健康な睡眠を得るための3原則

薬・治療・病態 各論

睡眠は生涯のほぼ3分の1を占めます。ゆえに『健康な生活は良い睡眠から』と言われます。

睡眠は体を休めると同時に、脳を休める役割もあります。ぐっすり眠った後の気持ちよさはなんとも言えない幸福感があります。

質の良い睡眠で心身を健康に保つための3つの原則をご紹介いたします。


原則1、眠気とうまく付き合う

昼に眠くなるのはチャンス

眠気には生体リズムがあり、2つの山があります。

深夜2:00~4:00頃と、
昼の1:00~3:00頃に強い眠気が生じます。

昼食後に眠くなる事や、体を動かしたり頭(脳)をいっぱい使った日に眠くなるのはチャンスです。

その眠気を上手に利用しましょう。

 

昼寝は30分以内、夕方以降は仮眠をとらない

睡眠不足の人は、午後の眠気の山(13:00~15:00)を利用して昼寝をして下さい。

しかし、30分以上眠ると眠気が残ってしまったり、夕方以降に眠ると夜の睡眠に影響してしまうので要注意。

夕方以降に眠くなる方は、早めに床につく工夫をしましょう。

 

昼寝の直前にカフェインをとろう

昼寝の前にカフェインを含む飲み物、コーヒーや紅茶、お茶を飲めば、昼寝からの快適な目覚めが期待できます。

カフェインは飲んだ30分後くらいから覚醒作用が出てくるからです。

逆に、夕方以降の時間にカフェインを摂ると夜の眠気を妨げてしまうので、避けるようにしましょう。

 

注意すべき眠気のサインを知っておこう

昼の1:00~3:00頃ではなく、午前中からずっと眠い。

いくら寝ても寝たりない。

突然の耐えられない眠気で仕事に支障が出る。

といった眠気は要注意です。「不眠症」や「睡眠時無呼吸症候群」、「うつ病」などの可能性もあります。

医師の所へ受診することも含め、早めに睡眠改善の対策をとる必要があります。

 

原則2、光を上手に利用する

人間は昼行性動物で、基本的に日中が活動期(覚醒)、夜間が休養期(睡眠)となります。

この覚醒と睡眠に深く関与しているのが光です。光を上手に活用することが快眠につながります。

 

カーテンは開けて寝ると、目覚めスッキリの朝を迎えられる

遮光の分厚いカーテンは半分程開けておき、朝寝室に光が入るようにしましょう。

徐々に明るくなる光で起きると、より自然にスッキリと目覚められることが証明されています。

さらに、朝日は体内時計をリセットし、生体リズムを整える効果があります。

 

夜の室内は暗めに

夜の室内は、間接照明や白熱電球のような暖色系の光のほうがリラックスできます。

また、人間は本来、真っ暗闇の中では敵に襲われないかと本能的に不安になるものです。

フットライト程度のわずかな明かりがあるほうが安心して入眠できます。

 

夜中にコンビニなどは行かない

寝る前に強い光を浴びると、眠りを誘うメラトニンの分泌が抑えられて、眠りにくくなってしまいます。

コンビニやスーパーなどの証明はかなり明るいものが使われています。

深夜こうした店に行くことは、快眠の妨げになります。夜中にコンビニなどは行かないようにしましょう。

 

パソコンやスマホなどを夜遅くまで見ない

パソコンや携帯電話の画面は明るいので、夜遅くまで見ていると睡眠の妨げになります。

また、脳が活発に働くことも眠気を遠ざけます。

熱中しすぎる内容の読書なども避けましょう。

パソコンやスマホは、就寝の1時間前までに手放すようにしましょう。

 

特に高齢者は意識して日中外出しよう

高齢になり活動量が減って来ると、思った以上に光を浴びていないことがあります。

光を浴びていないと、快適な眠りを誘うメラトニンという物質が分泌不足になることがわかっています。

メラトニン不足になると、睡眠障害になったり、体内時計のリズムが崩れたりします。

午前中も午後も積極的に外に出て光を浴びるようにしましょう。

 

原則3、体温をコントロールする

体の内部の体温(深部体温)が下がると、脳から眠くなるよう指令が出ます。

そして、眠る時にはさらに深部体温が下がります。

逆に言うと、体温をコントロールすることで、眠気をコントロールすることが出来るのです。

【注意】
深部体温と、体の表面の温度は違います。深部体温を下げるために「深部の熱を表面に移動させる」という事が起こりますので、眠る時には表面の体温はやや上がります。この「原則3」の章で出てくる体温は全て深部体温の事を言っています。

 

朝食を食べる事が快眠につながる

朝食を食べると胃や腸の動きが活発になり、熱を産み出します。

それにより眠っている間に低下した体温が上昇し始め、体は活動しやすくなります。

逆に、朝ごはんを食べないと、昼食や夕食の後の体温が上がりにくいことが分かっています。

 

ぬるめのお湯にゆっくり入浴しよう

昼間の活動によって上昇した体温が下がってくると眠気がおこります。

寝つきに悩む人はぬるめのお湯にゆっくりと入浴するようにしましょう。

上昇した体温が下がるのは入浴後15~30分なので、このタイミングで床につくとよいでしょう。

熱すぎるお風呂は神経を興奮させるので逆効果です。ぬるめのお湯にゆっくり入浴しましょう。

 

布団と体の間の温度を32℃・湿度は50%に

夏場はエアコンを使って室温を上げないことが大切ですが、冬場は室温よりも寝具で調節したようが快眠を得られます。

布団と体の間の温度と湿度に注意してください。温度の目安は体温よりやや低い32℃前後、湿度は快適に感じる50%前後くらいが最も寝つきがよいと言われています。

と言われても難しいですよね。冷たすぎる布団・熱すぎる布団にはしない。

この程度でも十分です。

 

夜は激しい運動は避けて

夜激しい運動をすると、せっかく下がり始めた体温が再び上昇してしまいます。

激しい運動はむしろ日中に行い、体温を上げて体内リズムのメリハリをつけることが効果的。

夜は軽めのストレッチをする程度がおすすめです。

 

「ClassA薬局の健康情報誌ライフ2018年11月号」を参照して作成。

ClassA薬局では、こういった健康情報誌を毎月来局された患者様へ配布しております。

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