在宅患者調剤加算とは,あらかじめ施設基準を届出した薬局が,在宅患者訪問等を行っている患者の処方箋を受付した場合、処方箋受付1回につき15点を加算して算定できる調剤報酬です。
※あらかじめ施設基準を届出していないと算定できません。
※全患者に算定できる訳ではありません。
在宅患者調剤加算を算定するための施設基準
在宅患者調剤加算を算定するためには「施設基準を届出」しないといけません。
まずはこの「施設基準」を確認しましょう。
✔ | 在宅患者調剤加算を算定するための施設基準 |
---|---|
□ | 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行っていること |
□ | 「在宅患者訪問薬剤管理指導料,居宅療養管理指導費,介護予防居宅療養管理指導費」を前年3月1日から当年2月末日までの間に計10回以上行っている |
□ | 緊急時等には開局時間以外の時間においても在宅業務に対応できる体制が整備されていること |
□ | 在宅業務実施体制に係る周知を自ら又は地域の薬剤師会等を通じて十分に行っていること |
□ | 在宅業務スタッフの資質の向上のために、研修実施計画を作成し、計画通りに研修を実施していること |
□ | 定期的に在宅業務に関する学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む)を受けさせていること |
□ | 薬剤師スタッフに対して、薬学等の団体・大学等による研修認定の取得をさせていること(努力義務) |
□ | 薬剤師スタッフに対して、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていること(努力義務) |
□ | 医療材料及び衛生材料を供給できる体制であること |
□ | 麻薬小売業者の免許を取得していること |
在宅患者調剤加算を算定できる患者
在宅患者調剤加算を算定できる患者さんは
・在宅患者訪問薬剤管理指導料
・在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
・在宅患者緊急時等共同指導料
・居宅療養管理指導費
・介護予防居宅療養管理指導費
の,いずれかを算定している患者さんのみです。
後発医薬品調剤体制加算のように,全患者さんに算定できる訳ではありません。
在宅患者調剤加算で算定できる点数
「施設基準クリア」のハードルは低くはないのですが,在宅患者調剤加算で算定できる点数は15点だけです。
しかも、患者さん全員に算定できるのではなく,算定できるのは上で確認した通り「在宅訪問等」へ行っている患者さんのみです。
この加算は、算定してもしなくても経営的な影響はかなり小さい加算です。
しかし、「この加算をとっているか否か」は「在宅を本当にやっている薬局である」という証明にもなる加算です。
個人的には、大事な加算だと考えています。
以下は、上記の根拠となる情報です。
調剤報酬点数表(2020年改定)からの引用
在宅患者調剤加算
注8 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者その他厚生労働大臣が定める患者に対する調剤を行った場合に、在宅患者調剤加算として、処方箋受付1回につき15点を所定点数に加算する。
調剤報酬点数表に関する事項(2020年改定)からの引用
(13) 在宅患者調剤加算
在宅患者調剤加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料若しくは在宅患者緊急時等共同指導料又は介護保険における居宅療養管理指導費若しくは介護予防居宅療養管理指導費が算定されていない場合は、算定できない。ただし、「区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(4)において規定する在宅協力薬局が処方箋を受け付けて調剤を行った場合は、この限りでない。
特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(2020年改定)からの引用
(1) 地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行っている保険薬局であること。
(2) 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績として、当該加算の施設基準に係る届出時の直近1年間の在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者オンライン服薬指導料を除く。)、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の算定回数が、合算して計 10 回以上であること。
(3) 緊急時等の開局時間以外の時間における在宅業務に対応できる体制が整備されていること。緊急時等に対応できる体制の整備については、在宅協力薬局の保険薬剤師と連携して対応する方法を講じている場合も含むものである。
(4) 地方公共団体、保険医療機関及び福祉関係者等に対して、在宅業務実施体制に係る周知を自ら又は地域の薬剤師会等を通じて十分に行っていること。
(5) 当該保険薬局において、在宅業務従事者等の資質の向上を図るため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づき研修を実施するとともに、定期的に在宅業務に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。併せて、当該保険薬局の保険薬剤師に対して、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていることが望ましい。
(6) 医療材料及び衛生材料を供給できる体制を有していること。
また、患者に在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局に対し保険医療機関から衛生材料の提供を指示された場合は、原則として衛生材料を当該患者に供給すること。なお、当該衛生材料の費用は、当該保険医療機関に請求することとし、その価格は保険薬局の購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねるものとする。
(7) 麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。
(8) 施設基準に適合するとの届出をした後は、(2)については、前年3月1日から当年2月末日までの実績により判定し、当年の4月1日から翌年の3月末日まで所定点数を算定できるものとする。
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最後に
当記事は厚生労働省発表の資料を基に作成した記事です。自身の知識の整理のために書いています。正しくは、厚生労働省の正式発表資料を参照してください。また、当サイトはあくまで一般的な注意点や説明や内容を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。
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