パッチ製剤・テープ製剤まとめ 【消炎鎮痛薬(湿布薬)以外】

薬・治療・病態 各論

薬には飲み薬や貼り薬、注射薬など様々な種類があります。

その中でも「貼り薬」といえば、筋肉痛や関節痛などに対して使う、いわゆる「湿布薬」を思い浮かべる事が多いでしょう。

しかし、現在は湿布薬(消炎鎮痛薬)以外の貼り薬も数多く販売されています。

今回は、消炎鎮痛薬以外の貼り薬で代表的なものをまとめました。


パッチ薬・テープ薬 まとめ

※2019年1月現在の各薬剤の添付文書から引用した情報であることにご注意下さい。

※当記事では【禁忌】は紹介しておりません。患者様が飲み薬ではなく貼り薬が良いなと思われた場合でも禁忌(使ってはいけない方)に該当する場合はお使いいただけません。

アレサガテープ

アレルギー性鼻炎治療薬です。花粉症など季節性のアレルギー性鼻炎に使われることもあります。

【成分名(一般名)】
エメダスチンフマル酸塩

【効能・効果】
アレルギー性鼻炎

【用法・用量】
通常、成人にはエメダスチンフマル酸塩として1回4mgを胸部、上腕部、背部又は腹部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替える。なお、症状に応じて1回8mgに増量できる。

 

イクセロンパッチ

アルツハイマー型認知症治療剤です。
貼り薬なので、認知症患者さんを介護する方が「これは管理しやすい」と喜ばれる声を私も実際きいたことがあります。

【成分名(一般名)】
リバスチグミン経皮吸収型製剤

【効能・効果】
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

【用法・用量】
通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

後で出て来る、リバスタッチパッチと同じ薬(併売品)です。

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エストラーナテープ

経皮吸収型のエストラジオール製剤です。
女性の更年期障害等に使用される薬剤です。

【成分名(一般名)】
エストラジオール貼付剤

【効能・効果】【用法・用量】
<更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状血管運動神経症状(Hotflush及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状>
<閉経後骨粗鬆症>

通常、成人に対しエストラジオールとして0.72mgを下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替える。

<性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症>
通常、成人に対しエストラジオールとして0.72mgから開始する。下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替え、症状に応じ増減する。
小 児 で は 、エストラジオールとして0.09mgから開始する。下腹部、臀部のいずれかに貼付し、2日毎に貼り替える。その後、エストラジオールとして0.18mg、エストラジオールとして0.36mg、エストラジオールとして0.72mgへ段階的に増量する。

 

デュロテップMTパッチ

癌に伴う痛みなどに使用される鎮痛薬(麻薬)です。
3日毎(約72時間)に貼り替えるという特徴でわかるとおり、突発的な痛みではなく、持続的な痛みに対して使われます。

【成分名(一般名)】
フェンタニル経皮吸収型製剤

【効能・効果】
非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛

【用法・用量】
本剤は、オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。
通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、3日毎(約72時間)に貼り替えて使用する。
初回貼付用量は本剤投与前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、2.1mg(12.5μg/hr)、4.2mg(25μg/hr)、8.4mg(50μg/hr)、12.6mg(75μg/hr)のいずれかの用量を選択する。
その後の貼付用量は患者の症状や状態により適宜増減する。

 

ドレニゾンテープ

湿疹や皮膚炎に対して使われる薬剤です。
湿疹や皮膚炎にはよく塗り薬が使われます。テープ剤は塗り薬とは違い薬剤が皮膚表面に付着し続けますので、これにより塗り薬よりも高い効果が期待できる場合に用いられます。

【成分名(一般名)】
フルドロキシコルチドテープ

【効能・効果】
湿疹皮膚炎群(進行性指掌角皮症,ビダール苔癬を含む),結節性痒疹(固定蕁麻疹を含む),乾癬,掌蹠膿疱症,扁平紅色苔癬,アミロイド苔癬,環状肉芽腫,光沢苔癬,慢性円板状エリテマトーデス,フォックス・フォアダイス病,肥厚性瘢痕・ケロイド,尋常性白斑,シャンバーグ病,悪性リンパ腫(菌状息肉症の紅斑・扁平浸潤期等)

【用法・用量】
患部を軽く洗浄し,よく乾燥させた後,本剤を台紙に付着したまま適当な大きさに切り取り,台紙を取り除き患部に粘着面をあてて貼付する.
本剤は,貼付後12時間または24時間ごとに貼りかえる.
必要な場合,夜間のみ貼付する.
なお,貼りかえ時にも患部の洗浄および乾燥を行うこと.

