シンポニー皮下注 50mgは4週間に1回皮下注射する関節リウマチ治療薬

薬・治療・病態 各論

シンポニー皮下注 50mgは4週間に1回皮下注射する関節リウマチ治療薬ですが、「潰瘍性大腸炎」という大腸の病気の治療薬としても使われる薬剤です。

しかし当記事では『関節リウマチ治療薬』としての『シンポニー皮下注50㎎』について書いてゆきます。

※トップの画像は製薬会社のページよりお借りしました。




成分名(シンポニー皮下注の一般名)

成分名は『 ゴリムマブ(遺伝子組換え)』です。

 

効果は? 使える人は?

他の治療で効果が十分に得られなかった関節リウマチの患者さんにのみ使用することができます。(2019年現在)治療の第一選択とすることは出来ません。

シンポニーは、抗TNF製剤と呼ばれるグループに属する注射薬です。

体内で異常に増えたTNFαという物質の働きを抑えることにより、症状を改善します。
※TNFα(腫瘍壊死因子α):炎症や痛みの発現に関係している体内物質です。
※ティーエヌエフアルファと読みます。

※添付文書より引用
【効能・効果】
既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)

 

TNFα(腫瘍壊死因子α)って何? 悪者なの?

TNFα=悪者 という訳ではありません。

通常の量のTNFαは、その『腫瘍壊死因子』という名前の通り、腫瘍細胞が発生した場合にそいつを壊死させてくれたり、体内で細菌やウイルスなどによる感染を防いでくれたりと、良い働きをしています。

しかし、体内でTNFαが増えすぎてしまうと、TNFαは腫瘍細胞や細菌やウイルスだけではなく自分の骨や軟骨も攻撃してしまいます。
(このようにTNFα等に自身の骨や軟骨が破壊された状態が、関節リウマチ)

TNFαが正常な量=良い状態
TNFαが増えすぎ=良くない状態

のため、増えすぎたTNFαをシンポニーが捕まえることで、TNFαを減らし、TNFαを正常な量に戻す。
というわけです。

 

どうやって使うの? (用法・用量)

使い方は、4週間に1回皮下注射する。
4週間に1回医療機関で注射してもらう。もしくは
4週間に1回自己注射(患者さん本人が注射)します。

【用 法・用 量】
関節リウマチ
・メトトレキサートを併用する場合
通常、成人にはゴリムマブ(遺伝子組換え)として50mgを4週に1回、皮下注射する。なお、患者の状態に応じて1回100mgを使用することができる。

・メトトレキサートを併用しない場合
通常、成人にはゴリムマブ(遺伝子組換え)として100mgを4週に1回、皮下注射する。

皮下注射(自己注射)の方法や、その他の情報についても製薬会社作成のシンポニー専用サイトが詳しいので、こちらでも紹介しておきます。

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関節リウマチ患者さんにシンポニー®を正&#12375...

 

添付文書の『警告』を確認

シンポニーの投与により、重篤な感染症や、多発性硬化症等の脱髄疾患が起こってしまう可能性があるため、警告が出ている薬剤です。

※2019年3月確認時点 ※添付文書より引用

警告
1.本剤投与により、結核、肺炎、敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の新たな発現若しくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
また、本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設において医師の管理指導のもとで使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。

2. 感染症
(1) 重篤な感染症
敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。
(2) 結核
播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(胸膜、リンパ節等)を含む結核が発症し、致命的な例も報告されている。本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与すること。ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている。

3.脱髄疾患(多発性硬化症等)の臨床症状・画像診断上の新たな発現若しくは悪化が、本剤を含む抗TNF製剤でみられたとの報告がある。脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者には投与しないこととし、脱髄疾患を疑う患者に投与する場合には、適宜画像診断等の検査を実施するなど、十分な観察を行うこと。

4.関節リウマチ患者では、本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。

5.潰瘍性大腸炎患者では、本剤の治療を行う前に、ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識と潰瘍性大腸炎治療の経験をもつ医師が使用すること。

 

禁忌:使ってはいけない人は?

警告にある、重篤な感染症,多発性硬化症等の患者さんに加え、うっ血性心不全の患者さんにも使用することができません。

※添付文書より引用(2019年3月確認時点)

禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
2.活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4.脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある。]
5.うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

 

最後に

当記事は、2019年3月時点の添付文書やインタビューフォーム等を参照して作成しました。

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