2024年7月12日に厚生労働省から『長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)』という資料が出ていましたので、その文章を引用したページを作成しました。
2024年10月1日から始まる『選定療養』についての疑義解釈です。
2024年3月に出たこの資料
についての疑義解釈です。
※『選定療養』とは・・・大雑把にいうと『後発出てる品目なのに先発使っていると価格の一部が保険適用外になるので高くなりますよ』です。
<以下、資料からの引用です>
長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する
疑義解釈資料の送付について(その1)
長期収載品の処方等又は調剤に関する事項については、「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」」(平成 18 年3月 13 日保医発第 0313003 号)の第3の 30 においてお示ししているところであるが、今般、その取扱いに係る疑義解釈資料を別添のとおり取りまとめたので、その取扱いに遺漏のないよう、保険医療機関・薬局、審査支払機関等に対し周知徹底を図られたい。
医療上の必要性について
(答)保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)において、次のように判断する場合が想定される。
① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師等が判断する場合。
(※)効能・効果の差異に関する情報が掲載されているサイトの一例
PMDAの添付文書検索サイト
日本ジェネリック製薬協会が公開する「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」
クリックして230914_effectiveness.pdfにアクセス
② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師等が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師等が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合
④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等をする医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択する
ことは含まれない。
また、保険薬局の薬剤師においては、
・ ①、②及び③に関して、医療上の必要性について懸念することがあれば、医師等に疑義照会することが考えられ、
・ また、④に関しては、医師等への疑義照会は要さず、薬剤師が判断することも考えられる。なお、この場合においても、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。
問2 治療ガイドライン上で後発医薬品に切り替えないことが推奨されている場合については、長期収載品を使うことについて、医療上の必要性が認められるということでよいか。
例えば、てんかん診療ガイドライン 2018(一般社団法人日本神経学会)では、「後発医薬品への切り替えに関して,発作が抑制されている患者では,服用中の薬剤を切り替えないことを推奨する.」、「先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない.しかし,一部の患者で,先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し,発作再発,発作の悪化,副作用の出現が報告されている」とされているところ、この場合に医療上の必要性は認められるか。
なお、医師等が問1の①~④に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。
薬局における医療上の必要性の判断について
「第1 処方箋様式に関する事項」の
「3 長期収載品を銘柄名処方する場合における取扱について」の(4)において、
「処方の段階では後発医薬品も使用可能としていたが、保険薬局の薬剤師において、患者が服用しにくい剤形である、長期収載品と後発医薬品で効能・効果の差異がある等、後発医薬品では適切な服用等が困難であり、長期収載品を服用すべきと判断した場合には、医療上必要がある場合に該当し、保険給付とすることも想定されること。」
とあるが、このような場合には処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の上記判断に基づいて、従来通りの保険給付が可能という理解でよいか。また、医師等が後発医薬品を銘柄名処方した場合であって、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合に、長期収載品を調剤する医療上の必要があると考えられる場合は、処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の判断で従来通りの保険給付は可能か。
○ 医師等が長期収載品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合に、薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合
・ 変更調剤に該当するところ、「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」(令和6年3月 15 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、当面の間、疑義照会なく、変更調剤できることとしている。
・ その上で、医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなる。
一般名処方について
「一般名処方の処方箋を保険薬局に持参した患者が長期収載品を希望した場合には、選定療養の対象となること。」とあるが、一般名処方された患者が薬局で長期収載品を希望し、薬剤師がその理由を聴取した際に、患者希望ではあるものの、患者の疾病に関し、長期収載品と後発医薬品における効能・効果等の違いがある等の医療上の理由と考えられる場合には、保険薬局の判断で従来通りの保険給付とすることは可能か。
院内処方その他の処方について
なお、後発医薬品の使用促進は重要であり、外来後発医薬品使用体制加算等を設けているところ、後発医薬品も院内処方できるようにすることが望ましい。
公費負担医療について
(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今般、対象外の者は設けておらず、国の公費負担医療制度の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。
(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今般、対象外の者は設けておらず、こども医療費助成等のいわゆる地方単独の公費負担医療が対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。
<資料おわり>
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