重複投薬・相互作用等防止加算とは

【過去】調剤報酬

重複投薬・相互作用等防止加算は、患者からの情報,薬歴等からの情報により,薬剤師が「重複投薬を防ぐ」「相互作用を防ぐ」「残薬を有効活用する」等のために処方医に連絡・照会をし,処方の変更が行われた場合に算定できる点数(40点or30点)です。

 

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「残薬調整に係るもの」と「残薬調整に係るもの以外」に分けて考える

重複投薬・相互作用等防止加算 を理解するためにはまず、
「残薬調整に係るもの」と
「残薬調整に係るもの以外」とに分けて考えます。

 

残薬調整に係るもの(30点)

残薬調整関係については,
残薬について「処方医に対して連絡・確認」を行い「処方の変更」が行われた場合に算定できます。
この場合、算定できる点数は30点です。

具体例(残薬調整)

他薬とともにセンノシド錠12㎎が処方されていたが、処方箋を受け取った際,患者さんにお話しを聞いた所(先確認した所)『センノシド錠12㎎は今回処方されている量と同じだけ丸々残っている』との事。
処方医に対して”センノシド錠12㎎は今回処方削除して欲しい旨”連絡した所、今回はセンノシド錠12㎎は処方削除となった。

はい。
こういったケースで算定できます。

 

残薬調整に係るもの以外(40点)

続いて、残薬調整以外の場合です。
重複防止や相互作用防止」等の目的で、「処方医に対して照会」を行い「処方の変更」が行われた場合に算定できます。
この場合、算定できる点数は40点です。

具体例(重複防止)

A内科医院にて、
ラニラピッド錠0.1㎎ 1錠 1日1回朝食後
フロセミド錠40㎎ 2錠 1日1回朝食後
上記処方を服用中の患者さんが,脚の浮腫み・痛みのため整形外科を受診した。
B整形外科医院では、下記処方が出た。
ロキソプロフェンナトリウム錠60㎎ 3錠 1日3回毎食後
ラシックス錠20㎎ 1錠 1日1回朝食後
B整形外科医院に、この患者さんは内科処方にてフロセミド錠80㎎/日を服用中である事を連絡した所、ラシックス錠20㎎の処方は削除となった。

はい。
こういったケースで算定できます。

 

具体例(相互作用防止)

パロキセチン錠10mgを服用中の患者さんが、心臓・脈の異常を感じ内科を受診し、
下記内科処方箋を持って来局された。
メトプロロール錠20mg 3錠 1日3回 毎食後
患者さんに聞きとったところ,内科の医師へはパロキセチン錠を服用中であるとは伝えていないとの事。
処方医へ,患者はメトプロロール錠の併用注意薬であるパロキセチン錠を服用中である旨及び下記添付分文書情報を伝えた所、処方はビソプロロール錠に変更となった。

※パキシル錠の添付文書より引用
本剤(※パロキセチン)が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、メトプロロールの(S)-体及び(R)-体のT1/2がそれぞれ約2.1及び2.5倍、AUCがそれぞ れ約 5及び 8 倍増加したことが報告されている。

はい。
こういったケースで算定できます。

 

具体例(「等」の場合)

20代女性に、ディフェリンゲル0.1%が処方された。
念のため妊娠していないか確認した所「確定していないが妊娠している可能性はある」との事。
処方医に,妊娠している可能性がある旨を連絡した所,イオウ・カンフルローションに処方変更となった。

はい。
こういったケースでも算定できます。

この加算は『重複投薬・相互作用防止加算』です。「重複」でなくても「相互作用」でなくても、薬剤師が「患者に起こる可能性のある健康被害を防いだ場合」であって「処方の変更」が行われれば算定できます。

 

重複投薬・相互作用等防止加算-算定要件チェックリスト

それでは、まとめとして重複投薬・相互作用等防止加算の算定要件をチェックリスト形式で確認しておきます。

重複投薬・相互作用等防止加算は「残薬調整に係るもの」と「残薬調整に係るもの以外」に分かれていますが、「これら共通の算定要件」です。

重複投薬・相互作用等防止加算の算定要件
薬剤服用歴の記録or患者及びその家族等からの情報等に基づいているか
処方医に対して連絡・確認を行ったか
処方の変更が行われたか
薬剤服用歴管理指導料を算定している患者か
処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬歴に記録したか



以下は、上記(これまで)の根拠となる情報です。

 

疑義解釈からの引用

※(2004年)平成16年3月30日-疑義解釈資料の送付について-重複投薬・相互作用防止加算-問3より引用

(問)服用中の他の医療機関の薬剤、服用中のOTC、あるいはお薬手帳との重複投薬、相互作用が認められる場合も算定可能か。

(答)患者が持参したお薬手帳、院内処方などにより、重複投薬などの可能性が判明した場合は、その医薬品を処方している医療機関等に照会を行い、確認の結果、重複などが認められる場合は、算定可能。

 

※(2016年)平成28年3月31日-疑義解釈資料の送付について(その1)-問30より引用
(問)
重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定対象の範囲について、「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」とあるが、具体的にはどのような内容が含まれるのか。

(答)薬剤師が薬学的観点から必要と認め、処方医に疑義照会した上で処方が変更された場合は算定可能である。具体的には、アレルギー歴や副作用歴などの情報に基づき処方変更となった場合、薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合は対象となるが、保険薬局に備蓄がないため処方医に疑義照会して他の医薬品に変更した場合などは当てはまらない。

 

※(2016年)平成28年3月31日-疑義解釈資料の送付について(その1)-問31より引用

(問)これまでの「重複投薬・相互作用防止加算」では、同一医療機関の同一診療科の処方せんについて処方変更があったとしても算定できないとされていたが、平成28年度診療報酬改定で見直した「重複投薬・相互作用等防止加算」及び「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」については、同一医療機関の同一診療科から発行された処方せんであっても、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は算定可能と理解してよいか。

(答)「重複投薬・相互作用等防止加算」及び「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」は、薬学的観点から必要と認められる事項により処方が変更された場合には算定可能としているので、上記の内容も含め、これまで算定できないとされていた「薬剤の追加、投与期間の延長」等であっても、要件に該当するものについては算定可能である。

調剤報酬点数表(2018年改定反映)からの引用

重複投薬・相互作用等防止加算
注4 薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、重複投薬・相互作用等防止加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
ロ 残薬調整に係るものの場合 30点

 

調剤報酬点数表に関する事項(2018年改定反映)からの引用

薬歴-(28) 重複投薬・相互作用等防止加算
ア 「注4」の重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。 ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。

イ 「イ 残薬調整に係るもの以外の場合」は、次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
① 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
② 併用薬、飲食物等との相互作用
③ そのほか薬学的観点から必要と認める事項

ウ 「ロ 残薬調整に係るものの場合」は、残薬について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。

エ 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。

オ 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する

 

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最後に

当記事は厚生労働省発表の資料を基に作成した記事です。自身の知識の整理のために書いています。正しくは、厚生労働省の正式発表資料を参照してください。また、当サイトはあくまで一般的な注意点や説明や内容を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。

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