2022年の調剤報酬改訂のポイントは大きく分けて3つあります。
それが
1,対物中心から対人中心への転換
2,薬局の機能と効率性に応じた評価の見直し
3,在宅業務の推進 & ICTの活用
この3つです。
当ページでは、そのうち「1,対物中心から対人中心への転換」について解説してゆきます。
1 対物中心から対人中心への転換
「1,対物中心から対人中心への転換」は更に下記2つに分けて考えられます。
・薬局薬剤師業務の評価体系の見直し
・対人業務の評価の拡充
薬局薬剤師業務の評価体系の見直し
具体的には下記5種類に「薬局薬剤師業務の評価体系の見直し」が行われました。
・薬剤調整料
・調剤管理料
・服薬管理指導料
・重複投薬・相互作用等防止加算
・調剤管理加算
調剤業務の評価体系の見直し
薬剤調整料,調剤管理料,服薬管理指導料
調剤業務の評価について、対物業務である薬剤調整や取り揃え・監査業務の評価としては「薬剤調整料」、
患者に応じた対応が必要となる処方内容の薬学的私見に基づく分析、調剤設計等及び調剤録・薬剤服用歴への記録の評価としては「調剤管理料」「服薬管理指導料」という再編が行われました。
重複投薬・相互作用等防止加算
重複投薬・相互作用の防止等に係わる加算の位置づけの見直し
2020年改定では「重複投薬・相互作用等防止加算」は「薬剤服用歴管理指導料」の加算という位置づけでしたが、2022年改定では、「調剤管理料」に対する加算という位置づけに変わりました。
調剤管理加算
複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者が薬局を初めて利用する場合等において、必要な薬学的分析をおこなった場合の評価として「調剤管理加算(3点)」が新設されました。
服薬指導等業務の評価の見直し
服薬管理指導料
薬学的知見に基づく服薬指導と薬剤服用歴等への記録、薬剤の使用状況等の継続的な把握等に係る評価への再編が行われました。
具体的には、2020年改定までは主に薬歴をつける事に対する評価として「(旧)薬剤服用歴管理指導料」がありましたが、これが廃止され新たに「(新)服薬管理指導料」という評価へ再編されました。
「(旧)薬剤服用歴管理指導料」は、”薬剤服用歴という記録”を管理する事に主眼が置かれた評価でした。
「(新)服薬管理指導料」は、”服薬後の患者さんの状態の変化”を薬剤師が管理する事に主眼が置かれた評価です。”患者さんの状態の変化”を管理するために、”薬剤服用歴という記録”も必要ですがこちらは脇役へとなりました。
外来服薬支援に係る評価
外来服薬支援料2
多種類の薬剤が投与されている患者等における内服薬の一包化および必要な服薬指導について、評価の位置づけの見直しが行われました。
具体的には、薬を取りそろえることへの評価「(旧)調剤料」に付随する評価としてあった「(旧)一包化加算」が、➡患者さんの状態の変化を管理することへの評価「(新)服薬管理指導料」に付随する評価「(新)外来服薬支援料2」として位置づけられました。
対人業務の評価の拡充
具体的には下記5種類に「対人業務の評価の拡充」が行われました。
・調剤後薬剤管理指導加算
・小児特定加算
・服薬情報等提供料3
・服用薬剤調整支援料2
・服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連携)
糖尿病患者に対する調剤後の状況の確認等の評価の拡充
調剤後薬剤管理指導加算
インスリン等の糖尿病治療薬の調剤後に、電話等で服用状況や副作用等を確認し、医師に結果を報告することなどの評価が拡充されました。
具体的には「調剤後薬剤管理指導加算」が30点(2020改定)➡60点(2022改定)へと評価が高くなりました。
医療的ケア児に対する薬学的管理の評価
小児特定加算
医療的ケア児である患者に対して、患者の状態に合わせた必要な薬学的管理および指導を行った場合の評価として「小児特定加算」が新設られました。
入院時の持参薬整理の評価
服薬情報等提供料3
医療機関からの求めに応じて、薬局において入院予定の患者の服用薬に関する情報等の把握と持参薬の整理、医療機関への情報提供を行った場合の評価として「服薬情報等提供料3 50点」が新設されました。
減薬提案に係る情報提供の評価の見直し
服用薬剤調整支援料2
処方された内服薬に係る減薬の提案による実績に応じた評価への見直しが行われました。
具体的には、「過去1年以内に、薬剤師の提案により多剤服用患者の減薬を成功させた実績のある薬局」は服用薬剤調整支援料2を通常の90点より20点上増しの110点算定できるという評価に変更されました。
同一薬局の利用推進
服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連携)
かかりつけ薬剤師と連携して必要な指導等を実施した場合の特例的な評価として「服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連携)」が設けられました。
大雑把に言うと、2020年改定までは”かかりつけ薬剤師”が対応できなかった場合は、「(旧)薬剤服用歴管理指導料」は”低い方の点数”を算定することになっていましたが、2022年改定では”かかりつけ薬剤師”が対応できなかった場合でも”連携する同薬局の薬剤師”が対応すれば”高いほうの点数”が算定できることとなりました。
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