ドネペジル(アリセプト)は認知症の早期から症状の進行抑制に使われる飲み薬

薬・治療・病態 各論

ドネペジル(アリセプト)はアルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症の症状の進行抑制に使われる薬です。

認知症治療薬として最初に開発された薬剤です。

 

ドネペジル(アリセプト)の基本情報

一般名(成分名)は「ドネペジル」です。

 

・アルツハイマー型認知症に使用する場合は、
3㎎から始めて、通常5㎎に増量します。高度の認知症の場合10㎎まで増量できます。

・レビー小体型認知症に使用する場合は、
3㎎から始めて、通常10㎎まで増量します。症状によって5㎎まで減量できます。

※アリセプト錠の添付文書より引用
【効能・効果】
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

【用法・用量】
・アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として 1 日 1 回3 mgから開始し、 1 ~ 2 週間後に 5 mgに増量し、経口投与する。
高度のアルツハイマー型認知症患者には、5 mgで 4 週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

・レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として 1 日 1 回3 mgから開始し、 1 ~ 2 週間後に 5 mgに増量し、経口投与する。 5 mgで 4 週間以上経過後、10mgに増量する。
なお、症状により 5 mgまで減量できる。


アリセプト(ドネペジル)の種類

アリセプトの種類は大きく分けて6種類。規格違いも含めると11種類あります。
・アリセプト錠3㎎, 5㎎, 10㎎
・アリセプトD錠3㎎, 5㎎, 10㎎
・アリセプト細粒0.5%
・アリセプトドライシロップ1%
・アリセプト内服ゼリー3㎎, 5㎎, 10㎎

効能・効果は全て同じです。

「錠」と「D錠」の違いは、「D錠」は水なしでも飲めるという事。

加齢等が原因で、嚥下能力が落ちてしまった方にも使える剤形ラインナップです。

ジェネリック医薬品(ドネペジル)は上記に加えて下記の剤形もあります。
・ドネペジル塩酸塩ODフィルム
・ドネペジル塩酸塩内用液

 

どうして3㎎から始めるの?最初から5㎎を飲んではダメなの?

3㎎から始めるのは、消化器系の副作用(吐き気・食欲不振)を起こしにくくするためです。

最初から5㎎をのむと副作用(吐き気・食欲不振)が起こりやすくなってしまいます。

3㎎/日では特別な場合を除き有効ではないので、3㎎は原則1~2週間を超えて飲むことはありません。

※添付文書-用法・用量に関連する使用上の注意-より引用
3 mg/日投与は有効用量ではなく、消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則として 1 ~ 2 週間を超えて使用しないこと。

 

アリセプトの副作用は?どんなのがあるの?

消化器系の副作用(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢)が最も頻度の多い副作用です。
(アリセプト錠の添付文書によると1~3%未満)

高齢者が消化器症状副作用発症→食欲不振となると、栄養不足や脱水に陥り、予後不良状態(改善しにくい良くない状態)へ進行する可能性もあるので、「たかが消化器症状」とあなどってはいけません。消化器症状も十分に注意が必要です。

 

他に副作用はないの?

心臓の「脈の異常」などがあらわれるおそれがあります。

心筋梗塞、狭心症、弁膜症等の心疾患を持つ患者さんが服用される際は特に注意するようにしてください。

※添付文書-重要な基本的注意-より引用
本剤の投与により、QT延長、心室頻拍(torsadesde pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがあるので、特に心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者や電解質異常(低カリウム血症等)のある患者等では、観察を十分に行うこと。

 

錐体外路障害による症状「歩きにくい、正しい姿勢が保てない、筋肉が勝手にビクンと動く、腕が震える」が起こることがあります。この副作用が現れた場合は、服用を中止して、処方医もしくは、かかりつけ薬剤師に相談してください。

※添付文書-重大な副作用-より引用
錐体外路障害(アルツハイマー型認知症:0.1~1 %未満、レビー小体型認知症:9.5%) 寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

 

また、パーキンソン病の患者さんはこの薬は飲まない方がよいです。禁忌(絶対に飲んではいけない)ではないのですが、慎重投与(通常飲まないほうが良い)とされています。

※添付文書-慎重投与-より引用
錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者
〔線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。〕

 


まとめ

ドネペジル(アリセプト)はアルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症の症状の進行抑制に使われます。
・1日1回食事に関係なく服用できる。
・副作用の中でも特に「消化器症状」の頻度が多い。
・心疾患やパーキンソン病の方に使用する際は要注意。

ドネペジル(アリセプト)は患者向医薬品ガイドが作られている薬剤です。
こちらも大変分かりやすいです。

 

他の認知症治療薬も確認

アルツハイマー型認知症治療薬

 一般名(代表的な)
商品名
特徴
コリンエステラーゼ阻害薬ドネペジルアリセプト軽度~高度まで
ガランタミンレミニール軽度~中等度
リバスチグミンイクセロンパッチ
リバスタッチパッチ
軽度~中等度
グルタミン酸NMDA受容体拮抗薬メマンチン メマリー中等度及び高度

 

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最後に

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