処方せん医薬品は、定められている正当な理由※がなければ処方せん無しでの販売はできません。
しかし、『処方せん医薬品以外の医療用医薬品』については、処方せん無しでも販売することができます。
それでも、医療用医薬品は処方箋に基づく薬剤の交付が原則ですから、販売できるのは下記の条件を満たした場合となります。
必要な受診勧奨を行った上で
・必要最小限の数量に限定すること
・調剤室で保管・分割すること
・販売品目、販売日、販売数量並びに患者の氏名及び連絡先を記録した販売記録を作成すること
・患者が服用する他薬との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施すること
・薬局において、薬剤師が対面により販売すること
このような条件を満たして、『処方せん医薬品以外の医療用医薬品』については、販売することができます。
以下、上記の根拠となる情報である
厚生労働省医薬食品局長通知「処方せん医薬品等の取扱いについて」(平成17年3月30日)http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/170330.pdf
から情報を引用しています。
※『正当な理由』についても、引用文中に出てきます。
※パソコンやスマートフォンからでも見やすいように、見出しや別記事へのリンク等をつけて編集していますが、文章(内容)についてはそのまま引用しています。
以下引用です。
厚生労働省医薬食品局長通知「処方せん医薬品等の取扱いについて」(平成17年3月30日)
薬食発第0330016号
平成17年3月30日
都道府県知事
各 政令市長 殿
特別区長
厚生労働省医薬食品局長
処方せん医薬品等の取扱いについて
薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)による改正後の薬事法(昭和35年法律第145号。以下「新薬事法」という )第49条第1項 。の規定に基づき、処方せん医薬品が指定され、この処方せん医薬品の指定の趣旨等については、平成17年2月10日付け薬食発第0210001号医薬食品局長通知「処方せん医薬品の指定について」により通知したところです。
今般、処方せん医薬品等の取扱いについて下記のとおり定めましたので、本件に御留意の上、貴管内関係団体に周知を図るとともに、その取扱いに遺漏なきようお願いします。
記
1.処方せん医薬品について
(1)原則
処方せん医薬品については 病院 診療所 薬局等へ販売(授与を含む。以下同じ。)する場合を除き、新薬事法第49条第1項の規定に基づき、医師等からの処方せんの交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売を行ってはならないものであること。
なお、正当な理由なく、処方せん医薬品を販売した場合については、罰則が設けられているものであること。
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(2)正当な理由について
新薬事法第49条第1項に規定する正当な理由とは、次に掲げる場合によるものであり、この場合においては、医師等の処方せんなしに販売を行っても差し支えないものであること。
① 大規模災害時等において、医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方せんの交付が困難な場合に、患者に対し、必要な処方せん医薬品を販売する場合
② 地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る処方せん医薬品を販売する場合
③ 市町村が実施する予防接種のために、市町村に対し、予防接種に係る処方せん医薬品を販売する場合
④ 助産師が行う臨時応急の手当等のために、助産所の開設者に対し、臨時応急の手当等に必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑤ 救急救命士が行う救急救命処置のために、救命救急士が配置されている消防署等の設置者に対し、救急救命処置に必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑥ 船員法施行規則第53条第1項の規定に基づき 船舶に医薬品を備え付けるために 、 船長の発給する証明書をもって、同項に規定する処方せん医薬品を船舶所有者に販売する場合
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⑦ 医学、歯学、薬学、看護学等の教育研究のために、教育・研究機関に対し、当該機関の行う教育・研究に必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑧ 在外公館の職員等の治療のために、在外公館の医師等の診断に基づき、当該職員等に対し、必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑨ その他①から⑧に準じる場合
なお ①の場合にあっては、可能な限り医師等による薬局等への販売指示に基づき④、⑤及び⑧の場合にあっては、医師等による書面での薬局等への販売指示をあらかじめ受けておくなどする必要があること。このうち、④及び⑤については、販売毎の指示は必要ではなく、包括的な指示で差し支えない。
また、⑥に規定する船長の発給する証明書については、昭和41年5月13日付け薬発296号「船員法施行規則の一部改正及びこれに伴う船舶備付け要指示医薬品の取扱いについて」の別紙様式に準じて取り扱われたいこと。
2.処方せん医薬品以外の医療用医薬品について
(1)原則
処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、処方せん医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものであること。
このため、処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が医師、薬剤師等の専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療において用いられることを前提としており、1.(2)に掲げる場合を除き、薬局においては、処方せんに基づく薬剤の交付が原則であること。
(2)処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについて
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、病院、診療所、薬局等へ販売する場合を除き、処方せんに基づく薬剤の交付を原則とするものであるが、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、次に掲げる事項を遵守すること。
① 数量の限定
販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限定すること。
② 調剤室での保管・分割
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方せんに基づく調剤に用いられるものであることから、通常、処方せんに基づく調剤に用いられるものとして 調剤室又は備蓄倉庫において保管することまた、販売に当たっては、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分割すること。
③ 販売記録の作成
事後に保健衛生上の支障が生じた場合に、迅速な対応を講ずることができるようにしておく必要があることから、販売時において、販売品目、販売日、販売数量並びに患者の氏名及び連絡先を記録すること。
④ 薬歴管理の実施
販売された処方せん医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施すること。
⑤ 薬局における薬剤師の対面販売
販売に当たっては、薬局において、薬剤師が対面により販売すること。
(3)その他の留意事項
処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売に当たっては、処方せんに基づく薬剤の交付又は一般用医薬品の販売等と同様に、次の事項にも留意すること。
① 広告の禁止
患者のみの判断に基づく選択がないよう、引き続き、処方せん医薬品以外の医療用医薬品を含めた全ての医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行わないこと。
② 服薬指導の実施
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、消費者が与えられた情報に基づき最終的にその使用を判断する一般用医薬品とは異なり、医療において用いられることを前提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行うこと。
③ 添付文書の添付等
処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売については、分割販売に当たることから、販売に当たっては、外箱の写しなど新薬事法第50条に規定する事項を記載した文書及び同法第52条に規定する添付文書又はその写しの添付を行うなどすること。
以上。
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