※画像は厚生労働省発表資料『令和2年度診療報酬改定の概要 調剤』よりお借りしました。
薬剤服用歴管理指導料1と2について、2020年改定での大きなポイントは
薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる規定について、再来局の期間が「原則6月以内」から「原則3月以内」に短縮になった事。また、その対象薬局が調剤基本料1以外にも拡大された事です。
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以下、厚生労働省発表資料を確認してゆきます。
疑義解釈 より引用
問7 患者が日常的に利用する保険薬局の名称等の手帳への記載について、患者又はその家族等が記載する必要があるか。
(答)原則として、患者本人又はその家族等が記載すること。
問8 手帳における患者が日常的に利用する保険薬局の名称等を記載する欄について、当該記載欄をシールの貼付により取り繕うことは認められるか。
(答)認められる。
調剤報酬点数表より引用・抜粋
1 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合 43点
2 1の患者以外の患者に対して行った場合 57点
3 特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合 43点
4 情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合 43点
注1
1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、1の患者であって手帳を持参していないものに対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、2により算定する。
イ 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書又はこれに準ずるもの(以下この表において「薬剤情報提供文書」という。)により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
ロ 処方された薬剤について、直接患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集して薬剤服用歴に記録し、これに基づき薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
ハ 手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
ニ 患者ごとに作成された薬剤服用歴や、患者又はその家族等からの情報により、これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認を行うこと。
ホ 薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。
調剤報酬点数表に関する事項 からの引用
区分 10 薬剤服用歴管理指導料
1 通則
(1) 薬剤服用歴管理指導料は、同一患者の1回目の処方箋受付時から算定できる。
(2) 調剤基本料の「注 10」の医師の指示による分割調剤における2回目以降の調剤を行う場合には、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、その結果を処方医に情報提供する。この場合において、次に掲げる事項を含めるものとする。
また、処方医に対して情報提供した内容を薬剤服用歴の記録に記載する。
・残薬の有無
・残薬が生じている場合はその量及び理由
・副作用の有無
・副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定
(3) 薬剤服用歴管理指導料は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者の場合、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方箋によって調剤を行った場合に限り算定できる。
2 薬剤服用歴管理指導料「1」及び「2」
(1) 薬剤服用歴管理指導料「1」及び「2」は、保険薬剤師が、患者の薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認した上で、(2)の「薬剤の服用に関する基本的な説明」及び(3)の「患者への薬剤の服用等に関する必要な指導」の全てを対面により行い、さらに(4)の「薬剤服用歴の記録」を実施した場合に、以下の区分により算定する。
ア 薬剤服用歴管理指導料「1」
3月以内に再度処方箋を持参した患者であって、手帳を持参したもの
イ 薬剤服用歴管理指導料「2」
以下のいずれかに該当する患者
(イ) 初めて処方箋を持参した患者
(ロ) 3月を超えて再度処方箋を持参した患者
(ハ) 3月以内に再度処方箋を持参した患者であって、手帳を持参していないもの
(2) 薬剤の服用に関する基本的な説明
患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認した上で、次に掲げる事項その他の事項を文書又はこれに準ずるもの(以下「薬剤情報提供文書」という。)により情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと。また、必要に応じて、製造販売業者が作成する医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)に基づく患者向け資材を活用すること。
(イ) 当該薬剤の名称(一般名処方による処方箋又は後発医薬品への変更が可能な処方箋の場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、形状(色、剤形等)
(ロ) 用法、用量、効能、効果
(ハ) 副作用及び相互作用
(ニ) 服用及び保管取扱い上の注意事項
(ホ) 調剤した薬剤に対する後発医薬品に関する情報
(へ) 保険薬局の名称、情報提供を行った保険薬剤師の氏名
(ト) 保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等
