「イクセロンパッチ」と「リバスタッチパッチ」は同じ薬です。
製造販売している製薬会社が違うために「商品名」や包装は異なりますが、効果は全く同じです。
軽度~中等度のアルツハイマー型認知症の症状の進行抑制に使われる薬です。
成分名(一般名)はリバスチグミンです。
どっちが先発で、どっちがジェネリックなの?
どちらも「先発医薬品」です。
2つの製薬会社が「併売」している薬剤です。
イクセロンパッチ/リバスタッチパッチの基本情報
※リバスタッチパッチの添付文書より引用
〔効能・効果〕
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制〔用法・用量〕
通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4. 5mgから開始し、原則として4週毎に4. 5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。
また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
イクセロンパッチ/リバスタッチパッチの種類
※画像は添付文書より引用
・4.5㎎
・9㎎
・13.5㎎
・18㎎ の4種類あります。
㎎数が大きいほうが、パッチも大きく、含まれている薬の量が多いです。
4.5㎎もしくは9㎎から使用を開始します。その後は通常4週間毎に4.5㎎ずつ増量して18㎎まで増やします。
このようにゆっくりと増量するのは、副作用を起こしにくくするためです。
(※副作用については後で取り上げています。)
認知症の「貼り薬」はこの薬(リバスチグミン)だけ
2018年4月現在、認知症の「貼り薬」はこのイクセロンパッチ/リバスタッチパッチだけです。
貼り薬なので、嚥下能力が落ちて飲み薬が飲めなくなってしまった患者さんにも使用することができます。
また、薬を飲むことを拒否する認知症患者さんや、薬を飲んだかどうかわかりにくくなってしまった認知症患者さんに対しても、介護者がサポートしやすいのが貼り薬のメリットです。
薬自体に「貼り替えた日付」を書くスペースがあるので、活用することで、貼り替え忘れを防ぎやすくなります。
貼り替えは? 毎日同じ時間にするの?
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
24時間毎に貼り替えるようにしてください。 24時間毎であれば貼り替えるのは、朝でも昼でも夜でも大丈夫です。
本人やご家族さん、介護者の都合に合わせて時間を決めていただく事ができます。
貼ったまま入浴しても大丈夫です。しかし、毎日お風呂に入る方であれば、入浴前に剝がして、入浴後に新しいものを貼るという方法がおすすめです。
貼る場所はどこがいいの?
貼る場所は「背中」「二の腕」「胸」のいずれかの、赤み・かゆみ・湿疹・傷などがない場所にしてください。
また、体毛が多い場所は剥がれやすくなったり、薬がうまく吸収されない可能性があるので避けてください。
貼り替え方
①、24時間貼った薬をはがします。
※剝がした薬にも薬の成分がまだ残っていますので、使用済みの薬は接着面を内側にして折りたたみ、小児の手及び目の届かない所に捨てて下さい。
②、貼付箇所の皮膚の汗や汚れを拭い、清潔にしてから貼付します。
※皮膚刺激を避けるため、貼付箇所を毎回変更し、繰り返し同一箇所には貼付しないようにしましょう。
同一箇所に連日貼って剝がすを繰り返した場合、皮膚角質層の剥離や皮膚炎が起こるだけではなく、血中濃度が増加して効きすぎてしまうおそれがあるため、貼付箇所は毎回変更してください。
また、貼り替える順番を下図のように
「①背中右側⇒②背中左側⇒③左の二の腕⇒④左胸⇒⑤右胸⇒⑥右の二の腕⇒(①背中右側に戻る)』という風に決めておくと、貼り替え忘れにも気付き易くなるためおすすめです。
当日薬を貼る場所には、クリーム等を塗らないこと
パッチが貼りにくく、はがれやすくなってしまう為、当日薬を貼る予定の場所にクリーム等は塗らないで下さい。
しかし、貼る1日(24時間)以上前の場所については、正常な皮膚を保ち、皮膚の炎症予防にもなるために保湿クリームやローション等を塗ることはむしろおすすめです。
貼り替え忘れに気づいたらどうしたらいいの?
