formulary(フォーミュラリー)を英和辞典でひくと
1.式文集
2.決まり文句
3.処方集
という翻訳が出てきますが、「地域フォーミュラリー」は「3.処方集」の意味で使っています。
ですから、「地域フォーミュラリー」の直訳は「地域処方集」となります。
はい。地域フォーミュラリーとは早い話が
「地域の病院・診療所・薬局で処方例を決めようぜ」
という取組の事です。
なぜ地域フォーミュラリーが重要なのか
なぜ地域フォーミュラリーが重要なのかというと、医療費削減につながるからです。
~地域フォーミュラリーが医療費削減に繋がる~
(※当ページに出てくる薬価は、2018年4月-薬価改訂時のものです。)
今、薬局薬剤師は頑張ってジェネリック医薬品の使用を推進していますよね。
例えば、
・ザイロリック錠100㎎(21.50円) 3錠 分3 30日分
の処方をジェネリック医薬品の
・アロプリノール錠100㎎「サワイ」(7.70円) 3錠 分3 30日分
に変更してもらって
『1,935円(21.50円×90錠)⇒693円(7.70円×90錠)』1,242円の医療費削減になる。
という事を頑張っています。
しかし、ザイロリック錠と同種同効薬である
フェブリク錠40㎎(108.70円)には、ジェネリック医薬品がないので薬局ではジェネリック医薬品に変更することはできません。
そこで、地域でフォーミュラリー(処方例)を決めておくと便利です。この例でいうと、
「高尿酸血症・痛風の方の第一選択薬はザイロリック錠(のジェネリック)にしよう。フェブリク錠は第二選択薬にしよう。フェブリク錠が第一選択で使われている患者さんは、ザイロリック錠(のジェネリック)に変更することにしよう。」等の取り決めを行う事で
・フェブリク錠40㎎(108.70円) 1錠 分1 30日分
が、アロプリノールに変更になることにより、
『3,261円(108.70円×30錠)⇒693円(7.70円×90錠)』2,568円の医療費削減になる。
※これは、あくまでも例なので
フェブリク錠40㎎×1錠と、アロプリノール錠100㎎×3錠の効果・安全性は全く同じではないだろう? や
効果・安全性に多少の違いはあるが、薬価差5倍以上の差を埋めるほどのものではない! 等、色んな意見があると思います。
地域フォーミュラリーを作る際は、こういった意見をまとめてつくりあげてゆく能力が求められます。
医療費を削減できた事例がある
実際、聖マリアンナ医科大学病院は『9薬効群においてフォーミュラリーを運用し、年間約3700万円の医療費を削減できた』という事ですから、その効果は証明されています。
「地域フォーミュラリー」を日々意識
地域フォーミュラリーの管理・運営は医師主導ではなく、基幹病院の薬剤部あるいは地域薬剤師会が主導してやってゆくべきだ という意見が多いです。
ジェネリック医薬品の変更率が全国平均が80%を超える頃には
「医療費削減のために次は90 %だ!」よりも
「医療費削減のために次は地域フォーミュラリーだ!」になります。
上で述べたように、地域フォーミュラリーの医療費削減効果は大変大きいからです。
ジェネリック医薬品変更(加算を算定)をしない薬局は生き残れない時代が来たように、
次は、地域フォーミュラリーをしない薬局は生き残れない時代が来ます。
若手薬剤師は、有効性、安全性および経済性から薬剤を評価してゆくという目線を今から培っておきましょう。
フォーミュラリー作成を担当する薬剤師は、臨床的な有効性や安全性などを文献で評価する能力も求められます。文献などの客観的な事実に基づいて話をすると、地域の医師や他薬局の薬剤師も巻き込みやすくなるからです。
若手薬剤師はこういった能力を高めておくと、今後大変重宝されます。
コメント
【誤記のお詫び。及び訂正済のご報告】
7.70円×90錠は、正しくは「693円」なのですが、誤って 30錠の価格である「231円」と記載しておりました。
読者様よりご指摘をいただき、訂正いたしました。
Segodon様ありがとうございました。