(3) 患者への薬剤の服用等に関する必要な指導
ア 患者又はその家族等と対話することにより、当該患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化、残薬の状況等の情報を収集し、その要点を薬剤服用歴の記録に記載するとともに、これに基づき、投与される薬剤の適正使用のために必要な服薬指導を行うこと。
イ (4)のウからキまでの事項については、処方箋の受付後、薬を取りそろえる前に、保険薬剤師が患者等に確認すること。
ウ 手帳を用いる場合は、調剤を行った薬剤について、調剤日、当該薬剤の名称(一般名処方による処方箋又は後発医薬品への変更が可能な処方箋の場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、用法、用量その他必要に応じて服用に際して注意すべき事項等を患者の手帳に経時的に記載すること。
エ 残薬の状況について、薬剤服用歴の記録を踏まえつつ、患者又はその家族等に残薬の有無を確認し、残薬が確認された場合はその理由も把握すること。患者に残薬が一定程度認められると判断される場合には、患者の残薬の状況及びその理由を患者の手帳に簡潔に記載し、処方医に対して情報提供するよう努めること。また、残薬が相当程度認められると判断される場合には、処方医に対して連絡し、投与日数等の確認を行うよう努めること。
オ 当該保険薬局と他の保険薬局又は保険医療機関等の間で円滑に連携が行えるよう、患者が日常的に利用する薬局があれば、その名称及び保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を手帳に記載するよう患者に促すこと。
カ 一般名処方が行われた医薬品については、原則として後発医薬品を調剤することとするが、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について適切に説明した上で、後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載する。
(4) 薬剤服用歴の記録
薬剤服用歴は同一患者についての全ての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう患者ごとに保存及び管理するものであり、次の事項等を記載し、最終記入日から起算して3年間保存すること。なお、薬剤服用歴への記載は指導後速やかに完了させること。
ア 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所、必要に応じて緊急連絡先)
イ 処方及び調剤内容等(処方した保険医療機関名、処方医氏名、処方日、調剤日、調剤した薬剤、処方内容に関する照会の要点等)
ウ 患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の意向
エ 疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。)
オ 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況及び服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
カ 服薬状況(残薬の状況を含む。)
キ 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)及び患者又はその家族等からの相談事項の要点
ク 服薬指導の要点
ケ 手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無)
コ 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点
サ 指導した保険薬剤師の氏名
(5) 指導等に係る留意点
(2)から(4)までの業務を行うに当たっては、以下の点に留意すること。
ア 情報提供等
(イ) 2の(2)の薬剤情報提供文書により行う薬剤に関する情報提供は、調剤を行った全ての薬剤の情報が一覧できるようなものとする。ただし、調剤した薬剤を複数の薬袋に入れ交付する場合は、薬袋ごとに一覧できる文書とすることができる。なお、薬剤情報提供文書については、処方内容が前回と同様の場合等においては、必ずしも指導の都度、患者に交付する必要はないが、患者の意向等を踏まえた上で交付の必要性を判断し、交付しない患者にあってはその理由を薬剤服用歴の記録に記載する。
(ロ) 薬剤情報提供文書における「これに準ずるもの」とは、視覚障害者に対する点字、ボイスレコーダー等への録音その他のものをいう。
(ハ) 効能、効果、副作用及び相互作用に関する記載は、患者等が理解しやすい表現によるものとする。また、提供する情報の内容については正確を期すこととし、文書において薬剤の効能・効果等について誤解を招く表現を用いることや、調剤した薬剤と無関係の事項を記載しないこと。
(ニ) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方箋発行医に確認する等慎重に対応すること。
(ホ) (2)の(ホ)の「後発医薬品に関する情報」とは、次に掲げる事項とし、薬剤情報提供文書により提供するとともに、必要な説明を行うこと。また、後発医薬品の情報に関しては、可能であれば一般的名称も併せて記載することが望ましい。なお、ここでいう後発医薬品とは、「「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」(令和2年3月5日保医発 0305 第7号)の別紙1に掲げられたものに加え、別紙2に掲げられたものも含むものであること。
① 該当する後発医薬品の薬価基準への収載の有無② 該当する後発医薬品のうち、自局において支給可能又は備蓄している後発医薬品の名称及びその価格(当該薬局において備蓄しておらず、かつ、支給もできない場合はその旨)
イ 服薬指導
