『個別指導及び適時調査において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項について』四国厚生局2019年8月28日発表

厚生労働省発表資料

当ページは、四国厚生局が2019年8月28日にホームページに発表した、『個別指導及び適時調査において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項について』の資料から文章を引用した記事です。

※パソコンやスマートフォンからでも確認しやすいように、目次や見出しをつける等の編集は行っていますが、内容(文章)自体は原文をそのまま引用しています。

【引用元であるPDFファイル】

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※自身の薬局での再確認および自身の知識の整理のために、注釈を入れつつ書きまとめました。

以下、注釈の無い所は引用です。

Ⅰ 調剤全般に関する事項

1 処方箋の取扱い

(1) 「処方」欄の記載に次の不備のある処方箋につき、疑義照会をせずに調剤を行っている不適切な例が認められたので改めること。
① 用量の記載がない。
② 外用薬の用量の記載がない。
③ 用法の記載がない。
④ 外用薬の使用部位に係る記載がない。

2 処方内容に関する薬学的確認

(1) 処方内容について確認を適切に行っていない(処方医への疑義照会を行っているものの、その内容等を処方箋又は調剤録に記載していないものを含む。)次の例が認められたので改めること。

① 薬剤の処方内容より禁忌投薬が疑われるもの
・ 高カリウム血症に対するスピロノラクトン錠

※アルダクトンA錠の添付文書「禁忌」の項目より引用

・高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある。]

 

・ 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者に対するPL配合顆粒

※PL配合顆粒の添付文書「禁忌」の項目より引用

6. 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者[本剤中のプロメタジンメチレンジサリチル酸塩は抗コリン作用を有し,排尿困難を悪化させるおそれがある。]

 

・ 閉塞隅角緑内障が疑われる患者に対するベシケアOD錠

※ベシケアOD錠の添付文書「禁忌」の項目より引用

2.3 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。]

 

② 医薬品医療機器等法による承認内容と異なる効能効果(適応症)での処方が疑われるもの

・ 爪周囲皮膚炎に対するディフェリンゲル 0.1%

※ディフェリンゲルの添付文書より引用

効能又は効果:尋常性ざ瘡
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.本剤は顔面の尋常性ざ瘡にのみ使用すること。
2.顔面以外の部位(胸部、背部等)における有効性・安全性は確立していない。
3.結節及び嚢腫には、他の適切な処置を行うこと。

 

・ パーキンソン病に対するエクセグラン散 20%

※エクセグランの添付文書より引用

効能又は効果
部分てんかんおよび全般てんかんの下記発作
部分発作
単純部分発作〔焦点発作(ジャクソン型を含む)、自律神経発作、精神運動発作〕
複雑部分発作〔精神運動発作、焦点発作〕
二次性全般化強直間代けいれん〔強直間代発作(大発作)〕
全般発作
強直間代発作〔強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)〕
強直発作〔全般けいれん発作〕
非定型欠神発作〔異型小発作〕
混合発作〔混合発作〕

 

③ 医薬品医療機器等法による承認内容と異なる用量で処方されているもの

・ 高齢者に対するアルプラゾラム錠 1.6mg、フルニトラゼパム錠2mg、サイレース錠1mg2錠

※ソラナックス(アルプラゾラム)の添付文書「用法及び用量」より引用

通常、成人にはアルプラゾラムとして1日1.2mgを3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。増量する場合には最高用量を1日2.4mgとして漸次増量し、3〜4回に分けて経口投与する。
高齢者では、1回0.4mgの1日1〜2回投与から開始し、増量する場合でも1日1.2mgを超えないものとする。

※サイレース(フルニトラゼパム)の添付文書「用法及び用量」より引用

通常成人1回、フルニトラゼパムとして、0.5〜2mgを就寝前又は手術前に経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、高齢者には1回1mgまでとする。

 

・ 高齢者に対するトリアゾラム錠 0.25mg2錠、エチゾラム錠1mg3錠の1日3回

※ハルシオン(トリアゾラム)の添付文書「用法及び用量」より引用

1. 不眠症
通常成人には1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。高度な不眠症には0.5mgを投与することができる。なお、年齢・症状・疾患などを考慮して適宜増減するが、高齢者には1回0.125mg〜0.25mgまでとする。

※デパス(エチゾラム)の添付文書「用法及び用量」より引用

・神経症,うつ病の場合
通常,成人にはエチゾラムとして1日3mgを3回に分けて経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減するが,高齢者には,エチゾラムとして1日1.5mgまでとする.

