ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠(代表的な商品名:セレスタミン配合錠)は、蕁麻疹、湿疹、アレルギー性鼻炎 などに使われる薬剤です。
あくまでも急性期用の薬であり、漫然と長期間使用するべき薬ではありません。
よく使われている薬剤ですが、2種類の主成分をもつ配合剤でもあり、禁忌や原則禁忌等注意すべき点も多い薬剤です。
どんな薬2種類の配合剤なの?
1 錠中に
ベタメタゾン(0.25mg)
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(2 mg)が配合されています。
ベタメタゾン
代表的な商品名:リンデロン錠0.5㎎
(合成副腎皮質ホルモン剤)
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
代表的な商品名:ポララミン錠2㎎
(抗ヒスタミン剤)
※第一世代抗ヒスタミン薬である。副作用として眠気が出現する頻度が高いです。服用中は、運転や危険を伴う機械の操作は行わないようにしないといけません。
禁忌(この薬を使ってはいけない患者)
ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠(セレスタミン配合錠)は緑内障や、前立腺肥大症等の患者さんには使ってはいけない薬剤です。
※セレスタミン配合錠の添付文書より引用
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. 適応、症状を考慮し、他の治療法によって十分に治療効果が期待できる場合には、本剤を投与しないこと。また、局所的投与で十分な場合には、局所療法を行うこと。
2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3. 緑内障の患者[眼内圧の上昇により、緑内障が増悪することがある。]
4. 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者[抗コリン作用により排尿困難、尿閉等があらわれ、症状が増悪することがある。]
原則禁忌(原則この薬を使ってはいけない患者)
※セレスタミン配合錠の添付文書より引用
【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)】
1. 有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者
[免疫機能抑制作用により、感染症が増悪することがある。]
2. 結核性疾患の患者
[免疫機能抑制作用により、結核性疾患が増悪することがある。]
3. 消化性潰瘍の患者
[胃酸分泌の亢進、肉芽組織増殖抑制作用により、潰瘍が増悪又は治癒が遅れることがある。]
4. 精神病の患者
[中枢神経系に影響し、精神病が増悪することがある。]
5. 単純疱疹性角膜炎の患者
[免疫機能抑制作用により、単純疱疹性角膜炎が増悪することがある。]
6. 後囊白内障の患者
[水晶体線維に影響し、後囊白内障が増悪することがある。]
7. 高血圧症の患者
[水及び電解質代謝作用により、高血圧症が増悪することがある。]
8. 電解質異常のある患者
[電解質代謝作用により、電解質異常が増悪することがある。]
9. 血栓症の患者
[血液凝固促進作用により、血栓症が増悪することがある。]
10. 最近行った内臓の手術創のある患者
[創傷治癒(組織修復)が障害されることがある。]
11. 急性心筋梗塞を起こした患者
[副腎皮質ホルモン剤で心破裂を起こしたとの報告がある。]
用法・用量(飲み方・使い方)
※セレスタミン配合錠の添付文書より引用
【用法・用量】
<錠剤>
通常、成人には 1 回 1 ~ 2 錠を 1 日 1 ~ 4 回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、本剤を漫然と使用するべきではない。<シロップ剤>
通常、成人には 1 回 5 ~10mLを 1 日 1 ~ 4 回経口投与する。
小児には 1 回 5 mLを 1 日 1 ~ 4 回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、本剤を漫然と使用するべきではない。〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
本剤は副腎皮質ホルモンをプレドニゾロン換算で、錠剤として 1 錠中2.5mg、シロップ剤として 1 mL中0.5mg相当量を含有するので、症状改善後は漫然として使用することのないよう注意する。
他の第一世代抗ヒスタミン薬も確認
(セレスタミン配合錠)ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠には、(ポララミン)d-クロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されている。
一般名 | 商品名 (代表的な) | 特徴 | |
---|---|---|---|
エタノールアミン系 | ジフェンヒドラミン | レスタミン錠 | 催眠作用や、その他副作用に注意が必要 |
ジフェニルピラリン | ハイスタミン注 | ||
クレマスチン | タベジール錠,テルギンG錠 | ||
プロピルアミン系 | dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | アレルギン散,ネオレスタミン散,クロダミン注 | 効果はエタノールアミン系のほうが強いとされている |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | ポララミン錠,ネオマレルミン錠 | ||
フェノチアジン系 | アリメマジン | アリメジンSy | 小児の鼻水症状に対してよく使われている |
プロメタジン | ヒベルナ糖衣錠,ピレチア錠 | 鎮静作用,抗痙攣作用等もある。 | |
ピペラジン系 | ホモクロルシクリジン | ホモクロミン | ヒスタミンの他、セロトニン、ブラジキニン、アセチルコリン、SRS-Aにも拮抗する |
ヒドロキシジン | アタラックス錠、アタラックスPカプセル | 抗アレルギー作用の他に、抗不安作用の効果を示すこともある | |
ピペリジン系 | シプロヘプタジン | ペリアクチン錠 | 抗アレルギー作用の他に、食欲増進作用もあるといわれる |
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最後に
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