グーフィス錠5㎎は『胆汁酸トランスポーター阻害』という、新作用機序(新しい作用の仕組み)で慢性便秘症の治療に使われる薬剤です。
2018年発売の新薬なので、2019年4月末日までは投薬期間14日分という制限があります。
グーフィス錠の基本情報
一般名(成分名)
一般名(成分名)は『エロビキシバット水和物』です。
効能効果・用法用量
慢性便秘症に使われる薬で、飲む回数は1日1回食前です。
通常量は1回2錠(10㎎)ですが、最大1回3錠(15㎎)まで飲むことができます。
※添付文書より引用
効能又は効果
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)効能又は効果に関連する使用上の注意
薬剤性及び症候性の便秘に対する使用経験はない。用法及び用量
通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤投与中は腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので、症状に応じて減量、休薬又は中止を考慮し、本剤を漫然と継続投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。
飲んではいけない人もいます(禁忌)
腸閉塞が悪化してしまう恐れがあるため、腸閉塞の方は飲んではいけません。
(腸閉塞の疑い含む)
※添付文書より引用
禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.腫瘍、ヘルニア等による腸閉塞が確認されている又は疑われる患者[腸閉塞を悪化させるおそれがある。]
服薬を慎重にしないといけない方もいます
肝機能がとても落ちている方が飲むときは慎重に使うべきです
※添付文書より引用
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
重篤な肝障害のある患者[胆道閉塞や胆汁酸分泌が低下している患者等では本剤の効果が期待できない場合がある]
副作用はどんなのがあるの?
臨床試験で多かった副作用は、腹痛と下痢です。
この薬剤に特徴的かつ重篤(大変重たい)副作用は今のところ報告されていません。
※添付文書より引用
主な副作用は腹痛120例(19.0%)、下痢99例(15.7%)であった。
一緒に飲んではいけない薬は?
絶対に一緒に飲んではいけない薬(併用禁忌)はありません。
一緒に飲むと良くない可能性がある薬剤(併用注意)はあります。その中で私が薬局に勤務する薬剤師として特に注意すべきと思うのは「ウルソデオキシコール酸」との併用注意です。
ウルソデオキシコール酸は、処方されている患者さん数もかなり多い薬剤ですので、『グーフィス錠とウルソデオキシコール酸を併用することによって、ウルソデオキシコール酸の作用が弱まってしまう可能性がある』というのは、注意しておかなければなりません。
※添付文書より引用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 胆汁酸製剤:ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸
臨床症状・措置方法:これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子:本剤の胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害作用により、胆汁酸製剤の再吸収が阻害されるおそれがある。薬剤名等 アルミニウム含有制酸剤:スクラルファート水和物、アルジオキサ等
臨床症状・措置方法:本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子:これらの薬剤は、消化管内で胆汁酸を吸着するため、本剤の作用が減弱するおそれがある。薬剤名等 コレスチラミン、コレスチミド
臨床症状・措置方法:本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子:これらの薬剤は、胆汁酸を吸着するため、本剤の作用が減弱するおそれがある。薬剤名等 ジゴキシン、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
臨床症状・措置方法:これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子:本剤のP-糖蛋白質に対する阻害作用による(「薬物動態」の項参照)。薬剤名等 ミダゾラム
臨床症状・措置方法:ミダゾラムの血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。
機序・危険因子:機序は不明である。
患者向け医薬品ガイドは作成されていますか?
グーフィス錠の患者向け医薬品ガイドは作成されていません。(2018年5月現在)
他の主な便秘症治療薬も確認
分類 | 一般名 | 商品名 (代表的な) | 特徴 |
---|---|---|---|
塩類下剤 | 酸化マグネシウム | マグミット | 高マグネシウム血症への注意が必要(特に高齢者) |
水酸化マグネシウム | ミルマグ | ||
硫酸マグネシウム | 硫酸マグネシウム水和物 | ||
クエン酸マグネシウム | マグコロール | ||
大腸刺激性下剤 | ビサコジル | テレミンソフト坐剤 | 習慣性を生じることもあるが、適切に使えば習慣性も起こりにくく、有用性の高い薬 |
ピコスルファートナトリウム | ラキソベロン錠・内用液 | ||
センナエキス | ヨーデルS | ||
合剤 | アローゼン | ||
合剤 | セチロ | ||
センノシド | プルゼニド | ||
その他 | 合剤 | 新レシカルボン坐剤 | 坐薬。冷蔵庫で保管。 |
ルビプロストン | アミティーザ | 用量依存性の効果がある | |
ナルデメジントシル酸塩 | スインプロイク | オピオイドによる便秘に使われる | |
リナクロチド | リンゼス | 便秘型過敏性腸症候群に使われる |
最後に
当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。
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