に対し、獣医師が交付した指示書に基づき薬局医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)を販売する場合
(13)その他(1)から(12)に準じる場合

このような時だけは仕方なく販売するのはダメではない
という事ですが、通常薬局ではこのような場合に遭遇する事はありません。
(当薬局もいままで経験したことがありません。)

 

まとめ

「処方せん医薬品」は薬局薬剤師であっても自分で使うからという目的等での購入はできません。医師の指示である、処方箋は必ず要ります。「H26年からルールが変わっていたなんて知らなかった」では済ませられません

 

「処方箋医薬品」か「処方箋医薬品以外の医薬品」かを調べる簡単な方法

ある医療用医薬品が、「処方箋医薬品」であるか「処方箋医薬品以外の医薬品」であるかは、PMDAのこちらのページで調べることがおすすめです。

 

一般名・販売名の検索窓部分に「レボフロキサシン錠」と入れ「検索実行」を押します。
すると、右側の画面に検索結果が表示されます。
赤マルで囲った部分にしっかりと「処方箋医薬品」と出ていますね。

レボフロキサシン錠は、処方箋医薬品なので、処方せんを持たない人には販売できません。

 

一般名・販売名の検索窓部分に「カルボシステイン錠」と入れ「検索実行」を押します。
すると、右側の画面に検索結果が表示されます。
赤マルで囲った部分にしっかりと「処方箋医薬品以外の医薬品」と出ていますね。

この方法で簡単に調べることが出来ます。


関連記事

※最後に

自身の知識の整理として、書き残しています。解釈が間違っている部分があるかもしれません。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。

他にも色々と書いています

コメント