重複投薬・相互作用等防止加算とは【2022改定】

重複投薬・相互作用等防止加算は、患者からの情報,薬歴等からの情報により,薬剤師が「重複投薬を防ぐ」「相互作用を防ぐ」「残薬を有効活用する」等のために処方医に連絡・照会をし,処方の変更が行われた場合に算定できる点数(40点or30点)です。

2020年改定➡2022年改定では大きな変更はありませんでした。

「残薬調整に係るもの」と「残薬調整に係るもの以外」に分けて考える

重複投薬・相互作用等防止加算 を理解するためにはまず、
「残薬調整に係るもの」30点と
「残薬調整に係るもの以外」40点 とに分けて理解します。

残薬調整に係るもの(30点)

残薬調整関係については,
残薬について「処方医に対して連絡・確認」を行い「処方の変更」が行われた場合に算定できます。
この場合、算定できる点数は30点です。

残薬について問い合わせをして、処方の変更が行われた場合に算定できます。

具体例(残薬調整)

他薬とともにセンノシド錠12㎎が処方されていたが、処方箋を受け取った際,患者さんにお話しを聞いた所(先確認した所)『センノシド錠12㎎は今回処方されている量と同じだけ丸々残っている』との事。
処方医に対して”センノシド錠12㎎は今回処方削除して欲しい”と 連絡した所、今回はセンノシド錠12㎎は処方削除となった。

こういったケースで算定できます。

残薬調整に係るもの以外(40点)

続いて、残薬調整以外の場合です。
重複防止や相互作用防止」等の目的で、「処方医に対して照会」を行い「処方の変更」が行われた場合に算定できます。
この場合、算定できる点数は40点です。

繰り返しになりますが、残薬以外でも 処方の変更が行われた場合に算定できます。

具体例(重複防止)

A内科医院にて、
ラニラピッド錠0.1㎎ 1錠 1日1回朝食後
フロセミド錠40㎎ 2錠 1日1回朝食後
上記処方を服用中の患者さんが,脚の浮腫み・痛みのため整形外科を受診した。
B整形外科医院では、下記処方が出た。
ロキソプロフェンナトリウム錠60㎎ 3錠 1日3回毎食後
ラシックス錠20㎎ 1錠 1日1回朝食後
B整形外科医院に、この患者さんは内科処方にてフロセミド錠80㎎/日を服用中である事を連絡した所、ラシックス錠20㎎の処方は削除となった。

こういったケースで算定できます。

 

具体例(相互作用防止)

パロキセチン錠10mgを服用中の患者さんが、心臓・脈の異常を感じ内科を受診し、
下記内科処方箋を持って来局された。
メトプロロール錠20mg 3錠 1日3回 毎食後
患者さんに聞きとったところ,内科の医師へはパロキセチン錠を服用中であるとは伝えていないとの事。
処方医へ,患者はメトプロロール錠の併用注意薬であるパロキセチン錠を服用中である旨及び下記添付分文書情報を伝えた所、処方はビソプロロール錠に変更となった。

※パキシル錠の添付文書より引用
本剤(※パロキセチン)が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、メトプロロールの(S)-体及び(R)-体のT1/2がそれぞれ約2.1及び2.5倍、AUCがそれぞ れ約 5及び 8 倍増加したことが報告されている。

こういったケースで算定できます。

 

具体例(「等」の場合)

20代女性に、ディフェリンゲル0.1%が処方された。
念のため妊娠していないか確認した所「確定していないが妊娠している可能性はある」との事。
処方医に,妊娠している可能性がある旨を連絡した所,イオウ・カンフルローションに処方変更となった。

こういったケースでも算定できます。

この加算は『重複投薬・相互作用防止加算』です。「重複」でなくても「相互作用」でなくても、薬剤師が「患者に起こる可能性のある健康被害を防いだ場合」であって「処方の変更」が行われれば算定できます。

 

調剤報酬点数表(2022)からの引用

重複投薬・相互作用等防止加算

注3  薬剤服用歴等に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合(別に厚生労働大臣が定める保険薬局において行われた場合を除く。)は、重複投薬・相互作用等防止加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。

ただし、
区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料、
区分番号15の2に掲げる在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 又は
区分番号15の3に掲げる在宅患者緊急時等共同指導料 を算定している患者については、算定しない。

イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
ロ 残薬調整に係るものの場合 30点

別に厚生労働大臣が定める保険薬局とは
「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局であること。」
※施設基準(2022)より引用

調剤報酬点数表に関する事項(2022)からの引用

(8) 重複投薬・相互作用等防止加算

ア 重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤服用歴等又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に処方箋受付1回につき算定する。ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、調剤管理料を算定していない場合は、当該加算は算定できない

イ 「イ 残薬調整に係るもの以外の場合」は、次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
(イ) 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
(ロ) 併用薬、飲食物等との相互作用
(ハ) そのほか薬学的観点から必要と認める事項

ウ 「ロ 残薬調整に係るものの場合」は、残薬について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。

エ 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴等に記載する。

オ 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。

カ 当該加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者については算定できない。

施設基準(2022)より引用

九の二 調剤管理料の注3に規定する厚生労働大臣が定める保険薬局(重複投薬・相互作用等防止加算)

適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局であること。

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