高齢者の排尿障害の原因はさまざまですが、薬の副作用である可能性を私たち薬剤師は常に考えないといけません。
特に抗コリン作用があり 高齢者でも使用される薬では その影響(尿閉・排尿困難)を検討することが必要です。
三環系抗うつ薬
一般名 | 先発名・代表薬 |
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アミトリプチリン | トリプタノール |
アモキサピン | アモキサン |
イミプラミン | トフラニール |
クロミプラミン | アナフラニール |
ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬
一般名 | 先発名・代表薬 |
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エスタゾラム | ユーロジン |
エチゾラム | デパス |
クロチアゼパム | リーゼ |
ジアゼパム | セルシン,ホリゾン |
トリアゾラム | ハルシオン |
フルニトラゼパム | サイレース |
ブロマゼパム | レキソタン |
フェノチアジン系抗精神病薬
一般名 | 先発名・代表薬 |
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クロルプロマジン | コントミン |
レボメプロマジン | ヒルナミン |
抗パーキンソン病薬
一般名 | 先発名・代表薬 |
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トリヘキシフェニジル | アーテン |
参考資料PDFファイル
高齢者のQOLと介護者の負担に大きく影響する
尿失禁などの高齢者における排尿障害は、高齢者のQOLを下げるだけではなく、介護をする側の負担感にも大きく影響するため、早期に解決することが望まれます。
オキシブチニン(ポラキス)での具体例
切迫性尿失禁などに対しては現在も薬物治療が使われています。
これまで高齢者の尿失禁治療によくつかわれてきた オキシブチニン塩酸塩錠(先:ポラキス錠)の市販後調査で、高齢者には口喝が6.7%、排尿困難が4%認められたということがわかっています。
尿失禁の治療を行うと今度は、排尿困難になってしまうという問題が実際に起きています。
老年症候群ではないかと疑う視点
高齢者が 尿失禁や排尿障害を訴えている場合、私たち薬剤師は薬の副作用の影響ではないかと疑う視点を持っています。
しかし、高齢者の尿失禁の場合、その要因は薬の副作用だけではなく様々なものが考えられます。
●膀胱機能変化
・不安定膀胱(加齢、下部尿路閉塞)
・過活動型神経因性膀胱(脳血管障害、パーキンソン病 など)
・低活動型神経因性膀胱(糖尿病性末梢神経障害、腰部脊柱管狭窄 など)
●骨盤底筋弛緩(加齢、肥満、出産)
●尿路感染
●下部尿路閉塞(前立腺肥大)
●尿道括約筋弛緩(エストロゲン低下 など)
●夜間頻尿(腎機能低下、潜在性心不全 など)
●認知症、せん妄
●ADL低下
●環境不備(トイレ環境、着衣 など)
●多飲
このような視点を持って、高齢者のポリファーマシーを解決し、老年症候群を防いでゆくことが、現在薬局薬剤師に求められています。
老年症候群(geriatric syndrome)とは
加齢に伴うさまざまな要因により高齢者が呈する(自覚的あるいは他覚的な)さまざまな症候のこと例えば、
認知症の進行や脳血管障害の合併による歩行不安定性→転倒による骨折→寝たきり→食思不振→低栄養→褥瘡→感染症による発熱 など、が一連の時間的関連性を持って、連鎖反応的に起こる老年症候群である。「高齢者のポリファーマシー多剤併用を整理する知恵とコツ」より引用・抜粋し作成。
参考書籍
・高齢者のポリファーマシー多剤併用を整理する知恵とコツ
・デキる薬剤師をつくる現場の教科書 知らないと困る“163 の常識”を学んで即戦力に!
この「デキる薬剤師をつくる現場の教科書」は良くできています。浅く広く薬局薬剤師にとって大切な事が書かれており、地域で活躍するオールマイティーな薬剤師を目指す薬剤師は一度読んでおいて損はしないです。
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服用薬剤調整支援料1,2は、薬剤師がポリファーマシーを解決した際などに算定できる加算です。


排尿障害を起こす可能性のある薬は他にもあります。

最後に
当ページは筆者自身の知識の整理のために作成しました。
実際の治療はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。
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