薬局で薬剤師として勤務していて、患者さんから「病院で聞いたから大丈夫」「説明いらん」と言われた経験が無い薬剤師などいないのではないでしょうか。
患者さんの薬で得られるメリットの最大化のため、患者さんの健康被害軽減のため、私達薬局薬剤師は患者さんから情報を聞き出そうとします、患者さんに説明したいと考えています。
患者さんからこのように言われてしまうと、薬剤師側がなんとも言えない悲しい気持ちになるとともに、「本当に大丈夫かな・・」と心配にもなります。
「病院で聞いたから大丈夫」「説明いらん」と言う患者さんについてのヒヤリハット事例が、薬局ヒヤリハット事例収集分析事業「共有すべき事例」に掲載されていましたので、こちらでも共有させていただきます。
※以下、記事中の引用部分は、薬局ヒヤリハット事例収集分析事業、「共有すべき事例」2018年 No.8からの引用です。
調剤に関する事例 (2018年 No.8 事例3)
【事例の内容】
患者にフォルテオ皮下注キット600μgが初めて処方された。手技について患者に説明しようとたところ、「病院内で習ったから大丈夫」と言われたため、薬局では詳しい説明をしなかった。
数日後、患者から「注射液が出ない」と電話があった。注射液を使い切ったようであったが、使い切るにはあまりに早いため、改めて手技の詳細を確認したところ、患者は、新たに開封した時にだけ行う空打ちを注射のたびに行っていた。
病院の薬剤部に確認すると、「最初だけ行うように」と説明したとのことであった。
【背景・要因】
病院内で説明があったとはいえ、初めてフォルテオ皮下注キット600μgが処方された患者に対し、薬局のフォローが不十分であった。患者が受けた説明内容を確認するべきだった。
【薬局が考えた改善策】
必要最低限の事項だけでも確認を行う。こちらからの問いかけに患者が返事をするだけのやり取りではなく、患者に使い方と注意事項を説明してもらうような確認方法にする。
最後に
非常に考えさせられる事例です。
おそらくこの患者さんも、あちらこちらの薬局にて何度も
「病院で聞いたのと同じ話しやな・・」
「毎回同じ説明やな・・」
と、思った経験があるのでしょう。
そう考えると、この1薬局が気をつける・対策をとる で、解決できる問題ではありません。
業界全体の問題ですね
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