薬剤師が患者さんから
『情報を収集すること』
『残薬を確認すること』
『入院中の状況を聞き取ること』
はやはり患者さんにとって非常に有益だと思える事例が『薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業-共有すべき事例-2018年No.7事例4』にて紹介されていましたので、当ページでも取り上げて共有させていただきます。
疑義照会に関する事例(疑義照会に関する事例)
薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業-共有すべき事例-2018年No.7事例4 からの引用です。
事例
【事例の内容】
外科にて処方されたアスパラ-CA錠200を継続服用中の90歳代女性が肺炎で入院し、退院した。
今回処方された薬剤の中に、入院中に服用していた薬剤が複数あったため、重複して飲まないよう注意喚起したところ、自宅にたくさん残薬があることがわかった。入院中の残薬を薬局に持ってきてもらったところ、その中から、入院中の血液検査により高カルシウム血症と診断され、持参薬のアスパラ-CA錠200を中止していたことが記載された文章が見つかった。
今回の処方にアスパラ-CA錠200が含まれていたため、処方医に入院中の経過を報告し、削除となった。
【背景・要因】
患者は、認知症とまではいかないものの90歳代と高齢であり、血液検査の結果から服用中止になった薬剤があることを理解していなかった。入院中の主治医あるいは薬剤部は、外来の処方医に対してもう少し情報提供すべきではないかと考える。
【薬局が考えた改善策】
外来の医師も骨密度管理をするのであれば、常に血清カルシウム値をモニタリングすべきと思われる。
事例のポイント
・保険薬局の薬剤師が、患者の入院中の残薬を確認することにより、中止しなければならない薬剤の服用を防いだ事例である。
・この事例は、
「入院中の血液検査
⇒高カルシウム血症
⇒カルシウム製剤の中止
⇒外来処方医への入院情報の連絡不足あるいは外来処方医の入院情報の確認不足
⇒外来処方医によるカルシウム製剤の処方
⇒保険薬局の薬剤師による残薬の確認
⇒入院中に高カルシウム血症のためカルシウム製剤を中止していた情報を発見
⇒保険薬局の薬剤師から外来処方医へ入院中の情報を提供
⇒カルシウム製剤の削除」
という経緯であり、不必要なカルシウム製剤の削除に至るまでには、阻止できる場面が幾つかあったのではないかと推察される。・病院薬剤師による退院時薬剤情報管理指導により、入院患者への情報提供、入院と外来の担当医による情報共有、病院と保険薬局の薬剤師との情報共有など、医療スタッフ間で医療連携が適切に行われていれば、より速やかに防止できたと思われる事例である。
連携-情報共有が大事
この事例からもわかるように、医療機関同士の連携や情報共有というのは患者にとって非常に有益なものとなります。
医療機関同士の連携インフラが十分整っているとは言えない現時点では、薬局薬剤師には「患者さんから情報を聞き取る能力」「(連携)医療機関から情報を収集する能力」が求められています。
そして、自身が持っている情報を連携医療機関に伝える能力も非常に大事です。
コメント