アロプリノールを腎機能が低下した患者に使用するのはNG
アロプリノール錠(ザイロリック錠)を腎機能が低下した患者さんに対して、腎機能が正常な患者さんと同じように使用するのは良くありませんが(No Good)。
※ザイロリック錠(アロプリノール)の添付文書 2020年2月改訂(第1版)より引用
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.2 腎機能障害患者
投与量の減量や投与間隔の延長を考慮すること。
本剤やその代謝物の排泄が遅延し高い血中濃度が持続する。
特に腎不全患者に副作用が発現した場合は重篤な転帰をたどることがあり、死亡例も報告されている。
アロプリノールは、腎機能が低下した患者さんには 減量や投与間隔を延長して使うべきです。
具体的には
Ccrが50mL/分以上ある正常な腎機能の方なら、アロプリノールは通常の100㎎~300㎎/日
Ccrが30~50mL/分程度のやや腎機能が落ちた方なら、アロプリノールは100㎎/日
Ccrが30mL/分以下の腎機能が低下した患者さんには、50㎎/日 とするのが目安です。
このような目安が日本痛風・核酸代謝学会から発表されています。
※上画像は高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン-ダイジェスト版-より引用
腎機能が低下した患者さんに対してアロプリノールを使用する場合は、このような減量を行わないと、重大な副作用が現れやすくなります。
腎機能低下患者では、再生不良性貧血のような重大な副作用が現れやすい
腎機能が低下した患者では 腎機能が正常な人よりも 再生不良性貧血のような重大な副作用が現れやすいことが報告されています。
腎機能が低下した患者さんに対して、アロプリノールでは用量を減量せざるを得ず、尿酸値を下げるのに苦労します。
腎機能低下と尿酸値上昇を合併するケースは多いです。
このようなケースに対しては、尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン(ユリノーム)など)も追加するという方法がとられることがありました。
トピロリック(トロピキソスタット)は腎機能低下患者でも安定した効果が期待できる
腎機能が低下した患者さんに対しては、アロプリノールをトピロリックに切り替えるという方法もあります。
トピロリックは腎機能が中等度低下(Ccrが30~60mL/分 程度)した患者さんに対しても、減量する必要がないという試験結果が出ています。
※下記画像は、トピロリックの添付文書-2020年4月改訂(第1版)より引用
地域フォーミュラリー時代の薬剤師の考え方は
「だったら、腎機能が低下してきたり、高齢の患者さんに対してだけじゃなく、全員最初からトピロリックを使えば良いんじゃないの?」という意見も中にはあると思いますが、これはどうでしょうか。
例えば、
トピロリック錠を通常維持量の60㎎×2回(1日120㎎)を使うと、30日薬価は2,748円です。
(60㎎錠=45.80円 ,45.80×1日2回×30日=2,748円)
アロプリノール錠を通常量の200~300㎎/日 使用すると、30日薬価は468~702円です。
(100㎎錠=7.80円 ,7.80×1日2~3回×30日=468~702円)
医療費削減の観点からいうと、腎機能が正常範囲でアロプリノールが安全に使えると考えられる方には、薬価も安く使用経験も多いアロプリノールを使用するというのは良い選択肢です。
このような考え方は、地域フォーミュラリーを作る際のそれに近いですね。
こらからの「地域フォーミュラリー時代」の薬剤師には、医療費の点から薬剤を評価する視点も求められます。
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地域フォーミュラリーとは早い話が「地域の病院・診療所・薬局で処方例を決めようぜ」という取組の事です。
医療費削減は「ジェネリック医薬品への切り替え」から「地域フォーミュラリー」へと進化してゆくと考えられます。詳しくはこちらのページに書きました。
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