・心身症,頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛の場合
通常,成人にはエチゾラムとして1日1.5mgを3回に分けて経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減するが,高齢者には,エチゾラムとして1日1.5mgまでとする.

・睡眠障害に用いる場合
通常,成人にはエチゾラムとして1日1〜3mgを就寝前に1回経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減するが,高齢者には,エチゾラムとして1日1.5mgまでとする.

 

④ 医薬品医療機器等法による承認内容と異なる用法で処方されているもの

・ アバプロ錠 50 ㎎ 1日2回

※アバプロ錠の用法及び用量(添付文書より引用)

通常、成人にはイルベサルタンとして50〜100mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は200mgまでとする。

 

・ アムロジピンOD錠5mg 1日2回

※アムロジンOD錠の用法及び用量(添付文書より引用)

成人の場合
○高血圧症
通常、成人にはアムロジピンとして2.5〜5mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。

○狭心症
通常、成人にはアムロジピンとして5mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増減する。

 

・ サインバルタカプセル 20mg1カプセル 1日1回夕食後

※サインバルタCPの用法・用量(添付文書より引用)

〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。
なお、効果不十分な場合には、1日60mgまで増量することができる。

〈線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして60mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する

 

⑤ 薬学的に問題がある多剤併用が疑われるもの

・ アダラートCR錠 20mg とノルバスクOD錠 2.5mg

アダラートCR錠も,ノルバスクOD錠も Ca拮抗薬である。

 

・ トランドラプリル錠1mg とテルミサルタン錠 40mg

ACE阻害剤(トランドラプリル)と、ARB(テルミサルタン)との類似作用機序薬の併用

 

・ ファモチジンD錠とランソプラゾールOD錠

H2受容体拮抗薬(ファモチジン)とPPI(ランソプラゾール)との類似作用機序薬の併用

 

・ ブスコパン錠 10mg、チキジウム臭化物カプセル 10mg 及びコランチル配合顆粒

類似作用機序薬の併用

 

・ レニベース錠5mg とオルメサルタン OD 錠 10mg

ACE阻害剤(レニベース)と、ARB(オルメサルタン)との類似作用機序薬の併用

 

⑥ 投与期間の上限が設けられている医薬品について、その上限を超えて投与されているもの
ア 8週を超えるプロトンポンプ・インヒビター
・ オメプラール錠 20 20 ㎎
・ タケキャブ錠 20 ㎎
・ タケプロンOD錠 30 ㎎
・ ネキシウムカプセル 20 ㎎

 

⑦ 漫然と長期にわたり処方されているもの
・ 月余にわたるビタミン製剤(ダイメジンスリービー配合カプセル 25)

3 調剤

(1) 調剤について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 頓服薬を内服薬として調剤している。

(2) 調剤について、一般名処方に係る処方箋を受け付けた場合は、薬担規則に照らし、患者に対して後発医薬品に関する説明を適切に行い、後発医薬品を調剤するよう努めるとともに、後発医薬品の調剤に必要な体制の確保に努めること。

4 調剤済処方箋の取扱い

(1) 調剤済処方箋について、次の事項の記載がない、又は不適切な例が認められたので改めること。
① 調剤済年月日
② 保険薬局の所在地
③ 保険薬局の名称
④ 保険薬剤師の署名又は記名・押印

 

(2) 調剤済処方箋の「備考」欄又は「処方」欄に記入する次の事項の記載がない例が認められたので改めること。
① 処方箋を交付した医師又は歯科医師の同意を得て処方箋に記載された医薬品を変更して調剤した場合、その変更内容。

 

(3) 調剤済の処方箋について、調剤済みとなった日から3年間保存していない不適切な例が認められたので改めること。

 

5 調剤録の取扱い

(1) 調剤録について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 調剤録がない。

 

Ⅱ 調剤技術料に関する事項

1 調剤料

(1) 調剤料の算定について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 内服薬につき、1剤とすべきところ、2剤として算定している。

 

2 調剤料又は調剤技術料に係る加算

(1) 一包化加算
① 一包化加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 医師の了解を得た上で行ったものではない場合に算定している。

