東海東北厚生局が2017年度に行った個別指導の事例を掲載していました。
個人的に気になった、2016年度までと違う点は
かかりつけ薬剤師指導料について
・ 患者の同意を得た回に算定している
・ 患者の同意を得た旨を薬剤服用歴の記録に記載していない
湿布薬の70枚制限について
処方医が当該湿布薬の投与が必要であると判断した趣旨について、処方せんの記載により確認した旨又は疑義照会により確認した旨の記載がない
こういった所です。
※以下、東海東北厚生局が発表した資料『平成29年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項』(PDFファイル)から引用したものです。
※パソコンやスマートフォンからでも見やすいように、目次や関連リンク等をつけましたが内容自体はそのままです。
Ⅰ 調剤全般に関する事項
1 処方せんの取扱い
○ 次の不備のある処方せんを受け付け、調剤を行っている不適切な例が認められたので改めること。
・ 保険医の署名又は記名押印がないもの
・ 処方せんの使用期間を超過しているもの
○ 「処方」欄の記載に次の不備のある処方せんについて、疑義照会をせずに調剤を行っている不適切な例が認められたので改めること。
・ 用法の記載がない又は不適切なもの
・ 用量の記載がない又は不適切なもの
2 処方内容に関する薬学的確認
○ 処方内容について確認を適切に行っていない(処方医への疑義照会を行っているものの、その内容等を処方せん又は調剤録に記載していないものを含む。)次の例が認められたので改めること。
・ 薬剤の処方内容から禁忌例への使用が疑われるもの
・ 医薬品医療機器等法による承認内容と異なる効能効果(適応症)での処方が疑われるもの
・ 医薬品医療機器等法による承認内容と異なる用法、用量で処方されているもの
・ 過量投与が疑われるもの
・ 倍量処方が疑われるもの
・ 相互作用(併用禁忌・併用注意)が疑われるもの
・ 重複投薬又は薬学的に問題がある多剤併用が疑われるもの
・ 投与期間の上限が設けられている医薬品について、その上限を超えて投与されているもの
・ 漫然と長期にわたり処方されているもの
3 調剤
○ 調剤(後発医薬品への変更)について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 処方医が後発医薬品への変更を認めている場合に、患者に対して後発医薬品に関する説明を適切に行っていない
4 調剤済処方せんの取扱い
○ 調剤済処方せんについて、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 記載された調剤済年月日が誤っている
・ 必要な事項(調剤済年月日、保険薬局の所在地及び名称)を記載していない
・ 保険薬剤師の署名又は記名、押印がない
5 調剤録の取扱い
○ 調剤録の記入について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 調剤年月日が誤っている
・ 記載された処方せんの発行年月日が誤っている
Ⅱ 調剤技術料に関する事項
1 調剤料
○ 調剤料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 内服薬について、1剤とすべきところ、2剤として算定している
・ 外用薬について、1調剤とすべきところ、2調剤として算定している
2 一包化加算
○ 一包化加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 治療上の必要性が認められない場合に算定している
・ 医師の了解を得た上で行ったものではない場合に算定している
・ 薬剤師が一包化の必要性を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合に、医師の了解を得た旨及び一包化の理由を調剤録等に記載していない
3 自家製剤加算
○ 自家製剤加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている
・ 調剤録等に製剤工程を記載していない
Ⅲ 薬学管理料に関する事項
1 薬剤服用歴管理指導料
○ 手帳を持参していない患者に対して、薬剤服用歴管理指導料の告示「注1」ただし書の点数を算定していない不適切な例が認められたので改めること。
○ 手帳を持参している患者に対して、薬剤服用歴管理指導料の告示「注1」ただし書の点数を算定している不適切な例が認められたので改めること。
2 薬剤服用歴の記録
○ 薬剤服用歴の記録について、次の事項の記載がない例が認められたので改めること。
【例】
・ 患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の情報
・ 患者又はその家族等からの相談事項の要点
・ 服薬状況
・ 残薬の状況
・ 患者の服薬中の体調の変化
・ 併用薬等の情報
・ 飲食物(服用中の薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況
・ 後発医薬品の使用に関する患者の意向
・ 服薬指導の要点
○ 薬剤服用歴の記録への記載が、指導後速やかに完了していない例が認められたので改めること。
○ 同一患者の薬剤服用歴の記録について、必要に応じて直ちに参照できるよう保存、管理していない例が認められたので改めること。
