ベルソムラ錠はクラリスロマイシンとも併用禁忌であり注意が必要な不眠症治療薬

薬・治療・病態 各論

ベルソムラ錠はクラリスロマイシンとも併用禁忌であり注意が必要な薬剤です。

クラリスロマイシンは現在日本で最もよく処方される抗生物質の1つで、あらゆる患者さんに処方される可能性があります。

※トップの画像は、患者向け医薬品ガイドを引用して作成しました。




ベルソムラ錠の併用禁忌薬として、添付文書に載っている薬剤

ベルソムラの併用禁忌薬は「クラリスロマイシン」だけではありません。
添付文書から併用禁忌薬を引用して確認しておきます。

※ベルソムラ錠の添付文書より引用
併用禁忌(併用しないこと)
1.薬剤名等
CYP3Aを強く阻害する薬剤
イトラコナゾール  (イトリゾール)
クラリスロマイシン  (クラリシッド)
リトナビル  (ノービア)
サキナビル  (インビラーゼ)
ネルフィナビル  (ビラセプト)
インジナビル  (クリキシバン)
テラプレビル  (テラビック)
ボリコナゾール  (ブイフェンド)

臨床症状・措置方法
本剤の作用を著しく増強させるおそれがあるため、併用しないこと。

機序・危険因子
スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。

 

ベルソムラ錠の併用禁忌薬-表

簡易説明を書き加えて、ベルソムラ錠の併用禁忌薬を一覧表にして確認しておきます。
※販売中止になっている薬剤については下表からは除外しました。

成分名(一般名) 代表的商品名 簡易説明
クラリスロマイシン クラリス,クラリシッド 抗生物質
イトラコナゾール イトリゾール 抗真菌薬
ボリコナゾール ブイフェンド 抗真菌薬
リトナビル ノービア 抗ウイルス化学療法剤
ネルフィナビル ビラセプト 抗ウイルス化学療法剤
インジナビル クリキシバン HIV治療薬

これらの薬剤が、CYP3Aという薬物代謝酵素を阻害することにより、ベルソムラ錠の血漿中濃度が上昇してしまう恐れがある。

大雑把にいうと、
これらの薬(上表)とベルソムラを併用すると、ベルソムラが効きすぎてしまう。
という事です。

 

ベルソムラ錠の基本情報

先に注意点である「併用禁忌薬」から確認しました。
つづいて、「効能効果」「用法用量」等についても確認しておきます。

ベルソムラ錠は何に効く薬なの?

ベルソムラ錠は、不眠症に対して使われる薬剤です。

※添付文書より引用
効能又は効果
不眠症

 

ベルソムラ錠の飲み方は?

ベルソムラ錠は寝る直前(布団に入る直前)に飲むようにして下さい。

※添付文書より引用
用法及び用量
通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

 

飲んでからどれくらいで眠くなるの?

『飲んでから1~3時間後(平均1.5時間後)には十分効いている状態になっている』と考えられます。
※投与後1.5時間 (1.0〜3.0時間) で最高血漿中濃度に達した。というデータからそう考えられます。

しかし、飲んでからの約1.5時間は効き始める(眠くなる)のを目を開けて待っていてはいけません。
部屋を暗くして静かにして,目を閉じて自分の力でも寝るようにしておくことで、薬の効果が得られやすくなります。

※添付文書より引用
薬物動態 1. 血漿中濃度
(1) 単回投与 (日本人データ)
日本人健康成人 (12例) に、本剤40mgを空腹時単回経口投与した後のスボレキサントは速やかに吸収され、投与後1.5時間 (1.0〜3.0時間) で最高血漿中濃度 (Cmax) に達し、平均半減期(t1/2) は10.0時間であった

 


 

最後に

当記事は、2019年3月時点の添付文書や患者向け医薬品ガイド等を参照して作成しました。
当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。
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