【2019年流行】はしか(麻疹)とは 症状,潜伏期間,予防方法,治療方法を確認

薬・治療・病態 各論

麻疹(はしか)とは~麻疹(はしか)の基本情報~

感染経路(どうやってうつるの?)

空気感染,飛沫感染,接触感染によってうつります。

 

症状の経過(感染後いつから発症して、症状はどうなるの?

麻疹(はしか)の免疫を持っていない方が、感染してしまった場合は下記のような経過をたどります。

感染~潜伏期(10~12日間)

・感染後すぐに発症する訳ではなく潜伏期間があります。
通常感染後10~12日後に発症します。

前駆期・カタル期(2~4日間)

・38 ℃前後の発熱が2~4日間続きます。倦怠感もあるので、小児では不機嫌となります。
・熱や倦怠感の他には、咳や鼻水や喉の痛み、眼にも充血や目やに、といった症状が徐々に表れ強くなります。
・乳幼児では下痢、腹痛が伴うこともあります。体に発疹が出てくる1~2 日前に口内粘膜に、やや隆起した約1mm 径の白色小斑点(コプリック斑)が出現します。

※この時期が最も他人にうつしやすい時期です。

発疹期(3~5日間)

・カタル期での発熱が1℃程度下降した後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5 ℃以上)になります。(2峰性発熱)
・また麻疹(はしか)特有の発疹が耳のうしろや、くび、額(ひたい)から出現します。

画像は国立感染症研究所のページより引用

・発疹は次の日には顔面、体幹、上腕に広がります。2日後には手足の末端にまで広がります。
・発疹が全身に広がるまで、高熱(39.5℃以上)が3~4日間続きます。

※他人にうつしやすい時期です。

回復期

・発疹出現後、発熱は3~4日間続いたあと解熱し始めます。
・解熱に伴い、全身状態や活力も徐々に改善してきます。
・発疹は退色します(赤みは消えてゆきます)が、(茶色っぽい)色素沈着が起こります(しばらく残ります)。(※この頃には他人にうつす可能性はかなり低くなっています。
・また、発疹をおこした皮膚がボロボロと崩れ落ちることもあります。

 

注意が必要な合併症

麻疹の二大死因は肺炎脳炎です。
これらの合併症に大変な注意が必要です。

また、罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎知能障害、運動障害が徐々に進行してしまう)にも注意が必要です。2歳未満で麻疹(はしか)に罹患してしまった場合、このリスクが高まります。




治療方法

麻疹(はしか)そのものを治療する方法は、まだありません。

薬物治療は対症療法が中心となります。
※対症療法とは・・発熱に対しては、解熱薬を使う。咳に対しては、鎮咳薬を使う。といった起こっている症状に対して行う治療の事です。

 

予防方法

麻疹は空気感染するため、手洗いやマスクでは予防しきれません。

有効な予防方法は、ワクチンによる予防となります。

※2019年現在日本では麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)による2回接種法が定期接種に導入されています。
第1期:1歳児
第2期:小学校入学前の一年間の幼児

ワクチンの効果

ワクチン1回接種による免疫獲得率は93~95%以上、
ワクチン2回接種による免疫獲得率は97~99%以上と報告されています。

初回接種後に発熱が約20~30%、発疹が約10%に起こることがあります。しかし、いずれも軽症で、ほとんどは自然に消失します。

国立感染症研究所のページより引用
我が国における現行の予防接種法では、1歳児(第1期)と小学校入学前一年間の幼児(第2期)を対象として麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)による2回接種法が定期接種に導入されているが、MRワクチン接種は、疾患に罹患した場合の重症度、感染力の強さから考え、第1期の接種年齢に達した後なるべく速やかに、少なくとも生後12~15カ月に接種することが望ましい。

国立感染症研究所のページより引用
ワクチン接種後2週間後から麻疹特異的な血中抗体が出現するが、麻疹患者と接触後、緊急(72時間以内)に麻疹含有ワクチンの接種を受けることで、発症を予防できる可能性がある。

 

良くなったら、いつから登校していいの?

麻しんは『第2種の学校感染症』に定められています。

通常解熱した後3日を経過するまで出席停止となります。
※同居の家族の感染状況や、医師や学校医の判断によって変更されます。

 



情報引用元

上記の根拠となる情報は下記です。

※国立感染症研究所のページより引用
麻疹は麻疹ウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)によって引き起こされる感染症であり、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は極めて強い。麻疹に対して免疫を持たない者が感染した場合、典型的な臨床経過としては10~12日間の潜伏期を経て発症し、カタル期(2~4日間)発疹期(3~5日間)回復期へと至る。ヒトの体内に入った麻疹ウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もある。麻疹肺炎は比較的多い合併症で麻疹脳炎とともに二大死亡原因といわれている。さらに罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)などの重篤な合併症もある。先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性がある。わが国においても2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡していた。世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計によれば、麻疹による死亡は全体の1.2%を占めている (1)。唯一の有効な予防法はワクチンの接種によって麻疹に対する免疫を獲得することであり、2回のワクチン接種により、麻疹の発症のリスクを最小限に抑えることが期待できる。

国立感染症研究所のページより引用
麻しんは第2種の学校感染症に定められており、解熱した後3日を経過するまで出席停止とされている。ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りでない。また、以下の場合も出席停止期間となる。
・患者のある家に居住する者又はかかっている疑いがある者、かかるおそれがある者については、予防処置の施行その他の事情により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
・発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
・流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間

麻疹とは

※当ページは、主に「国立感染症研究所」発表の情報を参照し、書きまとめました。
当ページより詳細な情報をお求めのかたは、国立感染症研究所の麻疹のページもご確認下さい。

 

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