 

ニトロダームTTS

貼り薬の特徴である持続的な効果を期待して使用されます。
狭心症の発作の緩解を目的とした使用には向いていません。

【成分名(一般名)】
ニトログリセリン経皮吸収型製剤

【効能・効果】
狭心症

【用法・用量】
通常、成人に対し1日1回1枚(ニトログリセリンとして25mg含有)を胸部、腰部、上腕部のいずれかに貼付する。
なお、効果不十分の場合は2枚に増量する。

同効薬(類似薬)に、バソレーターテープがあります。

 

ニュープロパッチ

パーキンソン病などに使われる貼り薬です。

【成分名(一般名)】
ロチゴチン経皮吸収型製剤

【効能・効果】
・パーキンソン病
・中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)

【用法・用量】
<パーキンソン病>
通常、成人にはロチゴチンとして1日1回4.5mg/日からはじめ、以後経過を観察しながら1週間毎に1日量として4.5mgずつ増量し維持量(標準1日量9mg~36mg)を定める。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、1日量は36mgを超えないこと。
本剤は肩、上腕部、腹部、側腹部、臀部、大腿部のいずれかの正常な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

<特発性レストレスレッグス症候群>
通常、成人にはロチゴチンとして1日1回2.25mg/日からはじめ、以後経過を観察しながら1週間以上の間隔をあけて1日量として2.25mgずつ増量し維持量(標準1日量4.5mg~6.75mg)を定める。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、1日量は6.75mgを超えないこと。
本剤は肩、上腕部、腹部、側腹部、臀部、大腿部のいずれかの正常な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

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ネオキシテープ

頻尿(おしっこの回数が多い)や、失禁(もれてしまうことがある)でお困りの方に使われる薬剤です。

【成分名(一般名)】
オキシブチニン塩酸塩経皮吸収型製剤

【効能・効果】
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

【用法・用量】
通常、成人に対し本剤1日1回、1枚(オキシブチニン塩酸塩として73.5mg)を下腹部、腰部又は大腿部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替える。

 

ノルスパンテープ

慢性的な膝の痛み、慢性的な腰痛に対して用いられる鎮痛薬です。7日間貼り続けることができるという特徴のある薬です。非オピオイド鎮痛剤の投与を含む保存的治療では十分な鎮痛効果が得られない方に対してのみ使われます。

【成分名(一般名)】
ブプレノルフィン経皮吸収型製剤

【効能・効果】
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患に伴う慢性疼痛における鎮痛
・変形性膝関節症
・腰痛症

【用法・用量】
通常、成人に対し、前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日毎に貼り替えて使用する。
初回貼付用量はブプレノルフィンとして5㎎とし、その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが、20㎎を超えないこと。

 

バソレーターテープ

貼り薬の特徴である持続的な効果を期待して使用されます。
狭心症の発作の緩解を目的とした使用には向いていません。

【成分名(一般名)】
ニトログリセリンテープ

【効能・効果】
狭心症

【用法・用量】
通常、成人に対し1日1回1枚(ニトログリセリンとして27mg含有)を胸部、腰部、上腕部のいずれかに貼付する。
なお、効果不十分の場合は2枚に増量する。

同効薬(類似薬)に、先に紹介したニトロダームTTSがあります。

 

ビソノテープ

1日1回(24時間毎に)貼り変える、頻脈性の心房細動(不整脈)や高血圧の治療に用いられるテープタイプの薬剤です。

【成分名(一般名)】
ビソプロロール・テープ剤

【効能・効果】
1. 本態性高血圧症(軽症〜中等症)
2. 頻脈性心房細動

【用法・用量】
1. 本態性高血圧症(軽症〜中等症)
通常、成人にはビソプロロールとして8mgを1日1回、胸部、上腕部又は背部のいずれかに貼付し、貼付後24時間ごとに貼りかえる。
なお、年齢、症状により1日1回4mgから投与を開始し、1日最大投与量は8mgとする。
2. 頻脈性心房細動
通常、成人にはビソプロロールとして1日1回4mgから投与開始し、効果が不十分な場合には1日1回8mgに増量する。本剤は胸部、上腕部又は背部のいずれかに貼付し、貼付後24時間ごとに貼りかえる。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は8mgとする。

