メマリー錠は中等度から高度アルツハイマー型認知症の進行抑制に使用される内服薬です。
ドネぺジル(アリセプト)等とは異なる作用機序(NMDA受容体拮抗)のため、コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬のイクセロンパッチ/リバスタッチパッチ、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール))と併用することも可能です。
メマリー(メマンチン)錠の基本情報
一般名(成分名)は「メマンチン」です。
メマリー錠は1日1回服用する薬です。
食事の影響は大きく受けませんので、食前・食後問わずに服用できます。
5㎎から服用を開始して、1週間に5㎎ずつ増量し、通常20㎎/日の量で続ける薬です。
※メマリー錠の添付文書より引用
【効 能 ・ 効 果】
中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
【用 法 ・ 用 量】
通常、成人にはメマンチン塩酸塩として 1 日 1 回 5 mgから開始し、 1 週間に 5 mgずつ増量し、維持量として1 日 1 回20mgを経口投与する。
メマリー錠の種類(メマリー錠とメマリーOD錠の違い)
メマリーには、「メマリー錠」と「メマリーOD錠」の2種類があります。
この2種類に効果の違いはありません。
メマリー錠:コップ1杯程度の水と一緒に飲むタイプ
メマリーOD錠:水なしで飲めるタイプ。口の中にあるわずかな水分で溶けます。溶かしてから唾液と一緒に飲み込みます。(もちろん水で飲んでも大丈夫です)
そして、それぞれに「5㎎」「10㎎」「20㎎」の規格があります。
※画像は添付文書より引用
維持量までの増量スケジュール例
日 | 服用量(㎎) | 服用の例 |
---|---|---|
1~7日目 | 5㎎ | メマリー錠5㎎ 1錠 |
8~14日目 | 10㎎ | メマリー錠10㎎ 1錠 |
15~21日目 | 15㎎ | メマリー錠5㎎ 1錠 メマリー錠10㎎ 1錠 |
22~28日目 | 20㎎ | メマリー錠20㎎ 1錠 |
29日目以降~ (維持量) | 20㎎ | メマリー錠20㎎ 1錠 |
どうして5㎎ずつ増量するの?最初から20㎎飲んではダメなの?
5㎎から初めて、少しずつ(5㎎ずつ)増量するのは、副作用を起しにくくするためです。
最初から20㎎を飲むと副作用が起こりやすくなってしまいます。
添付文書-用法・用量に関連する使用上の注意-より引用
1 日 1 回 5 mgからの漸増投与は、副作用の発現を抑える目的であるので、維持量まで増量すること。
※漸増投与(ぜんぞう とうよ)=徐々に増やす投与方法のこと。
(間違えて(ざんぞう とうよ)と読まないようにしましょう。薬剤師でも読み間違えている人はたくさんいます。)
メマリーの副作用は?どんなのがあるの?
特に注意すべき副作用の1つが「めまい、傾眠(眠たくなる)」です。
特にメマリーを飲み始めた初期に起こりやすいため、本人はもちろん同居のご家族さんや、介護者さんにも注意していただきたいです。
認知症高齢者が、めまいを起して倒れる事は、骨折し寝たきりになってしまう等につながる恐れがあります。傾眠(眠たくなる)も同様です。
添付文書-使用上の注意-重要な基本的注意-より引用
投与開始初期においてめまい、傾眠が認められることがあるので、患者の状態を注意深く観察し異常が認められた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、これらの症状により転倒等を伴うことがあるため、十分に注意すること。
他に副作用はないの?
めまいの他には、便秘、体重減少、頭痛等も数多くではありませんが報告されています。
他にも服用を開始してから何かおかしいと感じるところがあれば、処方医もしくは、かかりつけ薬剤師に相談するようにしてください。
腎機能が悪いけどメマリーを飲んでもいいですか?
腎機能が悪い方も服用は可能です。しかし、腎機能(数値)の変化をよく観察してもらいながら、何かあればすぐに中止や薬を減量できる体制のもと服用すべきです。
また、腎機能が悪い方は維持量(続ける量)は20㎎/日ではなく10㎎/日となります。
※メマリーは腎臓(尿)から体の外へ出てゆくタイプの薬剤なので、腎機能が落ちている方は10㎎/日でも体の中に薬が十分な量残ると考えられるため。
添付文書-用法・用量に関連する使用上の注意-より引用
高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:30mL/min未満)のある患者には、患者の状態を観察しながら慎重に投与し、維持量は 1 日 1 回10mgとすること
メマリーはどのように認知症に効いているの?
「グルタミン酸」という物質が脳内で過剰になりすぎているというのが、認知症の原因の1つではないかと言われています。メマリーはこの「グルタミン酸」が脳内に過剰に放出されるのを防ぐことで認知症進行抑制効果を発揮すると考えられています。
添付文書-薬効薬理-より引用
アルツハイマー型認知症ではグルタミン酸神経系の機能異常が関与しており、グルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体チャネルの過剰な活性化が原因の一つと考えられている。メマンチンはNMDA受容体チャネル阻害作用により、その機能異常を抑制する。
メマリーの特徴は?
メマリーは「中等度~高度の認知症症状」に対して使用される薬です。
初期の認知症に対して使用される薬ではありません。
初期の認知症に対しては他の認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬のイクセロンパッチ/リバスタッチパッチ、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール))が使われます。そして、中等度~高度に進行してしまった場合メマリーはこれらの薬剤と「併用できる」のが特徴です。
まとめ
メマリー錠は、中等度~高度の認知症症状の進行抑制に使用される薬剤である。
・1日1回食事に関係なく服用できる。
・副作用の中でも特に「めまい・傾眠」に注意が必要。
・他の認知症治療薬と併用ができる。
メマリーは患者向医薬品ガイドが作成されている薬剤です。
他の認知症治療薬も確認
アルツハイマー型認知症治療薬
一般名 | (代表的な) 商品名 | 特徴 | |
---|---|---|---|
コリンエステラーゼ阻害薬 | ドネペジル | アリセプト | 軽度~高度まで |
ガランタミン | レミニール | 軽度~中等度 | |
リバスチグミン | イクセロンパッチ リバスタッチパッチ | 軽度~中等度 | |
グルタミン酸NMDA受容体拮抗薬 | メマンチン | メマリー | 中等度及び高度 |
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最後に
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