2019年のゴールデンウィークは10連休となりました。
しかし私達医療関係者は
「10連休は嬉しいけど、患者さんは大丈夫かな?」
「休みの間、患者さんの薬が足りなくなったりしないかな?」
「だから、診療報酬上は何か特別ルールがあるの?」という疑問が浮かびます。
これについて、厚生労働省がその取扱いを発表しておりましたので、当サイトでも引用して確認しておきます。
※結論を言うと”10連休”も
・他の休日と同じように扱う
・『特別ルール』は無し
という内容でした。
本年4月 27 日から5月6日までの 10 連休等の長期連休における診療報酬等の取扱いについて(保医発0130第1号 平成31年1月30日)からの引用
以下、引用です。
昨年12月14日に「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」(平成30年法律第99号)が公布・施行されたことに伴い、
本年4月27日から5月6日までの間については、10日間連続の休日(以下「10連休」という。)となることが決定したところである。当該法律に係る国会の附帯決議を踏まえ、10連休における医療提供体制の確保については、
「本年4月27日から5月6日までの10連休における医療提供体制の確保に関する対応について」(平成31年1月15日医政発0115第1号・薬生発0115第2号・障発第0115第1号)により、必要な医療が提供できるよう、地域の実情に応じて必要かつ十分な医療機関、薬局等が対応できる体制を構築することとされているが、
診療報酬等の取扱いについては、下記のとおりであるので、その取扱いに遺漏のないよう貴管下の保険医療機関及び保険薬局並びに審査支払機関等に周知徹底を図られたい。なお、下記の取扱いについては、他の長期連休においても同様である。
(10連休の)診療報酬等の取扱いについて
記
1 「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表第1章区分番号A000に掲げる初診料の注7、注8、区分番号A001に掲げる再診料の注5、注6、区分番号A002に掲げる外来診療料の注8及び注9、別表第二歯科診療報酬点数表第1章区分番号A000に掲げる初診料の注7、注8、区分番号A002に掲げる再診料の注5及び注6並びに別表第三調剤報酬点数表第1節区分番号01に掲げる調剤料の注4に規定する休日加算の取扱いについては、従前のとおりとする。
2 「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(昭和32年厚生省令第15号)第20条第2号ヘ、ト及び第21条第2号ヘに規定する投薬の取扱い並びに第20条第3号イ及び第21条第3号イに規定する処方箋の交付の取扱いについては、従前のとおりとする。
なお、処方箋の記載上の留意点については、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)を参考にされたい。
(参考)
○診療報酬請求書等の記載要領等について(昭和 51 年8月7日保険発第 82 号)(抄)
別紙2 診療録等の記載上の注意事項
第1~4(略)
第5 処方箋の記載上の注意事項
1~5(略)
6 「処方箋の使用期間」欄について
(1) (略)
(2) 患者の長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合に、交付の日を含めて3日以内又は交付の日を含めて4日を超えた日より調剤を受ける必要がある場合には、年月日を記載すること。この場合において、当該処方箋は当該年月日の当日まで有効であること。
(3) (略)
7(略)
8 「備考」欄について
(1) ~(2)(略)
(3) 長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認め、必要最小限の範囲において、投薬量が1回14日分を限度とされる内服薬及び外用薬であって14日を超えて投与した場合は、その理由を記載すること。
9・10(略)
以上、引用終わり。
内容をピックアップして確認
休日加算
調剤料の注4に規定する休日加算の取扱いについては、従前のとおりとする。
このような文面がありました。
ですので、休日加算について確認しておきます。
(休日加算)
注4 保険薬局が開局時間以外の休日(深夜を除く)において調剤を行った場合は、休日加算として、所定点数の100分の140に相当する点数を所定点数に加算する。ただし、専ら夜間における救急医療の確保のために設けられている保険薬局において別に厚生労働大臣が定める時間において調剤を行った場合は、所定点数の100分の100に相当する点数を所定点数に加算する。
更に、調剤報酬点数表に関する事項からの引用です。
(9) -カ-(ロ)休日加算は次の患者について算定できるものとする。
なお、①以外の理由により常態として又は臨時に当該休日に開局している保険薬局の開局時間内に調剤を受けた患者については算定できない。① 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による休日当番保険薬局等、客観的に休日における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者
② 当該休日を開局しないこととしている保険薬局で、又は当該休日に調剤を行っている保険薬局の開局時間以外の時間(深夜を除く。)に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者
つまり、ゴールデンウィーク(4/27~5/6)に休日加算を算定できる薬局は下記3種類のいずれかに該当する薬局だけです。
・救急医療対策の一環として設けられている施設
・輪番制による休日当番保険薬局
・客観的に休日における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局
ですから、
「4/30は並びのクリニックが開けるから、自分の所の薬局も開けるよ」
という薬局は休日加算は算定できません。
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しかし、「4/30は並びのクリニックが開けるから、自分の所の薬局も開けるよ」という薬局も何も算定できない訳ではありません。
夜間休日等加算
「4/30は並びのクリニックが開けるから、自分の所の薬局も開けるよ」という薬局も夜間休日等加算が算定できます。
この日4/30(火)は休日です。休日に開けて、表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合、夜間休日等加算が算定できます。
夜間・休日等加算
注5 午後7時(土曜日にあっては午後1時)から午前8時までの間(深夜及び休日を除く。)、休日又は深夜であって、当該保険薬局が表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合は、夜間・休日等加算として、処方箋受付1回につき40点を所定点数に加算する。ただし、注4のただし書に規定する場合にあっては、この限りでない。
注4のただし書
ただし、専ら夜間における救急医療の確保のために設けられている保険薬局において別に厚生労働大臣が定める時間において調剤を行った場合は、所定点数の100分の100に相当する点数を所定点数に加算する。
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処方箋の有効期間は通常4日間
厚生労働省発表の資料の中にこのような一文がありました。
(2) 患者の長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合に、交付の日を含めて3日以内又は交付の日を含めて4日を超えた日より調剤を受ける必要がある場合には、年月日を記載すること。この場合において、当該処方箋は当該年月日の当日まで有効であること。
例えば、2019/4/26(金)に診察と処方箋の交付を受けたが、この日や翌日の土曜日のうちに薬局にて薬を調剤してもらえない等の特殊の事情がある場合は、有効期間を2019年5月7日まで等記載してもらう必要があります。
結論
ゴールデンウィーク中の例えば4/30や5/2に、近隣の病院やクリニックが開けるので、自分の薬局も開ける という場合、算定できるのは通常「休日加算」ではなく「夜間・休日等加算」です。
ゴールデンウィーク直前に処方箋の交付を受けた患者さんの処方箋が有効期間切れとなってしまわないよう、前もって患者さんに伝えてゆきたいところです。
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