生活保護受給者にはジェネリック使用が2018年10月から原則化されました。

その他

生活保護法が改正されたことにより、2018年10月より生活保護の方へは
「原則、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を使用すること」となりました。
「単に患者の希望だけでは先発医薬品を調剤することはできない」となりました。

では『薬局薬剤師は今後どう(調剤)すればよいの?』との疑問が浮かびますが、結論から言うと下表のようになります。

病院・CLの処方箋が 薬局薬剤師はどうすればよいか
『先発名処方』で『変更不可印有・✓有』の場合 先発医薬品を調剤
『先発名処方』で『変更不可ではない』場合 ジェネリック医薬品を調剤
『一般名処方』の場合 ジェネリック医薬品を調剤

そして、例外として下記の行為は認められています。

例外
ジェネリック医薬品の在庫がない場合 例外として先発医薬品を調剤可
ジェネリック医薬品の薬価が先発医薬品の薬価よりも高い 例外として先発医薬品を調剤可
ジェネリック医薬品と先発医薬品の薬価が同額 例外として先発医薬品を調剤可
薬剤師の専門的な知見から先発医薬品を調剤する必要があると考えた場合 処方医に疑義照会し、医師の判断を確認

とにかく2018年10月現在、単に患者の希望だけでは先発医薬品を調剤することはできなくなりました。

以下、その他の詳細な内容や、上記の根拠となる情報を確認してゆきます。



関係法律-生活保護法第34 条第3項

参考のために改正前の条文から引用しておきます。

※改正前の条文
(生活保護法第34 条第3項)
医療の給付のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする。

つづいて、改正後の条文です。

※2018年10月1日改正
(生活保護法第34 条第3項)
医療の給付のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとすること。

条文によると ”医師又は歯科医師が” となっていますので、薬剤師が「この患者さんには先発医薬品が必要だ」と判断する(認める)事はできません。

薬剤師が「この患者さんには先発医薬品が必要だ」と考えた場合は、医師へ連絡(疑義照会)して医師に判断して(認めて)もらう。というのが国(厚生労働省)の考える正しい手順です。

 

東京都福祉保険局-指定薬局の皆様へ

続いて、東京都福祉保険局のホームページから情報を引用します。
生活保護法改正による後発医薬品の使用原則化について(生活保護法指定医療機関・指定薬局の皆様へ)のページ
リーフレット:指定薬局の皆様へ(PDFファイル)より引用した図


※1:薬局において在庫が無い場合を除く。ただし、その場合、以後は、後発医薬品を調剤できるよう体制整備に努める。
※2:患者が十分に自身の状況を医師等に伝えられず、薬局において、後発医薬品の使用への不安等から必要な服薬が期待できないと認められるような場合等が想定される。
※3:処方医に連絡が取れず、やむを得ない場合は、福祉事務所へ確認し、先発医薬品を調剤することも可能。(休日・夜間等福祉事務所にも連絡がとれない場合は、福祉事務所に事後報告でも可。⇒薬剤師は速やかに処方医に対し、調剤した薬剤について情報提供を行うとともに、次回の処方内容について確認する。

 

同リーフレット【生活保護を受けている方への調剤について】より引用

1. 生活保護を受けている方が、一般名処方又は後発医薬品への変更を不可としていない銘柄名処方の処方箋を持って、調剤を受けに来ましたら、下の囲みにある取組内容を説明していただき、原則として後発医薬品を調剤するようお願いします。

下の囲みにある取組内容とは、下の①、②のこと
生活保護における後発医薬品に関する取組内容
① 後発医薬品の品質や効き目、安全性は、先発医薬品と同等であり、医療財政の健全化を図るため、行政や医療保険など国全体で後発医薬品の普及に取り組んでいます。
② 生活保護では、医師または歯科医師により後発医薬品の使用が可能であると判断された場合は、原則として後発医薬品が調剤されることとなりました。

2. 一般名処方又は後発医薬品への変更を不可としていない銘柄名処方の場合、例外として、先発医薬品を調剤できるのは、①在庫がない場合と②後発医薬品の薬価が先発医薬品の薬価よりも高くなっている又は先発医薬品の薬価と同額となっている場合です。

3. また、薬剤師の専門的な知見から先発医薬品を調剤する必要性があると考えられた場合は、処方医に疑義照会を行い医師の判断を確認した上で、調剤するようお願いします。ただし、処方医との連絡が取れず、やむを得ない場合は、福祉事務所へ確認いただき、先発医薬品を調剤することも可能です。

※初回調剤時に、休日や夜間等、福祉事務所にも連絡が取れない場合には、事後的に福祉事務所に報告することとして、先発医薬品を調剤することも可能です。
※こうした対応を行った場合は、速やかに(遅くとも次回受診時までに)、処方医に対し、調剤した薬剤の情報を提供するとともに、次回の処方内容について確認してください。

○ これまでは、先発医薬品を希望する者については、一旦は先発医薬品を調剤し、指定薬局はその事情について聴取することとしておりましたが、今後は、単に患者の希望だけでは先発医薬品を調剤することはできなくなりますので、この仕組みは廃止となります。

 

それと、参考までに同ページに載っていました

医療機関(病院・CL)向けのリーフレット
リーフレット:指定医療機関(病院・診療所)の皆様へ(PDFファイル)
も確認しておくとわかりやすいですし、

生活保護受給者(患者さん)向けのリーフレット
リーフレット:生活保護を受給されている方へお知らせ(後発医薬品の使用が原則になります)(PDFファイル)
リーフレット:生活保護を受給されている方へ(後発医薬品について)(PDFファイル)
も確認しておくと、患者さんにどうしてこうなったの?と聞かれた際も、こたえやすいです。



その他ー関連リンク

生活保護関係全国係長会議資料


今回の生活保護法改正のベースとなる資料があるページです。

 

平成30年9月28日 厚生労働省社会・援護局
指定医療機関医療担当規程の一部を改正する件(告示)に係る意見募集に対して寄せられた御意見について


Q&A形式で、細かい質問(意見)に対しての返答(考え方)を書いてくれています。

 

最後に

・・・ちなみに現時点(2018年10月)では、生活保護需給患者さんにジェネリック医薬品を使わなかったとしても、それに対する罰則規定はないようです。

当記事は厚生労働省等の正式発表資料を読んだ薬剤師個人が自身の今後の行動方針を決めるために書きまとめたものです。正しくは、厚生労働省の正式発表資料を参照し、そちらに従ってください。また、当サイトはあくまで一般的な注意点や説明や内容を記載しています。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。

他にも色々と書いています
その他
スポンサーリンク
ikpdi.com

コメント