もっと「患者向医薬品ガイド」を活用しよう

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「患者向医薬品ガイド」を薬剤師で知らない方はおられないと思います。

ですが、「患者向医薬品ガイド」を活用している薬剤師は決して多くはないのではないでしょうか。

私は薬剤師はもっと「患者向医薬品ガイド」を使うべきだと考えています。


 

患者向け医薬品ガイドとは

まずは、「患者向医薬品ガイド」の基本情報をPMDAのページより引用してご紹介いたします。

患者向医薬品ガイドとは
患者向医薬品ガイドは、患者の皆様や家族の方などに、医療用医薬品の正しい理解と、重大な副作用の早期発見などに役立てていただくために提供するものです。
したがって、医薬品を使用するときに特に知っていただきたいことを、医療関係者向けに作成されている添付文書を基に、わかりやすく記載しています。

患者向医薬品ガイドの利用にあたっての留意事項
次の場合を除き、患者向医薬品ガイド提供企業(製造販売業者)に無断で複製、転載、頒布する等の行為を禁じます。
・自らが使用することを目的とする場合
・医療関係者が、患者さんやその家族の方などに薬の説明をするために使用する場合

上記の記述のとおり、私たち薬局薬剤師が患者さんへ薬の説明をする際に使用して、お渡ししても良いものです。

しかもそれが、患者さんの治療効果向上や、副作用早期発見につながるのであればもっと使うべきです。

 

「患者向医薬品ガイド」はその名の通り「患者さんのため」になる

患者向医薬品ガイドは添付文書とは違い、専門用語を省いた表現で、誰が読んでもわかりやすいように出来ています。

患者向医薬品ガイドを印刷するまでの手順①~③

①まずはパソコンからこちらのページにアクセスしてください。

※もしくは「患者向け医薬品ガイド」と検索。

このページの中に下記のような部分があります。

・患者向医薬品ガイド一覧から探す
・医療用医薬品 情報検索から探す

の2つの方法があるのですが、私のおすすめは右側「医療用医薬品 情報検索から探す」です。こちらをクリックしてください。

②赤枠で囲った部分に医薬品名を入れます。

薬品名は何でも良いのですが、ここでは「フォサマック」と入れます。

続けて、検索ボタンを押します。

 

③赤枠で囲った「○」の部分をクリックすれば、フォサマック錠35㎎の患者向け医薬品ガイドがのPDFファイルが開きます。

あとは、ひらいたPDFファイルを印刷するだけです。

~患者向医薬品ガイドを印刷するまでの手順<終>~

 

患者向医薬品ガイドは誰が読んでも分かり易い。

ここでは「フォサマック錠35㎎」の患者向医薬品ガイドの内容を例にあげてゆきます。

例えば、フォサマック錠特有の飲み方の説明についても下記のようにわかりやすく書いてくれています。

●どのように飲むか?
・水で飲んでください。
水以外の飲み物(カルシウムやマグネシウムなどを多く含むミネラルウォーター、コーヒー、ジュースを含む)や食べ物、他のお薬と一緒に飲まないでください。薬の吸収が悪くなる可能性があります。
・口やのど、食道に潰瘍(かいよう)を生じる可能性がありますので、立ったり、上体を起こして座った姿勢で、コップ 1 杯の水(180mL)と一緒に飲んでください。薬を飲んでから少なくとも30分間は横にならないでください。
・口やのどを刺激する可能性がありますので、薬をかんだり、口の中で溶かしたりしないで飲んでください。

とてもわかりやすいです。

 

他にも、注意すべき副作用である「顎骨壊死」についても分かりやすい平易な表現、”あごの骨の壊死(えし)、
あごの骨の骨髄炎(こつずいえん)”で書かれていたり、

「顎骨壊死」を防ぐために気をつけるべき点も下記のとおり。

※フォサマック錠35㎎の患者向医薬品ガイドより引用
①医師と相談の上、必要に応じてこの薬を使い始める前に歯科検査を受け、できるだけ抜歯などの治療を済ませること。
②ブラッシングなどで口腔内を清潔に保つこと。
③定期的に歯科検査を受けること。
④歯科を受診する際には、この薬を使用していることを歯科医師に告げること。
⑤この薬を使用している間は、抜歯などの治療をできるだけ避けること。

具体的にわかりやすく書いてくれています。

薬剤師が薬局にて懇切丁寧に説明して患者さんその場では全内容をしっかりと理解したとします。
しかし、1回だけの説明だと患者さんが家に帰った後ではその内容のうち20%しか覚えていないと言われています。

ですが、この患者向医薬品ガイドをお渡ししていれば、患者さんが家に帰った後忘れてしまった内容についてもかなり思い出していただけます。

 

実際、患者さんにかなり喜ばれる

実際、私も服薬指導の際に患者さんに「患者向医薬品ガイド」を印刷してお渡しする事があるのですが、わかりやすいとかなり喜ばれます。
しかも、次回の再来局時には患者さんの知識が深まっているのがわかりますし、患者さんに好印象をもってもらえた事もわかりますし、患者さんの服薬継続意欲も向上しますし、治療にも良い影響が出ますし、副作用の早期発見にもつながりますし良いことしかありません。
かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師をめざす私たちは是非活用しましょう。

 

薬剤師の知識の整理にも役立つ

薬剤師の知識の整理や、若手薬剤師の研修・勉強用資料としても使えます。

例えば、「中毒性表皮壊死融解症」という副作用についてどのような初期症状に注意すべきか知っていますか?患者さんに説明できますか?

フォサマック錠35㎎の患者向医薬品ガイドを見ていただくと「中毒性表皮壊死融解症」については下記のように載っています。

重大な副作用 主な自覚症状
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN)ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう(トキシック エピダーマル ネクロライシス:テン) 関節の痛み、全身の赤い斑点(はんてん)と破れやすい水疱(すいほう)、痛みのある赤い肌、からだがだるい、発熱、食欲不振

どのような副作用で、どのような自覚症状があるか という事について非常に勉強になります。

患者向医薬品ガイドを活用している若手薬剤師は、そのうち「患者向医薬品ガイドなし」でも、平易な表現でわかりやすく説明でき、相談に乗れる、良い薬剤師に成長することでしょう。

 

薬剤師はもっと患者向医薬品ガイドを使おう

患者向医薬品ガイドは

・患者さんの為になります
・若手薬剤師の為にもなります

だから私たち薬局に勤務する薬剤師はもっと「患者向医薬品ガイド」を使いましょう。

 

※患者向医薬品ガイドは、全ての医療用医薬品について作成されている訳ではありません。
・重篤な副作用の早期発見等を促す必要がある薬剤
・特に注意喚起すべき情報がある薬剤
について作成されています。




 

最後に

当サイトはあくまで一般的な注意点や説明を記載しています。実際はその方の年齢や性別、その他合併症、併用薬の有無など、個人によって治療方法が異なります。当サイトの情報は「参考程度」に留めておいてください。当サイトでは、取り上げた情報により生じた健康被害等の責任は一切負いません。


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