令和6年度調剤報酬改定の主なポイントは、大きく3つに分けられます。
それが、
・地域の医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制評価の見直し
・質の高い在宅業務の推進
・かかりつけ機能を発揮して患者に最適な薬学的管理を行うための薬局・薬剤師業務の評価の見直し
こちらの3つです。
それぞれについて細かく見てゆきましょう。
地域の医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制評価の見直し
調剤基本料の評価の見直し
• 地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、地域医療に貢献する薬局の整備を進めていくこと、職員の賃上げを実施すること等の観点から調剤基本料の引上げ
• 調剤基本料2の算定対象拡大による適正化(1月における処方箋の受付回数が4,000 回を超え、かつ、処方箋受付回数が多い上位3の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の合計が7割を超える薬局)
かかりつけ機能に係る薬局の評価(地域支援体制加算)の見直し
• 薬局の地域におけるかかりつけ機能を適切に評価する観点から要件を強化
• 他の体制評価に係る評価を踏まえた点数の見直し
新興感染症等に対応できる薬局の評価(連携強化加算)の見直し
• 改正感染症法の第二種協定指定医療機関の指定要件を踏まえた見直し
医療DXの推進
• 医療DXに対応する体制(電子処方箋、マイナ保険料利用率、電子カルテ情報共有サービス、電子薬歴等)を確保している場合の評価を新設
その他の見直し
• 特別調剤基本料の区分新設(いわゆる同一敷地内薬局、調剤基本料の届出がない薬局に区別)
• いわゆる同一敷地内薬局の評価見直し
質の高い在宅業務の推進
在宅業務に係る体制評価
• ターミナルケア、小児在宅医療に対応した訪問薬剤管理指導の体制を整備している薬局の評価を新設
ターミナル期の患者への対応に係る評価充実
• 医療用麻薬を注射で投与されている患者を月8回の定期訪問ができる対象に追加(介護報酬も同様の対応)
• ターミナル期の患者の緊急訪問の回数を月4回から原則月8回に見直し
• ターミナル期の患者を夜間・休日・深夜に緊急訪問した場合の評価新設
• 医療用麻薬の注射剤を希釈しないで無菌調製した場合の評価追加
在宅患者への薬学的管理及び指導の評価の拡充
• 処方箋交付前の処方提案に基づく処方変更に係る評価新設
• 退院直後などの計画的な訪問が始まる前に患家を訪問して多職種と連携した薬学的管理・指導を行った場合の評価新設
高齢者施設の薬学的管理の充実
• ①ショートステイの利用者への対応、②介護医療院、介護老人保健施設の患者に対して処方箋が交付された場合の対応の評価新設(服薬管理指導料3)
• 施設入所時等に服薬支援が必要な患者に指導等を行った場合の評価新設
かかりつけ機能を発揮して患者に最適な薬学的管理を行うための薬局・薬剤師業務の評価の見直し
かかりつけ薬剤師業務の評価の見直し
• 休日・夜間等のやむを得ない場合は薬局単位での対応でも可能とする見直し
• かかりつけ薬剤師と連携して対応する薬剤師の範囲見直し(複数名可)
• かかりつけ薬剤師指導料等を算定している患者に対して吸入指導を実施した場合の評価、調剤後のフォローアップ業務の評価が算定可能となるよう見直し
調剤後のフォローアップ業務の推進
• 糖尿病患者の対象薬剤拡大(インスリン製剤等→糖尿病薬)
• 慢性心不全患者へのフォローアップの評価を新設
医療・介護の多職種への情報提供の評価
• 介護支援専門員に対する情報提供の評価を新設
• リフィル処方箋調剤に伴う医療機関への情報提供の評価を明確化
メリハリをつけた服薬指導の評価
• ハイリスク薬の服薬指導(特定薬剤管理指導加算1)における算定対象となる時点等の見直し
• 特に患者に対して重点的に丁寧な説明が必要となる場合における評価(特定薬剤管理指導加算3)を新設(①医薬品リスク管理計画に基づく説明資材の活用等の安全性に関する特段の情報提供の場合、②長期収載品の選定療養、供給不足による医薬品の変更の説明をした場合の評価)
調剤業務に係る評価(自家製剤加算)の見直し
• 嚥下困難者用製剤加算を廃止し飲みやすくするための製剤上の調製を行った場合の評価を、自家製剤加算での評価に一本化
• 供給不足によりやむを得ず錠剤を粉砕等する場合でも加算が算定できるよう見直し
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