(イ) 服薬指導は、処方箋の受付の都度、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化(特に重大な副作用が発現するおそれがある医薬品については、当該副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況)を確認し、新たに収集した患者の情報を踏まえた上で行うものであり、その都度過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で、必要に応じて確認・指導内容を見直す。また、確認した内容及び行った指導の要点を、薬剤服用歴の記録に記載する。なお、副作用に係る自覚症状の有無の確認に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とする。
(ロ) 服薬指導に当たっては、抗微生物薬の適正使用の観点から、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省)を参考とすること。また、服薬指導を円滑に実施するため、抗菌薬の適正使用が重要であることの普及啓発に資する取組を行っていることが望ましい。
(ハ) ポリファーマシーへの対策の観点から、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)及び日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考とすること。また、必要に応じて、患者に対してポリファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うこと。その際、日本老年医学会及び日本老年薬学会が作成する「高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用」等を参考にすること。なお、ここでいうポリファーマシーとは、「単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態」をいう。
ウ 手帳
(イ) 「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次の①から④までに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。
① 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録
② 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録
③ 患者の主な既往歴等疾患に関する記録
④ 患者が日常的に利用する保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等
手帳の当該欄については、保険薬局において適切に記載されていることを確認するとともに、記載されていない場合には、患者に聴取の上記入するか、患者本人による記入を指導するなどして、手帳が有効に活用されるよう努める。なお、④の患者が日常的に利用する保険薬局の名称等については、令和3年3月 31 日までの間は適用しない。
(ロ) 手帳については、患者に対して、手帳を活用することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向等を確認した上で手帳を用いないこととした場合にあっては、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。なお、手帳を活用しているが、持参を忘れた患者に対しては、「注1」のただし書の点数を算定することになる旨説明するとともに、次回以降は手帳を持参するよう指導すること。
(ハ) (3)のウの手帳への記載による情報提供は、調剤を行った全ての薬剤について行うこととする。この場合において、「服用に際して注意すべき事項」とは、重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項、あるいは投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)等であり、投薬された薬剤や患者の病態に応じるものである。
(ニ) 手帳による情報提供に当たっては、患者に対して、保険医療機関を受診する際には医師又は歯科医師に手帳を提示するよう指導を行う。また、患者が、保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものを含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合は患者の意向を確認した上で、同一の手帳で管理できると判断した場合は1冊にまとめる。なお、1冊にまとめなかった場合については、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。
(ホ) 患者が手帳を持参し忘れた場合は、手帳に追加すべき事項が記載されている文書(シール等)を交付し、患者が現に利用している手帳に貼付するよう患者に対して説明することで、既に患者が保有している手帳が有効に活用されるよう努めるとともに、当該患者が次回以降に手帳を持参した場合は、当該文書が貼付されていることを確認する。
(へ) 電子版の手帳については、「お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について」(平成 27 年 11 月 27 日薬生総発第 1127 第4号)の「第三 運営事業者等が留意すべき事項」を満たした手帳であれば、紙媒体の手帳と同様の取扱いとする。その際、保険薬局においては、同通知の「第二 提供薬局等が留意すべき事項」を満たす必要がある。
(ト) 手帳の媒体(紙媒体又は電子媒体)は患者が選択するものであり、手帳の提供に当たっては、患者に対して個人情報の取扱い等の必要事項を説明した上で、患者の意向を踏まえて提供する媒体を判断すること。
(チ) 紙媒体の手帳を利用している患者に対して、患者の希望により電子版の手帳を提供する場合には、電子版の手帳にこれまでの紙媒体の情報を利用できるようにするなど、提供する保険薬局が紙媒体から電子媒体への切り替えを適切に実施できるよう対応すること。
エ その他
(3)のエ残薬の状況の確認に当たり、患者又はその家族等から確認できなかった場合には、次回の来局時には確認できるよう指導し、その旨を薬剤服用歴の記録に記載する。
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