 

フェントステープ

経皮吸収型の持続性疼痛治療剤です。中等度~高度の疼痛に対して用いられる医療用麻薬です。
第一選択薬で用いられる事はありません。他のオピオイド鎮痛剤からの切り替えで使われます。

【成分名(一般名)】
フェンタニルクエン酸塩

【効能・効果】
非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記における鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌
中等度から高度の慢性疼痛

【用法・用量】
※本剤は、オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。
通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替えて使用する。
初回貼付用量は本剤貼付前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mgのいずれかの用量を選択する。
その後の貼付用量は患者の症状や状態により適宜増減する。

 

フランドルテープ

狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患に対して使用されます。持続的な効果を期待したテープ剤ですので、急性期(発作など)には用いられません。

【成分名(一般名)】
硝酸イソソルビド・テープ剤

【効能・効果】
狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患

【用法・用量】
通常、成人に対し、1回1枚(硝酸イソソルビドとして40mg)を胸部、上腹部又は背部のいずれかに貼付する。貼付後24時間又は48時間ごとに貼りかえる。
なお、症状により適宜増減する。

 

ホクナリンテープ

咳症状などを、抑える目的で使用されるテープ剤です。薬を飲むことが苦手な小児に対しても使うことが出来るのが、テープ剤の利点の1つです。

【成分名(一般名)】
ツロブテロールテープ

【効能・効果】
下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
気管支喘息,急性気管支炎,慢性気管支炎,肺気腫

【用法・用量】
通常,成人にはツロブテロールとして2mg,小児にはツロブテロールとして0.5〜3歳未満には0.5mg,3〜9歳未満には1mg,9歳以上には2mgを1日1回,胸部,背部又は上腕部のいずれかに貼付する.

 

メノエイドコンビパッチ

不足した卵胞ホルモン(エストラジオール)を補うことにより、更年期障害などに伴う症状を軽減させ,さらに黄体ホルモン(酢酸ノルエチステロン)を配合することにより、卵胞ホルモンの子宮内膜への影響を軽減した薬剤です。

【成分名(一般名)】
エストラジオール・酢酸ノルエチステロン経皮吸収型製剤

【効能・効果】
更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(Hot flush及び発汗)

【用法・用量】
通常,成人に対し,メノエイドコンビパッチ1枚を3〜4日ごとに1回(週2回)下腹部に貼付する.

 

リバスタッチパッチ

アルツハイマー型認知症治療剤です。
貼り薬なので、認知症患者さんを介護する方が「これは管理しやすい」と喜ばれる声を私も実際きいたことがあります。

【成分名(一般名)】
リバスチグミン経皮吸収型製剤

【効能・効果】
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

【用法・用量】
通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

先に紹介した、イクセロンパッチと同じ薬(併売品)です。

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ワンデュロパッチ

癌に伴う痛みなどに使用される鎮痛薬(麻薬)です。
同じフェンタニル経皮吸収型製剤の「デュロテップMTパッチ」が3日毎に貼り替えるのに対し、ワンデュロパッチは毎日(24時間毎)貼り替えて使用するのが特徴の薬剤です。

【成分名(一般名)】
フェンタニル経皮吸収型製剤

【効能・効果】
非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記における鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌
中等度から高度の慢性疼痛

【用法・用量】
本剤は、オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。
通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替えて使用する。
初回貼付用量は本剤投与前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、0.84mg、1.7mg、3.4mg、5mgのいずれかの用量を選択する。
その後の貼付用量は患者の症状や状態により適宜増減する。




最後に

当記事は、作成時点(2019年1月)時点の添付文書情報をもとに作成しました。
添付文書は随時改訂されます。当サイトの情報はあくまでも参考程度としていただいて、正しくはPMDA等の発表する最新の情報をご確認下さい。

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