寝ている間、夜中や明け方に『足がつって』困るから病院を受診したという、患者さんは多いです。年を重ねると、『足のふくらはぎの筋肉がつる』つまり『こむらがえり』が起こりやすくなってしまいます。
こういった患者さんに処方される事のある漢方薬が「芍薬甘草湯」です。
ここでは特に「ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(68番)」について勉強してゆきます。
ツムラ芍薬甘草湯の基本情報
【効能又は効果】
急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛【用法及び用量】
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)の添付文書より引用
添付文書で示されている代表的な用法指示とは異なり、下の2種類の用法指示も日常的に目にします。
・1日1回 ねる前 1回1包服用
・頓服 足がつる時 1回1包服用
漢方薬だから何日か続けて飲んで効果が出るんでしょ?
漢方薬には「何日か続けて飲んで効果が出る」というイメージがあると思いますが、このツムラ芍薬甘草湯は飲んでから効果が出始めるまでの時間は30分くらいです。
(もちろん個人差はありますので、目安の時間を示しています)
かなりすぐ効いてくれる漢方薬です。
飲み方
飲み方は、添付文書で指示されている方法の他には、
枕元にペットボトルの水とともに置いておき、『こむら返り』が起こったときにすぐ1包飲む。でも良いですし。
前もってねる前に1包飲んでおくと、朝まで『こむら返り』が起こりにくくなる効果が期待できますので、こちらの飲み方でも大丈夫です。
なぜ、こむらがえりは起こるの?
簡単にいうと『筋肉が疲労している』からです。
筋肉が疲労した原因は、たくさん歩いた等の理由の他には『筋肉量が減った』ことがその原因の1つとしてあげられます。
『筋肉量が減って』しまうと今まで通りの生活をしていたとしても『筋肉は疲労しやすく』なってしまいます。
年を重ねると、どうしても筋肉は減ってしまいます。ですから、『こむらがえり』が起こる原因は『老化現象』のせいとも言えます。
老化現象なら仕方ないとしても、薬の他に対処方法は無いの?
こむらがえりが起こりにくくする、簡単な方法が2つあります。
1.寝る前に足の筋肉をやさしくマッサージをする
優しくマッサージを行うと、筋肉もほぐれて血もめぐりやすくなるため、疲労回復にはオススメです。こむらがえりを起こりにくくする効果も期待できます。
2.ミネラル分と、水分を十分にとる
ミネラル分(という身体に必要な栄養成分)や、水分が足りていないと、筋肉はつりやすくなります。
※マラソン選手が、レースの途中にドリンクを飲むのは『のどが渇くから』ではなく『筋肉がつってしまわないように』十分なミネラル分と水分を補給するのが目的です。
何をのんだらいいの?
ミネラルウォーターや、経口補水液が良いです。
※足がつらないようにと、寝る前にがぶがぶ飲んでしまうと、夜中にトイレに行きたくなり、睡眠の質を下げてしまいます。積極的に水分を取るのは夕方までの時間にしましょう。
※水分の摂取制限が必要な患者様(心不全の患者さん等)へはこの方法はおすすめできません。
最後に
当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。
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