ジプレキサ錠のジェネリック医薬品、オランザピン錠も「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の適応を取得

薬・治療・病態 各論

2018年4月 ジプレキサ錠のジェネリック医薬品(後発医薬品)であるオランザピン錠も「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の適応を取得し、先発医薬品と後発医薬品の間の適応症の不一致がなくなりました。

ジプレキサ錠は添付文書にも下記のような記載がある通り、食欲増進の副作用がある薬剤です。

(5) 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。

(ジプレキサ錠の添付文書より引用)

しかし、「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の制吐剤として使用する際は、この食欲増進の副作用も利点に変わってくれる と期待されています。


ジプレキサ錠(オランザピン錠)の基本情報

【効能・効果】
・統合失調症
・双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
・抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
<効能・効果に関連する使用上の注意>
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に使用する場合
本剤は強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与の場合に限り使用すること。

【用法・用量】
・統合失調症:通常、成人にはオランザピンとして5~10mgを1日1回経口投与により開始する。維持量として1日1回10mg経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日量は20mgを超えないこと。
・双極性障害における躁症状の改善:通常、成人にはオランザピンとして10mgを1日1回経口投与により開始する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
・双極性障害におけるうつ症状の改善:通常、成人にはオランザピンとして5mgを1日1回経口投与により開始し、その後1日1回10mgに増量する。なお、いずれも就寝前に投与することとし、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
・抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐):他の制吐剤との併用において、通常、成人にはオランザピンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増量するが、1日量は10mgを超えないこと。

(ジプレキサ錠の添付文書より引用)

 

糖尿病の方は服用してはいけません

【警告】
1. 著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分
に行うこと。
2. 投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。[「重要な基本的注意」の項参照]

(ジプレキサ錠の添付文書より引用)

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4. アドレナリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
5. 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者

(ジプレキサ錠の添付文書より引用)

副作用で、血糖値が上昇してしまう可能性のある薬剤です。

しかし、糖尿病の既往等のない患者さんに対しては、ジプレキサ錠(オランザピン錠)を服用している間は、病院にて血糖値の測定をこまめにしてもらい、患者さん自身でも、高血糖の初期症状である口渇、多飲、多尿、頻尿等が起こらないか十分に気を付けていれば心配しすぎる必要はないと説明をするのも我々薬剤師の重要な役割です。

 

非定型抗精神病薬群(ジプレキサと同じ薬効群の薬)を確認

※下表は「治療薬マニュアル2018」を参照して作成

セロトニン・ドパミン拮抗薬

一般名 商品名(先発)
リスペリドン リスパダール
パリペリドン インヴェガ、ゼプリオン
ペロスピロン ルーラン
ブロナンセリン ロナセン

クロザピンと類似化合物

一般名 商品名(先発)
クロザピン クロザリル
オランザピン ジプレキサ
クエチアピン セロクエル

ドパミン受容体部分アゴニスト

一般名 商品名(先発)
アリピプラゾール エビリファイ

最後に

当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。


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