結論からいうと、船員さんには向精神薬などの投薬日数に制限のある薬でも180日分を限度として処方(調剤)をすることができます。
解説
例えば、向精神薬のエチゾラムは1回の処方量は30日分が限度になっています。
これは、添付文書にもそう明記されています。
デパス(エチゾラム)の添付文書( 2019年9月改訂(第26版))より引用・抜粋
本剤は厚生労働省告示第365号(平成28年10月13日付)に基づき, 1回30日分を限度として投薬する.
しかし、船員には「船員保険法第五十四条第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令」にて、1回180日分を限度として投与して良いと認められています。
船員保険法第五十四条第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令 より引用・抜粋
長期の航海に従事する船舶に乗り組む被保険者に対し投薬の必要があると認められる場合の投薬量の基準は、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第20条第2号ヘの規定にかかわらず、航海日程その他の事情を考慮し、必要最小限の範囲において、1回180日分を限度として投与することとする。
という事ですから
180日以上の長期の航海を予定している船員さんに対しては、向精神薬などであっても180日分の処方ができます。
※この省令により『その他の事情を考慮し』医師が処方すると判断すれば、14日分の投薬制限がある新薬なども180日分までは処方(調剤)ができます。
関連法規・省令・告示等を確認
船員保険法第五十四条第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令
○船員保険法第五十四条第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令
(平成十年三月十六日)
(厚生省令第二十号)船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二十八条ノ二第二項及び第二十八条ノ六第一項ただし書(同法第二十九条第十項の規定において準用する場合を含む。)の規定に基づき、船員保険法第二十八条ノ二第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令を次のように定める。
船員保険法第五十四条第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令
(平二一厚労令一六八・改称)
長期の航海に従事する船舶に乗り組む被保険者に対し投薬の必要があると認められる場合の投薬量の基準は、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)第二十条第二号ヘの規定にかかわらず、航海日程その他の事情を考慮し、必要最小限の範囲において、一回百八十日分を限度として投与することとする。
保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第20条第2号
保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第20条第2号
(診療の具体的方針)
第二十条 医師である保険医の診療の具体的方針は、前十二条の規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。二 投薬
イ 投薬は、必要があると認められる場合に行う。
ロ 治療上一剤で足りる場合には一剤を投与し、必要があると認められる場合に二剤以上を投与する。
ハ 同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない。
ニ 投薬を行うに当たつては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品(以下「新医薬品等」という。)とその有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一性を有する医薬品として、同法第十四条又は第十九条の二の規定による製造販売の承認(以下「承認」という。)がなされたもの(ただし、同法第十四条の四第一項第二号に掲げる医薬品並びに新医薬品等に係る承認を受けている者が、当該承認に係る医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一であつてその形状、有効成分の含量又は有効成分以外の成分若しくはその含量が異なる医薬品に係る承認を受けている場合における当該医薬品を除く。)(以下「後発医薬品」という。)の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない。
ホ 栄養、安静、運動、職場転換その他療養上の注意を行うことにより、治療の効果を挙げることができると認められる場合は、これらに関し指導を行い、みだりに投薬をしてはならない。
ヘ 投薬量は、予見することができる必要期間に従つたものでなければならないこととし、厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬については当該厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬ごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
ト 注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行い、厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができることとし、その投与量は、症状の経過に応じたものでなければならず、厚生労働大臣が定めるものについては当該厚生労働大臣が定めるものごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
参考サイト(外部サイト)
福岡県薬剤師会のページでもこの内容が紹介されています。
関連ページ(当サイト)
最後に
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