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(2) 自家製剤加算
① 自家製剤加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている。
・ 調剤録等に製剤工程を記載していない。
・ 医薬品の特性を十分に理解し、薬学的に問題ないと判断していない。

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(3) 計量混合調剤加算
① 計量混合調剤加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断していない。

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Ⅲ 薬学管理料に関する事項

1 薬剤服用歴管理指導料

(1) 薬剤服用歴の記録
① 薬剤服用歴の記録について、次の不適切な例が認められたので改めること。

ア 次の事項の記載が不十分である
・ 薬学的管理に必要な患者の生活像
・ 後発医薬品の使用に関する患者の意向
・ 服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
・ 服薬状況(残薬の状況を含む。)
・ 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)
・ 服薬指導の要点
・ 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点

イ 服薬指導の要点につき、同様の内容を繰り返し記載している例が認められた。服薬指導は、処方箋の受付の都度、患者の服薬状況、服薬期間中の体調変化を確認し、新たに収集した患者の情報を踏まえた上で行うものであり、その都度過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で、必要に応じて確認・指導内容を見直すこと。また、確認した内容及び行った指導の要点を、具体的に薬剤服用歴の記録に記載すること

ウ 薬剤服用歴管理指導料の算定に当たっては、算定要件を認識し、処方箋受付の都度、患者の服薬状況・服薬期間中の体調の変化を確認し、重大な副作用を中心にモニターを行う等、指導内容の充実を図るとともに、薬剤服用歴への指導内容の要点記載をさらに充実させること。

エ どのような副作用等に着目して聴取を行ったかなど、薬学的な観点から聴取・確認した内容を記載し、患者への指導により活用できる記録となるよう努めること。

副作用の眠気に対して運転等危険な作業に注意を促していない例が認められたので改めること。なお、車の運転の有無については、薬剤服用歴に記載しておくこと。特に、「車の運転禁止」とある薬剤の服用に当たっては、運転に注意するようにではなく、禁止と伝えるとともに、その旨を薬剤服用歴に記載しておくこと。

「車の運転禁止」とある薬剤といえば、禁煙補助薬のチャンピックスなんかもそうですね。
※チャンピックス錠の添付文書「重要な基本的注意」より引用
4.めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

(2) 薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)の保存等

① 電子的に保存している記録について、次の不適切な事項、又は例が認められたので改めること。

ア 最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠していない。
・ パスワードの有効期間を適切に設定していない。パスワードは定期的(2ヶ月以内)に変更すること。
・ パスワードが1文字である例が認められた。パスワードは英数字、記号を混在させた8文字以上の文字列が望ましい。
・ 特定のIDを複数の事務職員が使用している。

 

(3) 調剤報酬明細書

一般名処方が行われた医薬品について、後発医薬品を調剤しなかった場合に、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載していない不適切な例が認められたので改めること。

 

(4) 重複投薬・相互作用等防止加算

① 重複投薬・相互作用等防止加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 薬剤服用歴の記録に処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を記載していない。

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(5) 特定薬剤管理指導加算

① 特定薬剤管理指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品に対して算定している。
・ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合に、その全てについての必要な薬学的管理及び指導を行っていない。
・ 指導内容に画一的な例が認められるため、患者に即した指導に努めること。

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Ⅳ 薬剤料等に関する事項

1 薬剤料

(1) 薬剤料の算定誤りが認められたので改めること。
① 内服薬につき、1剤とすべきところ、2剤として薬剤料を算定している。
② 外用薬につき、1剤とすべきところ、2剤として薬剤料を算定している。

 

Ⅴ 事務的事項

1 届出事項

(1) 次の届出事項の変更が認められたので、速やかに届出すること。
① 保険薬剤師の異動

2 掲示事項

(1) 掲示事項について、次の不適切な事項が認められたので改めること。
① 後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を保険薬局の外側の見えやすい場所に掲示していない。

後発医薬品調剤体制加算を算定している薬局は掲示しないといけません。

 

Ⅵ その他

1 保険請求に当たっての請求内容の確認

(1) 保険薬剤師が行った調剤に関する情報の提供等について、保険薬局が行う療養の給付に関する費用の請求が適正なものとなるよう努めていないので改めること。
① 保険薬剤師による処方箋、調剤録、調剤報酬明細書の突合・確認が行われていない。

2 関係法令の理解

(1) 被保険者証のコピーを保有することは、個人情報保護の観点から好ましくないので改めること。

以上。引用おわり

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