・ブロメライン軟膏
・ゲーベンクリーム
・カデックス軟膏
・フランセチン・T・パウダー
・ヨードホルムガーゼ
・デブリサンペースト
などがよく用いられます。 しかし、褥瘡の壊死組織除去ならどれを使ってもOK!という訳ではありません。
創の状態や、壊死組織の種類によっても使い分けが必要になります。
壊死組織が表皮なのか、真皮なのか、また脂肪、筋、筋膜、腱、靭帯、骨なのかによってもアプローチが異なります。 以下、その使い分け方を確認してゆきます。
関連記事
壊死組織は黒色(壊死組織)と黄色(壊死組織)に分けられます。黒色期や黄色期については、こちらの記事にも書きました。
ブロメライン軟膏
[添付文書]
※画像はマルホのページより引用
ブロメライン軟膏はマクロゴール基剤で吸水性がありますので、湿潤のある面(Wetな創)に用います。
脂肪組織や 筋肉組織の 壊死組織を除去するのに適しています。(脂肪層・筋層)
ブロメライン軟膏が周り皮膚に付着すると皮膚炎を起こすことがあるため、ワセリンで創周囲を保護するとよいです。
壊死組織が減少し、肉芽が増え始めてきたら使用を中止します。
※ブロメライン軟膏は製薬会社のスペシャルページも大変参考になります。
ゲーベンクリーム
[添付文書]
※画像は田辺三菱製薬のページより引用
ゲーベンクリームは乳剤性基剤で補水性がありますので、乾いた面(Dryな創)に用います。
主成分の スルファジアジン銀 に抗菌作用があります。 表皮 や 真皮 などの皮膚表層の壊死組織を除去するのに適しています。
カデックス軟膏
[添付文書]
※画像はスミス&ネフューのページより引用
カデックス軟膏は吸水性のある基剤ですので湿潤のある面(Wetな創)に用います。
しかし、その吸水性は水分保持という感じで強くはありません。
乾いた創には使いません。
また、滲出液が減ってきた時には創面に固着するので、これにも注意が必要です。 ヨウ素が主成分のため、安定した殺菌消毒作用が期待できます。
感染した創にも使用可能です。
フランセチン・T・パウダー
[添付文書]
※画像は持田製薬のページより引用
有効成分は
フラジオマイシン(抗菌薬)と トリプシン(蛋白分解酵素)です。
蛋白分解酵素であるトリプシンが、病巣及び周辺の膿苔、線維素、壊死組織などを融解除去して、細菌に対する栄養源を絶つとともに、創面を清浄化して肉芽組織の新生を促進します。
ヨードホルムガーゼ
[添付文書]
※画像はタマガワエーザイのページより引用
線維性のⅠ型コラーゲンを分解するので、腱や靭帯の壊死組織除去に用いられます。
※Ⅰ型コラーゲンは腱や靭帯の壊死組織に多く存在しています。
ヨードホルムが創傷・潰瘍から出る血液や分泌物に溶けて分解し、ヨウ素を遊離する結果、殺菌作用をあらわします。 ヨードホルムガーゼの使い方については、タマガワエーザイのこちらのページの動画も大変参考になります。
デブリサンペースト
[特定特定保険医療材料][医療機器]吸水能力が高いので、湿潤のある面(Wetな創)に用います。水分保持性もあります。
滲出液が減ってきた時には、創面に固着するので注意が必要です。
乾いた創には用いられません。
水分(浸出液)以外に、細菌や壊死組織を吸着する作用もあります。
関連記事
褥瘡治療薬(塗り薬)使い分け・特徴一覧
自分の知識の整理のために、書きまとめています。より正しい情報・新しい情報を知りたい方は『日本褥瘡学会』等のページを参照されることをおすすめします。 ※当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合...
薬剤師が教える褥瘡治療の基礎知識
※当記事は、日本薬剤師会作成の「褥瘡の知識(pdfファイルが開きます)」という冊子の情報を主に引用・抜粋・編集等して作成しています。※当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬...
薬剤師が知っておくべき褥瘡予防の基礎知識
薬剤師が、在宅や介護事業所と連携を行う上で必須となる知識の1つに「褥瘡」についての知識があります。例えば、ある薬剤師が生活習慣病について地域で1番詳しくても「褥瘡」についてあまり知らないのであれば、在宅や介護の現場では頼りにはされません...
薬剤師は外用薬を実技指導で患者さんに塗っても良いのか
結論から言うと、薬剤師による外用剤の実技指導はできます。薬剤師が患者さんに、塗ったり貼ったりしてOKです。薬剤師による外用剤の実技指導はできます薬剤師による、外用剤の実技指導は医療行為には該当しません。在宅等の場面において、患者さ...
最後に
当ページは筆者自身の知識の整理のために作成しました。実際の治療はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。
掲載する情報は、私が薬剤師として自信を持って「正しい」と言える情報だけに限定しています。しかし、日進月歩の医療の世界において、今正しいとされている情報が、未来もずっと正しいとは限りません。そういった理由から、このサイトでも間違った情報を伝えてしまう可能性があります。
当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトの情報よりも、医師または薬剤師から直接指導を受けた内容を優先してください。
当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。
他にも色々と書いています
コメント