服用薬剤調整支援料2【2020新設】

厚生労働省発表資料

※画像は厚生労働省発表資料『令和2年度診療報酬改定の概要 調剤』よりお借りしました。

服用薬剤調整支援料2が 2020年の改定で新設されました。
服用薬剤調整支援料1 との最も大きな違いは、『重複投薬等に係る提案』をしたという『取組』に対して点数がついている所です。

(薬剤師の薬学的管理能力が高く評価されたと感じるので、個人的には この「服用薬剤調整支援料2」の新設を喜んでいます。)

「服用薬剤調整支援料2」の要点を表にまとめました。

服用薬剤調整支援料2 100点
算定できるのは3月に1回まで
複数の医療機関から計6種類以上の内服薬が処方されている患者に算定可
(※「複数の」と指定されているのも、服用薬剤調整支援料2の特徴です。服用薬剤調整支援料1は複数の医療機関とは指定されていません。)
服用中の薬剤について一元的把握を行っている薬局が行うこと
頓服薬、浸煎薬、湯薬は対象外
合剤への変更による減少は含めない
内服薬以外への変更による減少は含めない(例:アリセプト錠をリバスタッチパッチに変更したことで、内服薬1種類減少はダメ)
重複投薬等の場合には、それに係る提案報告書※を処方医に送付
(服薬情報等提供料の併算定はできない)
提案の結果、処方変更がされなくても (されても) 算定できる

※服用薬剤調整支援料2-報告書の様式

厚生労働省が例示している様式(PDFファイル)の他、

(イ)受診中の医療機関、診療科等に関する情報
(ロ)服用中の薬剤の一覧
(ハ)重複投薬等に関する状況
(ニ)副作用の恐れがある患者の症状および関連する薬剤
(ホ)その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)
上記(イ)~(ホ)を盛り込んだ様式を使用することができます。

以下、情報引用元である厚生労働省発表資料からの引用です。

概要 より引用

外来患者への重複投薬解消に対する取組の評価

▷複数の医療機関を受診する患者の重複投薬の解消を推進する観点から、薬局において患者の服薬情報を一元的に把握し、重複投薬の有無の確認等を行った上で、処方医に重複投薬等の解消に係る提案を行う取組について新たな評価を行う。

(新) 服用薬剤調整支援料2   100点 (3月に1回まで)

[算定要件]
複数の保険医療機関より6種類以上の内服薬が処方されていた患者について、患者等の求めに応じて、①当該患者の服用中の薬剤について一元的把握を行うとともに、②重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案(※)を検討し、当該提案や服用薬剤の一覧を含む報告書を作成し、処方医に送付した場合に算定する。
※ 重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案

疑義解釈より引用

2020年改定-疑義解釈(その1)より引用

問15 重複投薬等の解消に係る提案を行い、服用薬剤調整支援料2を算定した後に、当該提案により2種類の薬剤が減少して服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合には、服用薬剤調整支援料1も算定できるか。

(答)算定できない。

2020年改定-疑義解釈(その1)より引用

問16 同一患者について、同一月内に複数の医療機関に対して重複投薬等の解消に係る提案を行った場合、提案を行った医療機関ごとに服用薬剤調整支援料2を算定できるか。

(答)同一月内に複数の医療機関に対して提案を行った場合でも、同一患者について算定できるのは1回までである。

2020年改定-疑義解釈(その1)より引用

問17 医療機関Aに重複投薬等の解消に係る提案を行って服用薬剤調整支援料2を算定し、その翌月に医療機関Bに他の重複投薬等の解消に係る提案を行った場合、服用薬剤調整支援料2を算定できるか。

(答)服用薬剤調整支援料2の算定は患者ごとに3月に1回までであり、算定できない。

2020年改定-疑義解釈(その1)より引用

問18 保険薬局が重複投薬等の解消に係る提案を行ったものの状況に変更がなく、3月後に同一内容で再度提案を行った場合に服用薬剤調整支援料2を算定できるか。

(答)同一内容の場合は算定できない。

2020年改定-疑義解釈(その5)より引用

問5 医療機関に提供する患者の重複投薬等に係る報告書における「現在服用中の薬剤の一覧」については、一覧表に記載することに代えて手帳の写しを添付することで差し支えないか。

(答)患者が服用中の全ての薬剤を容易に把握できる一覧を作成することが目的であることから、手帳の写しの添付では不十分である。このため、要件を満たさない。

調剤報酬点数表 より引用

14の3 服用薬剤調整支援料

1 服用薬剤調整支援料1 125点
2 服用薬剤調整支援料2 100点

注1 1については、6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。

注2 2については、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者が服用中の薬剤について、一元的に把握した結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、保険薬剤師が当該重複投薬等の解消に係る提案を文書を用いて行った場合に、3月に1回に限り所定点数を算定する。

調剤報酬点数表に関する事項 より引用

区分 14 の3 服用薬剤調整支援料

(1) 服用薬剤調整支援料1
※当ページでは省略

服用薬剤調整支援料1【2020年改定】
「服用薬剤調整支援料」は2018年の改定で新設されました。そして2020年改定で「服用薬剤調整支援料2」が新設されたことにより、「服用薬剤調整支援料」は「服用薬剤調整支援料1」に名称が変更になりました。「服用薬剤調整支援料1」の要点を...

(2) 服用薬剤調整支援料2

ア 服用薬調整支援料2は、複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者に対して、患者若しくはその家族等の求めに応じて、保険薬局の保険薬剤師が、重複投薬等の解消のために以下の取組をすべて行った場合に算定する。

(イ) 患者の服用薬について、手帳の確認、患者への聞き取り又は他の保険薬局若しくは保険医療機関への聞き取り等により、一元的に把握すること。なお、同種・同効薬が処方されている場合は、必要に応じて処方の背景を処方医又は患者若しくはその家族等に確認すること。

(ロ) 重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討し、当該提案及び(イ)の内容を記載した報告書を作成し、処方医に対して送付すること。

イ 内服薬の種類数の考え方は、服用薬剤調整支援料1に準ずる。また、6種類以上の内服薬について、少なくとも1種類は当該保険薬局で調剤されている必要がある。

(服用薬剤調整支援料1からの引用)
オ 内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。

ウ アの(ロ)の報告書は以下の内容を含む別紙様式3又はこれに準ずるものをいう。
(イ) 受診中の医療機関、診療科等に関する情報
(ロ) 服用中の薬剤の一覧
(ハ) 重複投薬等に関する状況
(ニ) 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤
(ホ) その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)

エ 「重複投薬等の解消に係る提案」とは、重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案をいう。この場合において、当該文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておくこと。

オ 重複投薬等の解消に係る提案を行う場合、患者の希望、かかりつけ医の有無及び処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する処方医に対して報告書を送付すること。

カ 処方内容の見直し状況について患者の次回以降の来局時に確認すること。

キ 当該加算の算定に係る保険医療機関、患者又はその家族等への情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。

<引用おわり>

まとめ

・服用薬剤調整支援料2   100点 (3月に1回まで)
・複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方されている患者
・患者若しくはその家族等の求めに応じて行う
・患者の服用中の薬剤について一元的把握を行っている薬局である
・重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案報告書を処方医に送付
・服薬情報等提供料を併算定はできない
・処方内容の見直し状況について患者の次回以降の来局時に確認

・重複投薬解消に対する提案を行った取組に対して評価される。
※「結果」ではなく「取組」に対して評価される。

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