貼り替え忘れに気づいた時は、すぐに新しいものに貼り替えてください。そして、次の貼り替えは「いつもの時間」にすれば大丈夫です。
3日も貼り替えるの忘れてたけどそれでも大丈夫?
※添付文書より引用
休薬期間が4日程度の場合は、休薬前と同じ用量又は休薬前に忍容であった用量で投与を再開する。
(添付文書にこのような記載があります)
貼り替えわすれたのが4日程度であれば、すぐに新しいものに貼り替えて、次の貼り替えは「いつもの時間」にすれば大丈夫です。
ただし、貼り替えを5日間以上忘れてしまった場合は、今使っている用量から減らす(パッチを小さいものにする)必要があるかもしれませんので、処方した医師または薬剤師にご相談下さい。
はがれてしまった時もすぐ貼り替えたらいい?
はい。
剥がれてしまった時もすぐに新しいものに貼り替えて、次の貼り替えは「いつもの時間」で大丈夫です。
イクセロンパッチ/リバスタッチパッチの副作用と注意点
※添付文書より引用
〔禁忌(次の患者には投与しないこと)〕
本剤の成分又はカルバメート系誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
併用禁忌(絶対に一緒に飲んではいけない薬)はありませんが、
※添付文書より引用
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
(7)他のコリンエステラーゼ阻害作用を有する同効薬(ドネペジル等)と併用しないこと。
同種同効薬である(同じ仕組みで働く認知症治療薬である)、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)とは併用してはいけません。
副作用は消化器症状に注意
食欲不振や、嘔吐や、下痢の副作用が報告されている薬剤です。高齢者の脱水は様々な危険を招く可能性があるため、注意が必要です。 重篤化する前に適切な処置を行ってください。
※添付文書-重要な基本的注意-より引用
嘔吐あるいは下痢の持続により脱水があらわれることがある。脱水により、重篤な転帰をたどるおそれがあるので、嘔吐あるいは下痢がみられた場合には、観察を十分に行い適切な処置を行うこと。
体重の変化にも注意して下さい(毎日体重を測って下さい)
コリンエステラーゼ阻害剤(イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール))では、体重減少が報告されています。
体重の変化に気づけるよう、毎日体重を測定するようにしましょう。
※添付文書-重要な基本的注意-より引用
アルツハイマー型認知症患者では、体重減少が認められることがある。また、本剤を含むコリンエステラーゼ阻害剤の投与により、体重減少が報告されているので、治療中は体重の変化に注意すること。
肝臓の機能が特に落ちている方にも使用は推奨できません
重篤な肝機能障害(肝機能が特に落ちている)の方にも使用はおすすめできません。
※添付文書-重要な基本的注意-より引用
重度の肝機能障害のある患者では、投与経験がなく、安全性が確立されていないため、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ投与すること。
※他にも、何かおかしいと感じる部分があれば、処方医もしくは、かかりつけの薬剤師に相談するようにして下さい。
まとめ
イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは認知症症状の進行抑制に使われる貼り薬である。
・1日1回同時刻に毎日貼り替える
・副作用の中でも「消化器症状(嘔吐・下痢)による脱水」「体重減少」には特に注意が必要
イクセロンパッチ・リバスタッチパッチは患者向医薬品ガイドが作成されている薬剤です。
他の認知症治療薬も確認
アルツハイマー型認知症治療薬
一般名 | (代表的な) 商品名 | 特徴 | |
---|---|---|---|
コリンエステラーゼ阻害薬 | ドネペジル | アリセプト | 軽度~高度まで |
ガランタミン | レミニール | 軽度~中等度 | |
リバスチグミン | イクセロンパッチ リバスタッチパッチ | 軽度~中等度 | |
グルタミン酸NMDA受容体拮抗薬 | メマンチン | メマリー | 中等度及び高度 |
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最後に
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