○ 患者の服薬状況、服薬期間中の体調変化等を確認し、新たに収集した患者情報を踏まえたうえで行う服薬指導の要点を薬剤服用歴の記録に記載するよう改めること。
3 薬剤情報提供文書
○ 薬剤情報提供文書について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 提供した文書に、用法、用量、効能、効果、副作用、相互作用、服用及び保管取扱い上の注意事項を記載していない又は記載が不適切である
4 経時的に薬剤の記録が記入できる薬剤の記録用の手帳
○ 手帳による情報提供について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項を記載していない
・ 投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)を記載していない
5 薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)の保存等
○ 薬剤服用歴の記録(電磁的記録の場合)について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠していない
6 麻薬管理指導加算
○ 麻薬管理指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 電話等により麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況を定期的に確認していない
・ 薬剤服用歴の記録に指導の要点を記載していない
7 重複投薬・相互作用等防止加算
○ 重複投薬・相互作用等防止加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載していない
8 特定薬剤管理指導加算
○ 特定薬剤管理指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している
・ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合に、その全てについての必要な薬学的管理及び指導を行っていない
・ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点を薬剤服用歴の記録に記載していない
・ 従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合に、重点的に行った、特に指導が必要な内容について、薬剤服用歴の記録に記載していない
9 乳幼児服薬指導加算
○ 乳幼児服薬指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 乳幼児に係る処方せんの受付の際に確認した体重、適切な剤形その他必要な事項等について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していない
・ 患者の家族等に対して行った適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していない
10 かかりつけ薬剤師指導料
○ かかりつけ薬剤師指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 患者の同意を得た回に算定している
・ 患者の同意を得た旨を薬剤服用歴の記録に記載していない
・ 患者が受診している全ての保険医療機関の情報、服用している処方薬、要指導医薬品及び一般用医薬品並びに健康食品等について、薬剤服用歴の記録に記載していない
Ⅳ 事務的事項
1 届出事項
○ 次の届出事項に変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局長に届け出ること。
・ 開局時間
・ 保険薬剤師の異動(採用、退職)
・ 保険薬剤師の勤務形態(常勤、非常勤)の変更
2 掲示事項
○ 掲示事項について、次の不適切な事項が認められたので改めること。
【例】
・ 東海北陸厚生局長に届け出た事項(施設基準)に関する事項を掲示していない
・ 後発医薬品調剤体制加算を算定している旨を保険薬局の内側の見やすい場所に掲示していない
・ 明細書の発行状況に関する事項を掲示していない
Ⅴ その他の事項
1 調剤報酬明細書の記載
○ 70 枚を超えて湿布薬が処方されている処方せんに基づき調剤を行った場合において、処方医が当該湿布薬の投与が必要であると判断した趣旨について、処方せんの記載により確認した旨又は疑義照会により確認した旨の記載がない不適切な例が認められたので改めること。
2 保険請求に当たっての請求内容の確認
○ 保険薬剤師が行った調剤に関する情報の提供等について、保険薬局が行う療養の給付に関する費用の請求が適正なものとなるよう保険薬剤師による処方せん、調剤録及び調剤報酬明細書の突合・確認を行うこと。
3 関係法令の理解等
○ 健康保険法をはじめとする社会保険各法並びに医薬品医療機器等法等の保険医療に関する法令の理解が不足しているので、法令に関する理解により一層努めること。
○ 開設者は今回の指導結果の内容を踏まえ、同様に開設者となっている他の保険薬局について状況の把握を行うとともに、業務内容を改善するなど、保険調剤の質的向上及び適正化を図ること。
以上。引用おわり。
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